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教会の完成と子供たち

 二日後には完成した新しい教会を見て、ラクサス神父もそうだが教会で生活をしていた子供たちも大興奮だった。


「うわー! きれいなきょうかいだね!」

「お花畑があるよ!」

「すげー! ブランコもあるぜ!」


 声をあげながらそれぞれお気に入りの場所に向かって駆け出していく。

 その様子を微笑みながら見ているラクサス神父は、隣で立ったままになっていたレオン君の背中を押した。


「レオンも行ってきなさい」

「……その、本当にこれは、現実なんでしょうか?」

「もちろん、現実ですよ」

「昨日も驚きましたけど……今日はもっと、驚いています。みんなが、あんな笑顔を浮かべてくれるなんて」


 子供たちはボートピアズの教会でも笑顔を浮かべていたが、それは俺の目から見ての話だ。

 年長として子供たちの面倒も見ていたレオン君にとっては、ここで見せている笑顔が本当の笑顔だという事だろう。


「スウェインさん。……いいえ、スウェイン様! 本当にありがとうございます!」

「様付けなんていらないよ。これは、俺がやりたくてやっている事だからな」

「それでもです! 僕にはできなかったことをスウェイン様はやってくれたんです。僕にできる事があれば何でも言ってください!」


 もの凄くキラキラした瞳でそう言われてしまい、俺はどうしたらいいのか分からなくなってしまう。こうして尊敬の眼差しを向けられるのは、初めてだからなぁ。


「……それじゃあ、レオンの職業が分かったらお願いしようかな」

「はい! ありがとうございます!」


 お礼を口にしたレオン君は頭を下げると、先に行った子供たちと同じように駆け出していく。年長とはいえ、まだまだ子供なのだ。


「いやはや、これほど素晴らしい教会を建てていただけるとは、感謝の念しかございません」

「造るなら徹底的にやりたいですから。後で鐘も鳴らしてみてください。どんな音が鳴るのか、俺も気になっているので」

「そうですね。では、太陽が真上に来た時に鳴らしてみましょう」

「よろしくお願いします。中のご案内は必要ですか?」

「いえいえ、そこまでお世話になるわけには。ゆっくりと見ていきたいと思います」


 ラクサス神父も頭を下げて教会の方へと歩いていく。

 俺はそれを見届けてから踵を返したのだが――


「……なんでここにいるんですか、リーレインさん?」

「あっははー! 僕も教会を見に来たんだよ! いやー、スー君は本当に凄いね!」

「そうですか。それじゃあ、ラクサス神父と一緒に中を見ていったらどうですか? それでは、失礼します」

「ちょっと! ちょっと、ちょっとー!」


 この場を立ち去ろうとした俺に対して、リーレインさんは慌てて声を掛けてくる。


「俺に用があったんですか?」

「まあ、そんなところだねー」

「それで、用ってのは?」

「村の中を案内して欲しいなって思ってさー!」

「案内? ……案内って言われてもなぁ」


 現状、ブレイレッジには案内する様な場所はない。

 住居と畑、子供たちのために作った遊具に花畑が設置された公園。……これくらいか?


「スー君の家に案内してよ!」

「家に行っても何もないぞ?」

「いいからさ! それじゃあ行ってみよう!」

「って、おい! リーレインさん!」


 ……あの人、俺の家が分かるのか?


 そんな俺の心配をよそに、リーレインさんは何故か俺の家に一発で到着してしまった。


「僕はエルフだからねー! 精霊に聞いてたんだよ!」

「精霊? ……そんなものがここにいるのか?」


 気配なんて感じた事もないし、当然見た事もない。

 だが、エルフは長寿だし、特別な能力を持っていても不思議ではないかも。


「まあ、いいか。ツヴァイルー、帰ったぞー。……って、あれ?」


 ツヴァイルがいない。どこかに遊びにでも行ったのか?

 そんな事を考えている間にもリーレインさんは家の中に入って物色を始めている。


「……勝手に物色するなよ」

「見られて困るものでもあるのかな? ……まあ、スー君も年頃の男の子だし、ちょっとエッチな――」

「そんなもんねえから! ってか、あったとしてもリビングに置かねえから!」

「あっははー! それもそうだねー!」

「はぁ。いいから座ってくれ。簡単に何か作るから」

「えっ! いいの! えへへー、実はそれが目的だったんだよねー」

「目的? そんな話したっけ?」


 俺は台所でポロ芋の皮を剥きながら疑問を口にする。


「ここの子供たちに聞いたら、美味しいお菓子を食べさせてもらえたって聞いてね! 僕も食べたくなったんだ!」

「あー、そういう事か」


 特別な物でもないが、美味しいと言ってもらえるなら嬉しい限りだ。

 ポロ芋チップスを揚げながら、匂いでツヴァイルが戻ってくるだろうと思っていた俺なのだった。

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