ポルクルとは?
どんちゃん騒ぎを終えた翌日、俺が結構早い時間で起きてきた事もあり家主のリッフェミー様以外は誰も起きてなかった。
「おはようございまし、リッフェミー様」
「あら、おはようございます。お早いですね」
「まあ、俺は他の人と違って飲んでませんからね」
苦笑しながらそう告げると、リッフェミー様も笑いながら冷たい水を注いだグラスを手渡してくれた。
「ありがとうございます」
「そういえば、昨日は外に出てからなかなか帰ってこなかったですね?」
「あー、はい。昼に見かけた子供と外の話をしてたんですよ」
「外の? ……もしかして、ポルクル君ですか?」
「はい。……あれ? 知っているんですか?」
リッフェミー様にはポルクルの事は全く伝えていなかったし、昨日のやり取りも今初めて伝えている。
それなのに相手がポルクルだと分かったという事は、彼は日ごろから外の出来事を色々な人に聞いて回っているのかもしれない。
そいえば、外を見て回って来た大人にも色々と聞いているとか言っていたっけ。
「もしかして、リッフェミー様も色々と聞かれたんですか?」
「えぇ、その通りです。ですが、そうですか……ポルクル君と話をねぇ……」
突然何かを考え込んでしまったリッフェミー様だが、すぐにニコリと微笑んで朝食の準備を始めてくれた。
「もうすぐできますから食堂で待っていてくれますか?」
「行くのも面倒なんで、ここで食べてもいいですか? どうせ他の人も起きて来ないと思うんで」
むしろ、一人で大勢が入る食堂で食事をするのがどうも寂しいのだ。
ここなら朝食の準備をしているとはいえリッフェミー様もいるから寂しさも薄れるしな。
「うふふ。構いませんよ」
「ありがとうございます」
しばらくして朝食が出来上がり、台所の端に常備されている二人用のテーブルに移動して食事を始めようとしたのだが……料理は二人分用意されていた。
「リッフェミー様も今から食事でしたか」
「はい。後は温めるだけですし、起きてきた順番でお出しできますから先にいただこうかと」
二人用のテーブルなので狭いなんて事はないのだが、座り位置が向かいになるので見目麗しいリッフェミー様を正面に食事をする事になってしまった。
リリルやルリエも美人ではあるものの、リッフェミー様は別格なんだよなぁ。これも種族特性なのかどうか。
「ん? どうかしましたか?」
「あー……いえ、なんでもないです。それじゃあ、いただきます」
「はい、いただきます」
自分の考えを誤魔化すように話題を変えて料理に手を伸ばす。
リッフェミー様も見られる事に慣れているのか、特に言及する事もなく食事を楽しみ始めた。
昨日の夕食に出てこなかった、さっぱりとした味付けの料理は朝食にちょうど良い。
だが、まさかの揚げポロスライスが添えられている事には驚いてしまった。
「……相当気に入ったんですか?」
「はい! お手軽ですし、とても美味しくいただけますからね!」
「……ただ、ポロ芋を揚げただけなんですけどね?」
「それが意外でしたね! 凝った料理にばかり目がいっていたので、お手軽に作れる料理というのももっと研究しなければと思いました!」
突然料理について熱く語り始めたリッフェミー様だが、趣味を熱く語る人は嫌いではない。
……いや、熱く語っているリッフェミー様でも美しさが勝って嫌に感じないだけかもしれないが。
「この朝食も凝って作ってるんですか?」
「いいえ。さすがに朝は時間がありませんからね。ですが、下味には前々から作り置きしている割り下を使ったりしているので、凝っていると言えば凝っているかもしれませんね」
「料理って、奥が深いですねぇ」
「そうなんですよ! スウェイン様もそう思われますか!」
再び熱く語り出したリッフェミー様だが……すみません、俺はそこまで料理で熱く離れないんですよ。
寂しくはなかったが、少しだけ話半分に聞きながらの食事になってしまったのだった。
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