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妖精族の隠れ里

 グラインザ様がブレイレッジを視察しに来る事は確定したのだが、時間も遅くなったという事で今日は妖精族の隠れ里へ泊まる事になった。

 案内人は妖精族の長であるリッフェミー様だ。


「あの、本当に良かったんですか? 隠れ里、ですよね?」

「そうですが、グラインザ様のお嬢様も一緒ですし、勇者様もいらっしゃいますからね。それに……」


 一度言葉を切ると、リッフェミー様はリーレインさんに視線を向けた。

 見られている事に気づいたのかリーレインさんは笑みを浮かべていたが、何故かリッフェミー様は恭しく頭を下げた。


「……もしかして、リーレインさんの方が偉いのか?」

「偉いというか、なんというか?」

「なんで疑問形なんだ?」

「うふふ。リーレイン様……というよりは、エルフ族の方々は妖精族を従える種族なのです。ですから、私たち妖精族は本能的にエルフ族の方々に礼を尽くす態度になってしまうのですよ」

「そういう事だね~」


 エルフ族、恐るべし。


「って事は、他にもエルフ族が上になる種族もいるのか?」

「いるけど、僕はあまり関わってこなかったからな~。こうして頭を下げられても何も返す事はできないよ~?」

「構いません。本能、ですから」


 ニコリと微笑みながらそう口にしたリッフェミー様だが、リーレインさんは少しだけ困った顔をしている。こうして礼を尽くされるのに慣れていないんだろうな。

 だが、本能と言われてしまえば無下にする事はできないだろう。妖精族の隠れ里にいる間は大変だろうけど。


「本日は私の屋敷にお泊りいただこうと思っております。最高のおもてなしをさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」

「我もいるからのう! 愛しの娘よ!」

「……はぁ」

「どうしてため息をつくのじゃ! 我と一緒なのだぞ? 嬉しいだろう?」

「……うるさい」

「なあっ!?」


 ……こいつ、恥ずかしがっているな? 俺には魔王を助けて欲しいと必死に頼み込んでいたのにな。


「……何ですか、スウェイン?」

「ん? いや、恥ずかしがってるなーって思って」

「何? 恥ずかしがっているじゃと?」

「はい。リリルは魔王を助けて欲しいと必死になって――」

「ちょっとスウェイン! それは言わない約束ですよね!」


 そんな約束をした覚えはない。


「いやいや、本当に必死だったんですよー。グラインザ様、愛されていますね」

「スウェイン!」


 やべ、やり過ぎたか?

 でもまあ、仲良しの親子は良いものだと思うし気にしない。……俺なんて、Nと知られた途端に故郷から追い出されたわけだしな。


「……そ、そうなのか! 我が愛しの娘よおおおおぉぉっ!」

「ちょっと、近づかないでよ! 抱きつかないでよ! 離れてよおおおおぉぉっ!」

「仲良しだね~」

「仲良しですね」

「仲良しは良い事だ」

「ガウガウッ!」

「みんな! 見てないで、助けなさいよおおおおぉぉっ!」

「うおおおおぉぉっ! 我は、我は感激じゃああああぁぁっ!」


 娘を抱きしめて頬をすりすり……うん、傍から見ていると気持ち悪い親父だな。今さらながらリリルには悪い事をした気がする。


「……」

「ん?」

「あ……」


 ……あれは、妖精族の子供、かな? 目が合ったら逃げていっちゃったけど。


「どうしましたか、スウェイン様?」

「いえ、妖精族の子供と目が合ったら、逃げていっちゃったんで」

「そうでしたか。……その、悪く思わないでください。妖精族は元々、外の者とほとんど交流を持たない種族ですから」

「あぁ、気にしてないので大丈夫ですよ」


 ただ、あの目は緊張しているとか怖いとかではなく、興味津々といった感じに見えたんだよなぁ。

 興味はあるけど、話し掛けるのは恥ずかしい、といった感じだろうか。


「……まあ、話す機会があれば話してみてもいいかな」


 そんな事を考えながら歩いていると、俺たちはリッフェミー様の屋敷に到着した。

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