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久しぶりの……

 翌朝、目を覚ました俺に二人が声を掛けてきた。


「二人でボートピアズに?」


 ルリエは依頼としてここまで来ていたから分かるけど、リリルはどうして一緒に行くんだろう。


「スウェインと行った時は楽しめなかったからね。女の子二人で楽しみたいと思うの」

「……女の子?」

「「何か言ったかしら?」」

「……いってらっしゃいませ」


 今のはヤバかったわ。うん、言葉の選択には気をつけよう。

 しかし、そうなると久しぶりにゆっくりとした時間を過ごすことができるかもしれない。


「ガウ?」

「よーしよしよし。ツヴァイル、久しぶりに俺とダラダラ過ごしてみるか!」

「ガウー……ガウガウッ!」


 ……えっ?


「あら? ツヴァイルも一緒に行く?」

「ガウッ!」

「いや、あのー……」

「それじゃあ、今回の依頼料でごちそうも食べましょうね!」

「ガウガウッ!」

「えっと、ツヴァイルー?」

「「それじゃあ、いってくるわね!」」

「ガウガウーン!」


 ……えっ……ツヴァイル……本当に、行きやがった!!


「……まあ、いいか」


 ツヴァイルと過ごせると思っていた時間が、まさかたった一人の時間になるとは。

 本来ならこれが俺の望んでいたスローライフなんだろうけど……。


「誰かと暮らすことを覚えたら、なんだか寂しくなってきたな」


 ……な、泣いてなんかいないんだからな!


「こうなったら、できてなかったことを徹底的にやってやる! そうだ、ルリエも暮らすんだから増築……いや、マジで新しい家を建ててやるか! せっかくだから、この家はそのままで別のところに建ててやるぞ!」


 そう考えると、なんだか燃えてきたぞ!

 よし、やろう。まずは木材を調達して、それで建築スキルを遺憾なく発揮してやる。二人は同じ屋根の下でいいと言っていたが、俺の精神衛生上の都合により別にするか、やはり完全に部屋を分けるべきだ。

 このままだと、ずっとリビングで三人と一匹で寝ることになりそうだからな。


「やったるぞおおおおおおおおっ!!」


 そして、俺は一心不乱に家を建て始めた。

 合間に畑を広げたり、新しい家の裏にも新しい畑を耕し、ついでに堆肥にも着手していく。

 俺の空間庫に眠るピルマルとトマルトの種に、モルコーンとキベッツの苗を美味しく育ててみせるのだ!


 ◆◆◆◆


 ……うーん、遅い。

 二人と一匹が出発してから、もうそろそろ一週間が経とうとしている。

 お互いに職業を偽る必要もないので、やろうと思えば一日で往復することも可能なはずだ。

 ボートピアズでだいぶ羽を伸ばしているのだろうか、それとも都市に馴染んで、戻ってこない、とか?


「……いやいや、それはないない! リリルは魔王の娘だし、ルリエは勇者殺しになっちゃってるし、何よりツヴァイルを俺の獣魔だろう!」


 いや、神獣だから獣魔なのかどうかも定かじゃないけどさ!


「……でも、ここまで遅いとなると、なんだか不安になっちまうなぁ」


 リリルたちが出発した初日は寂しかったが、翌日からは一人にも慣れてきた。

 だが、慣れてきたとは言っても寂しいことに変わりはない。

 ……まさか、ボートピアズで何かあったのか? 事件にでも巻き込まれたのか?


「お、俺も、ボートピアズに行った方がいいかも!」


 時間を持て余していた俺は、すでにちょっとした集落と言えなくもないくらいに家を建ててしまっている。

 俺たちの新しい家だけではなく、突然の来客があった場合に泊まってもらえる家も数軒立ててしまった。

 畑だって順調に育っているので、行ってすぐ帰ってくるくらいなら問題ないのだ。


「よし! それじゃあ、俺もボートピアズに――」

「ガウガウッ!」

「ツヴァイルも探さないと……って、ツヴァイル!?」


 ツヴァイルの鳴き声が聞こえてきた俺は急いで新しい家の外に飛び出す。

 すると、前に暮らしていた家の前で首を傾げているツヴァイルの姿を見つけた。


「ツヴァイル!」

「ガウ? ガガ! ガウガウッ!」


 胸の中に飛び込んできたツヴァイルを受け止めると、俺は思う存分にモフモフな体毛を撫で回した。


「ははっ! 元気だったか? お前、遅かったけど何をしていたんだ? それに、リリルとルリエはどうした?」

「ガウッ! ガウガウッ!」

「えっ? こっちの来いって? いったい何があるんだ?」

「ガウガウッ!」


 腕の中から抜け出したツヴァイルは、人界方面へ走っていく。

 何がどうなっているのか分からないがとりあえず追い掛けていくと、そこにはリリルとルリエがおり、そして――


「……えっと、どちら様ですか?」


 見知らぬ男女が数人、二人と一緒にやって来たのだ。

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