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何かを助けよう

 今までの俺とは比べ物にならないほどの速度でシャドウウルフに迫ると、一振りでリーダーの頭蓋を砕く。

 残る四匹のシャドウウルフが首を巡らせるものの、俺はすでに通り過ぎてオークへと迫っている。

 風下に陣取っていたことも幸いして、オークは直前まで俺の存在に気づくことはなかった。


「これでも、くらえ!」

『ブフオアッ!?』


 オークの右足に渾身の横薙ぎをぶつけたのだが、ただの木刀では分厚い肉の鎧を打ち破ることができず、木刀の方が砕けてしまった。

 それでも打撃という面で見るとダメージはあったようで、バランスを崩し片膝を地面に付ける。


「グルルルルゥゥ」

「落ち着け! 俺はお前の味方だ!」

「……ルル?」

「おっ! 言葉が分かるのか? だったら好都合だ。俺がお前を助ける、だから大人しくしていてくれ」


 首を傾げているものの、謎の生物も最後にはコクンと頷いた。


「ただ、武器が無くなっちまったんだよなぁ」


 手には半ばから砕けた木刀しかない。

 魔法を使えば早いのだが、個人的に剣術スキルを試してみたかったので少しばかり残念である。


「まあ、今は倒せるだけで儲けもの……ん?」


 魔法を使うことを決め掛けていた時、俺の右手が突然白い光を放ち始めた。

 まだ魔法は使っていないのだが、これはいったい何なのだろうか。


「これも何かのスキル――どわあっ!」


 光が強くなったと思った直後、その光が剣の形に姿を変えてしまった。


「……な、なんだよ、これ」

『……ブ、ブフオアアアアアアアアッ!』

「考えている暇はないか!」


 オークもこの光の剣に何かを感じたのだろうか、遠目に見ていた時よりも棍棒を鋭く、そして激しく振り回して襲い掛かってきた。

 今までの俺なら恐怖で体が動かずに潰されるか、動けたとしても逃げ惑うだけだっただろう。

 しかし、これも勇者という職業になったからだろうか、恐怖を感じることもなく体が自然と動いてオークの攻撃を華麗に躱し続けている。

 それでも必死に攻撃を繰り返しているオークの棍棒に、俺は光の剣を振り抜いた。


 ――ザンッ!


 棍棒は半ばから綺麗な切断面を残して両断された。

 斬り飛ばされた棍棒の半身が地面に落ちてものすごい音を響かせたが、俺は構わず光の剣を振るう。

 オークの左足を半ばまで切断すると、そのまま背中を斬りつけて右腕を落とす。

 半分になった棍棒と一緒に右腕が地面に落ちると、オークは堪らず逃げ出そうとしたのだが左足が思ったように動かずその場に倒れてしまう。


「これで終わりだ!」


 そこへ飛び込んだ俺は光の剣でオークの首を刎ね飛ばし勝負を決した。

 初めての戦闘、初めての剣術、初めての勝利。

 初めて尽くしの戦いだったが、今の俺は不思議と落ち着いていた。


「ふぅ……そうだ。おい、大丈夫か?」


 振り返った俺は謎の生物に声を掛ける。

 やはり言っていることを理解しているようでコクンともう一度頷いた。


「お前、どこから来たんだ? ここは魔界で、魔族以外は危なくて立ち寄らない場所なんだぞ?」

「……ガウッ!」

「いや、お前は俺の言葉を理解してるみたいだけど、俺はお前の言葉を理解できないんだよ」

「クウウゥゥゥゥン……」


 お、おぉ、かわいいな、お前。


「連れて行ってもいいけど、お前が魔獣だったらさすがにマズいよなぁ」

「ガウガッ!」

「魔獣じゃないのか?」

「ガウッ!」

「それじゃあ、動物か?」

「ガウガッ!」


 違うか。まあ、魔獣と対等に渡り合える動物がいるわけもないし、そりゃそうか。

 そうなるといったい何なんだろう。魔獣と戦える獣といえば、神の使いと言われている神獣とかかもしれないが、あくまでもおとぎ話で実際に目にした人がいるなんて聞いたこともない。

 それこそ勇者とか、勇者に付き従う英雄しか見たことがないんじゃないのかな。


「……あっ! そうか、今の俺は勇者なんだっけ」

「ガウッ!」

「お前、もしかして神獣か?」

「ガウッ! ガウッ!」


 どうやらこいつは神獣らしいです。

 俺が勇者になったことで、俺の近くに姿を現したってことなのかも。


「……まあ、どっちでもいいか」

「ガウ?」

「なあ、お前。俺と一緒に来るか? ここだと魔獣に襲われて大変だろう」

「ガウッ!」

「よし、それじゃあ一緒に行こう。さっき肉を手に入れたから今日は豪華な……あっ!」


 やっちまった、シャドウウルフの死骸をそのまま置いてきてしまった!

 俺は急いで死骸があるだろう場所まで戻ってきたのだが……やっぱり、もうないよな。

 いや、正確に言うとあるにはあるが、他の魔獣に喰い散らかされた後になっていた。


「……あ……あぁぁ……俺の……肉……」

「ガウ? ……ガウガウッ!」

「……なんだ、神獣。俺は今、ものすごく落ち込んでいるんだよ」

「ガウガウッ!」

「なんだ、あっちに何かいるのか? ……何か……何か……何!?」


 俺は勢いよく立ち上がると神獣が示した方向に索敵スキルを飛ばす。

 すると、そこには先ほど逃がした個体かは分からないがシャドウウルフを四匹見つけた。


「……よし、でかしたぞ、神獣!」

「ガウッ!」


 こうして俺は神獣と一緒にシャドウウルフを狩るとその場で血抜きと解体を行い空間庫に入れて、その足で帰宅の途についたのだった。

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