王宮の料理
『ハル聞こえますか?
聞こえたらティーカップをテーブルに置いて』
(これってテレパシー!)
私はフィルシアール王子の様子をチラッと確認する。
「次にスキルの説明をしますね。
スキルは…」
表面上はスキルの説明をしているので、私も話を合わせながら、カチャと音をたててティーカップをテーブルの上に置いた。
(たしか王族のみが使えるスキルだったよね)
『そのまま僕の話を聞いて』
前世は山賊に捕まった時にテレパシーを使っていた。
(王族同士ならテレパシーで会話が出来るけど、私はテレパシーのスキルがないから、受けることしか出来なかったはず)
極秘のスキルなのに現在使ってるって何があったの。
『この後ー…』
ー30分後ー
「…ーでは明日はハルの鑑定からお願いしますね」
チャリンとフィルシアールはベルを鳴らすと侍女は直ぐ姿を見せて、私を部屋へ案内すると、部屋には温くなった料理が用意されていた。
メイン料理は見た目がステーキっぽい、あとはサラダにスープにパンとジュース。
(王宮の料理かぁ)
王宮の料理はあの時の嫌な思い出しかない。
(カップとナイフ、フォーク、スプーンが銀製だけど、食べても平気なの)
私が食べる事を迷っていると、侍女が銀製のスプーンを取り出して、
「聖女様、失礼致します」
そう告げると、コーンスープっぽいスープをすくい、そのまま侍女の口に運んで飲んだ。
「ご安心下さいませ。
この料理は全て毒味が済んでおります」
私は侍女を見つめる。
「千年前の聖女様に毒が盛られた事がございました。
それから聖女様の料理にも毒見役を付けるようイグニーア国王陛下が命じられました」
ドックン!
私は自分の胸を掴んで、
(イグニごめん。本当にごめんね)
私は席について冷めた料理に口をつけた。
(侍女さんは国王陛下って言っていた。
お父さんの…王位を継いだんだね)
私はパンだけ口をつける事が出来ずに残した。
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