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追い掛けましょう、ツヴァイルを

 叫びたい気分だが、今回に関しては好都合だと受け止めてしまおう。


「ちょっと、スー君! 転移魔法スキルまで持ってるの!?」

「おかしすぎるでしょ! いくら勇者でもスキルの数が尋常じゃんないわよ!?」

「それは俺じゃなくて駄女神に言ってくれ」


 無駄にスキルが多いのは駄女神のせいなんだからな。

 とはいえ、ツヴァイルを追い掛けるためにやるべき事も鑑定スキルが教えてくれている。俺がまずやるべき事は――


「転移魔法陣、再構築」


 使い方まで勝手に頭の中へ流れ込んできてくれるのだからありがたい。

 転移魔法を発動させると、残滓しか残っていなかった転移魔法陣が再構築されていく。

 その様子を見ていたリリルとスーレインさんは固まっていた。


「……規格外過ぎるわよ」

「……規格外も、度が過ぎると何でもありになるんだねー」

「二人共、今回はツヴァイルのためなんだから目をつぶれよ?」

「「……はーい」」


 よし、納得してくれたなら問題はないな。

 しばらくすると、完全に再構築された転移魔法陣が飛び込んでくる獲物を今か今かと待ちわびている。


「なあ、スーレインさん。この転移魔法陣は三人一気に転移させる事もできるのか?」

「起動中なら問題ないよ。転移先も指定されているだろうし、はぐれる事もないはずさ」

「分かった。俺はこれに入るつもりだけど、二人はどうする?」


 鑑定スキルでもどこに転移するかは全く分からなかった。

 しかし、危険であることに変わりはないだろうと二人に確認を取ってみた。


「当然行くわよ! ツヴァイルが待っているもの!」

「僕も行くよ。楽しそうだしねー」

「……そう言うと思ってたよ」


 まあ、ここまでついて来ておいて転移はしませんとは言わないだろうな。


「それじゃあ行くか!」


 そして、俺たちは転移魔法陣に飛び込んだのだった。


 ◆◆◆◆


 ――……おぉぅ、マジで転移したよ。全く見たことのない場所じゃないか。

 左右に目をやるとリリルもスーレインさんもいるな。


「……ここ、どこだ? リリル、分かるか?」

「……嘘……なんで、ここに?」

「どうしたんだい、リーちゃん?」


 転移した直後からリリルの表情が青くなっている。

 ここがどこなのか分かっているようだが、どうやら相当にマズい場所なのかもしれない。


「落ち着け、リリル。俺もスーレインさんもいる。だから教えてくれ、ここはどこなんだ?」


 リリルの肩を掴み、真っすぐに目を見つめながら俺は問い掛ける。

 目と目を合わせているうちに少しずつ落ち着いてきたのか、小刻みに震えていた体は震えを止めて、大きく深呼吸をしてから口を開いた。


「……ここは、魔界の半ばにある隠れ里の近くよ」

「隠れ里? 何が隠れているんだ?」

「魔族から敬遠されている妖精族の隠れ里よ。だけど、そこには今……」

「今? なんだ、どうしたんだ?」

「……今、そこには――お父様が身を隠しているの」


 …………はい? リリルのお父様って事は、前魔王だよな?


「……な、なんで前魔王が隠れている場所の近くに転移したんだ?」

「私も分かりませんよ! もしかしたら、現魔王はお父様と勇者の両方を一度に始末するつもりなのかもしれません!」

「あー、その可能性はあるかもねー」

「そうなんですか、リーレインさん?」

「前魔王は弱っているんだよね? そして勇者は誕生したばかりだ。あちらもどうして勇者が赤子じゃないのかって驚いているところだろうけど、どちらにせよ誕生したばかりなら倒せる確率は高いと踏んだんじゃないかな」


 そんな情報の少ない状態で挑んでくるだろうか。

 俺の疑問に気づいたのか、リーレインさんはこうも口にした。


「魔族の中には手の早い者が多いからね。現魔王はそういう奴なんじゃないかな」

「どうなんだ、リムル?」

「リーレインさんの言う通りです。魔皇将軍は力で全てを解決する様な性格でしたから、人族との友好の手段を探るお父様の事を影で嫌っていたかもしれません」


 まあ、前魔王を追い出して自分が魔王だと名乗っている時点でものすごく嫌っていたんだろうな。


「……ん? って事は、その隠れ里も現魔王にバレているって事じゃないか?」

「あっ! そ、そうです! 早く助けに行かなければ!」

「案内してくれる、リーちゃん?」

「もちろんです!」


 俺の疑問に慌て出したリリルが走り出すと、俺とリーレインさんもついていく。

 ツヴァイルを助けるだけのはずが、まさか魔王同士の争いに首を突っ込む羽目になるとはな……ついてない。

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