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答えは決まっていました

 教会に到着しての第一声は――


「私たち皆、移住を決断いたしました」


 という、神父様からの返答だった。

 もっと時間が掛かると思っていたので驚いたものの、そうであれば話が早い。


「移動はどれくらいでできそうですか?」

「私たちは特に荷物は多くありませんので、明日にでも出発は可能です。こちらの教会もほとんど機能しておりませんしな」


 明日か……うん、リーレインさんがついて来てくれて助かった。


「リーレインさんのところはどうですか?」

「こっちは人数が多いからなぁ。家財道具とかも考えると、明日は難しいかも?」

「家財道具か……あの、もしよければなんですが、必要な道具はこちらで作って揃えるので、本当に大事なものだけ持っていくってのはできませんか?」

「なるほどね。かさばる物がなかったら……うん、明日には出られるかもね」

「あの、スウェインさん。こちらの方は?」


 っと、神父様とリーレインさんは初対面だったか。

 俺は簡単にリーレインさんの事を説明すると、神父様もすぐに理解を示してくれた。

 そして、リーレインさんがエルフ族と知ったからか、神父様は両手を合わせて祈りを捧げている。


「あはは。僕はそんな祈られるような立場のエルフじゃないから気にしないでよ」

「いえいえ、我々にとってはエルフ族とはとても上位の存在に値します。そんなリーレイン様が護衛に付いてくれるとなれば、安心でございますから」


 へぇー……エルフ族、そんなに偉いのか。


「スー君も、僕のことは普通に扱ってよね」

「まあ、本人がそう望むんでしたら」

「そう言ってくれるのは君くらいだよ。ありがとね」


 うーん、俺としては面倒なやり取りが必要ない分、助かるんだけどな。


「それじゃあ僕は、他のNの人たちに家財道具の事を伝えてくるよ。集合場所とかあるかな?」

「その辺りはルリエと相談してくれ」

「丸投げなのね」

「俺は家を建てないといけないからな。子供たちもいるんだ、安全な道程を組んでくれよ?」

「分かってるわよ。ちょうどシェリカも来たみたいだし、よかったわ」


 ルリエの言葉通り、教会に続く門の方からシェリカさんが姿を現した。

 ルリエ、シェリカさん、リーレインさん、神父様が明日のことで話し始めたのだが……うん、俺の居場所がなくなってしまった。

 そうなるとやって来るのが――


「こんにちは、おにいちゃん!」

「なあなあ、あそぼうぜー!」

「わたしもあそびたーい!」


 ……ほら、やって来たよ、子供たち。

 俺は子供との遊びに慣れていないし、どうしたもんかなぁ。


「あれ? 神父様、まだ話し合いをしているんですか?」

「おぉ、レオン君!」

「はい。えっと、スウェインさん、でしたよね?」

「何か困りごとか?」


 ここでレオン君の手伝いってことで抜け出すことができるかもしれない!


「えっと、そろそろ昼食づくりを始めようと思っていたんですが……あの調子では、まだ時間が掛かりそうですね」

「えぇー! ぼく、おなかすいたよー!」

「わたしもー!」


 遊びたい子供と、ご飯を食べたい子供で分かれてしまいました。

 だが、ご飯を作るなら俺にもできるか。……空間庫にも食材はたっぷりあるしな。


「だったら、俺が手伝おうか?」

「スウェインさんは料理ができるんですか?」

「できるけど……なんだ、意外か?」

「えっと、少しだけ」


 俺が意地悪っぽく聞いてみると、レオン君は素直に答えてくれた。

 うんうん、素直ないい子みたいだな。


「空間庫持ちで材料もあるし、俺の持ち込みも使っていいなら手伝えるよ」

「いえいえ! さすがにそれはご迷惑ですよ!」

「いいんだよ。その代わり、俺たちも一緒に食べていってもいいか?」


 朝から出掛けたものだから、昼の時間帯は相当お腹が空いている。

 そろそろ何か食べないと限界なんだよな。


「……本当にいいんですか?」

「構わないよ。それに、食べるならみんな一緒の方が楽しいからな」


 子供の相手をしなくていいなら、だけど。


「分かりました。その、ありがとうございます」

「えぇー! にいちゃん、あそばないのかよ!」

「あはは、今度な。その代わりに、美味い飯を用意してやるからよ!」


 そう口にしながら子供の頭を撫でると、俺はレオン君と一緒に食堂へと向かい料理を始める。

 空間庫から出してきた食材に驚き、俺が手際よく料理をする姿に驚き、出来上がった料理の味見をして驚きと、レオン君は驚きっぱなしだった。

 最後には匂いに釣られて戻ってきた神父様が何度も謝っていたが、特に気にすることもなく、俺たちは昼ご飯を教会で食べてから移動したのだった。

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