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盗み癖のある俺が! 最後に盗んだモノ。 

作者: 七瀬





俺の家は、貧しい家だった。

毎日、食べる物がない! 

両親は働かず家に居てする事がないから

毎日子作りに励んでいたんだ。

だから、俺の兄弟姉妹は? 

俺を入れて9人もいるよ。

俺たち兄弟姉妹たちで、両親が働かない

から親の分も必死で働いた。



・・・それでも?

まだ、小さな子供が働いても

なかなか? お金にはならない!

だから! 仕方なく、俺たち兄弟姉妹は?

みんなで力を合わせて、“盗む” 事を仕事にしたんだ。

人の家に入って、高価なモノを盗んだり、お店で商品を

盗んだり、人から奪い取る事もあったかな。

そうやって。

俺たち兄弟姉妹は、生きてきたんだ。

俺たちの親父もお袋も、相変わらず働かない。

だから、まだ小さい弟や妹には悪いのだけど?

二人を刑務所送りにしたんだ。




 *



・・・ある日の事。

『誰だ! 誰だ!』

『警察の者だ! お前が、ニコラスか?』

『・・・あぁ、そうだが、』

『お前が、ゼーネか?』

『えぇ! そうよ!』

『窃盗罪の罪で、お前たち二人を捕まえる!』

『・・・えぇ!? なんで?』

『オレは、やってない! 子供達がやったんだろう!』




親父は子供達を守る事より、直ぐに俺たち兄弟姉妹の

せいにしようとしたんだ。

もちろん! やったのは、俺たち兄弟姉妹の誰かだけどね。

だけど? 働かない両親の為に、俺たち兄弟姉妹が必死に

お金や食べ物を調達してきたんだろうが! それを、親父

はなんの悪気もなく俺たち子供達に全部、都合の悪い事を

押しつけてきたんだよ!

あの時、俺は親父やお袋を見捨てる事にしたんだ。

もう、俺たち兄弟姉妹には、親父もお袋も居なくなると覚悟した。




 *



警察が家に押しかけてくる数時間前。


『もう、私たちには “両親” はいないのよ! このままじゃ

私たち兄弟姉妹は? みんな野垂れ死にしてしまうわ!』

『あぁ! アイツらは? 親じゃねーえ!』

『キールは、どう思うんだ?』

『・・・俺はやっぱり、二人は俺たちの両親なんだよ! 警察に

売るような事はできないよ。』

『・・・キール、』

『お前は、優し過ぎるんだよ! あの両親のせいでおれたちが今

どんな風になってんだよ! まだ、おれたちはいいよ! だけど? 

おれたちの下には、まだ小さな弟や妹がいるんだぞ!』

『・・・・・・』

『キールの気持ちは分かるわ! だけど? あの両親はダメよ!』

『そうね!』

『キール、あの両親は捨てよう! それが! おれたち兄弟姉妹が

幸せになる為なんだ!』

『・・・・・・ううん、』




あの時の俺は?

まだ、心のどこかで俺たち両親の事を信じていた。

唯一の救いは? お袋だけは何も言わなかった事かな。

一人、泣いていたよ。

親父は、俺たち兄弟姉妹の仕業だと! 警察官に何度も何度も

訴えかけていたな。




 *



そして! 俺たち兄弟姉妹の両親は?

警察に連れて行かれてしまった。




・・・それから。

俺たち兄弟姉妹は? 児童施設に行く者と親戚の家に引き取られて

行く者、働く者と兄弟姉妹はみんなバラバラになってしまったんだ。

俺は、2つ上の姉貴と一緒に生活するようになった。

姉貴は、凄く優しいのだけど? しっかり者というか?

血の繋がらない兄弟姉妹以外は、誰も信じられないと思っている

人なんだ。

だから、俺の事も必死になって働いて育ててくれたよ。




 *



・・・俺はというと?

相変わらず、“盗み癖” は直らず。

俺は、人のモノを取って姉貴の力になろうとしていたんだ。

だけどさ? 姉貴にこんな事を言われた。


『キール! もう、盗みはやめなさい! もう盗まなくて

いいのよ! ちゃんとした生活をしましょう!』

『・・・そんな事、急に言われても。』

『分かってるわ! 直ぐじゃなくていいのよ! ゆっくりで

いいから! キールは、盗み癖を直して!』

『・・・・・・ううん。』




俺には、姉貴の言う事がまったく理解できなかった。

ずっと、人のモノを盗んで生活してきたのに。

急に、“普通の生活に戻って!” と言われても、、、。

普通の生活って? なんなんだよ! 

そんなの今更、出来やしないよ。




 *



俺は、姉貴の言う事を聞かず、盗みを繰り返した事で。

警察に、また捕まってしまった。

姉貴は、俺を警察署まで迎えに来ると?

こう言った。


『キール、貴方はもう、家から出て行きなさい!』

『・・・えぇ!?』

『私が間違ってたみたい! キール、貴方の盗み癖は?

もう、直らないわ! これからは、一緒に暮らしていけない!』

『・・・・・・』



こうして、俺は姉貴との生活を終わらせて。

他の兄弟姉妹の所に行って、面倒見てもらおうと考えていたが。

誰も俺の面倒を見る者はいなかった。



 


 *



俺はそれからは、1人でずっと生きてきた。

誰の助けもなく、たった一人で生きてきたんだ!



・・・その間は?

【盗み】をして、生活をしていたよ。



何度も何度も、警察に捕まり刑務所に入り、出てはまた盗んで。

俺は、随分と歳をとってしまった。

白髪交じりのおじさんになっても、盗み癖は直らなかった。




・・・でもある時?

小さな子供を、盗んだんだ!

ボロボロになった服を着せられて、両親に毎日虐待されている

子供を俺は、盗んだ!

女の子は、俺にこう言ったよ。


『おじさん! あたしを救ってくれてありがとう!』



俺の眼には、自然と涙が出ていた。

生まれて初めて、“何かを盗んで役に立ったと思えた!”

小さなこの女の子に、【ありがとう!』と言われて...。

心の中にあった、黒い塊が溶けてなくなっていくよな気がしたんだ!



『こちらこそ! ありがとう! うちの子になってくれて。』

『うん! これからは、おじさんを“パパ”って呼んでいい?』

『あぁ! これからは、俺が君のお父さんだよ!』

『うん。』






最後までお読みいただきありがとうございます。

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