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ピカピカの新装備です

 翌朝、リリルの部屋のドアをノックするが返事はなく、俺は仕方なく一人でシルクさんのところへ向かうことにした。

 女主人にはリリルへの伝言をお願いしておく。


「あらまあ、彼女を置いて先に行くなんて。後で怒られても知らないわよ?」

「だから彼女じゃないって。それよりも、二日間、お世話になりました」

「仕事なんだから当然じゃないのよ。気をつけていくんだよ」

「ありがとうございます」


 俺は笑顔でそう答えると、宿屋を後にしてツヴァイルと一緒にシルクさんの素材屋へと向かった。


 朝一番でも開いているのか少し不安ではあったが、俺の心配は杞憂に終わってくれた。

 扉の前にはオープンの看板が出ており、扉の横にある窓からシルクと目が合うと手招きをされたのだ。


「いらっしゃいなのにゃ! ずいぶん早い時間に来たのにゃ」

「ちょっと予定が入ってしまったんですよ。それで、装備の方はできてますか?」

「ふふふ、もちろんなのにゃ! ……そういえば、連れの女の子はどうしたのにゃ?」

「……二日酔いで寝てます」


 正直に答えた俺の顔をジーっと見ていたシルクは、何故か嘆息しながら注文の品を取り出した。


「……そういうことは、彼女の名誉にかかわることだから言わない方がいいのにゃ」

「だって、聞いてきたのはシルクさんの方でしょ」

「寝てる、だけでいいのにゃ」

「あー、そうですか、そうですね」


 すまん、リリル。

 シルクさんの中で、お前はのんべえになってしまったかもしれない。


「……と、とりあえず装備を見せてもらってもいいですか!」

「まあ、いいかにゃ。これがそうにゃ。いやー、久しぶりに腕を振ったから疲れたのにゃ!」


 シルクさんも気持ちを切り替えたのか、最後の方は声に元気が戻ってきている。

 一方で俺はというと、出来上がった装備を目にして興奮していた。


「……すごく、綺麗で美しい、剣ですね。それに、こっちは鎧……軽鎧ですか?」

「その通りだにゃ! 剣の名前はレッドスター。軽鎧はレッドランだにゃ!」


 刃長が80センチくらいで長めの直剣。名前にある通り薄い赤色の刀身が目を引くほどに美しい。

 軽鎧も同様に薄い赤色をしているのだが、スターとランはどういった理由で付けられたのか。


「素材がフレイムホースだったからにゃ。あいつらは速度に秀でた魔獣だから、速そうな名前にしたのにゃ!」

「……それだけ?」

「半分冗談なのにゃ。スターの方は速そうだからで、ランの方は速度向上のエンチャント効果があるのにゃ」

「……エンチャント効果?」


 強い魔獣の素材を使った装備だと、時折シルクが言ったようなエンチャント効果が現れることがあるらしい。

 フレイムホースは人界に縄張りを持っておらず、本来は魔界にしか生息域を持たない魔獣のようで、意外にも貴重な素材だったらしい。


「だから俺が売らないと言った時は残念そうな顔をしていたんですね」

「なかなかお目に掛れない素材だからにゃ。素材屋なら誰もが同じ顔をしたはずなのにゃ」

「ん? だったら、職人だって珍しい素材で装備を作りたがるんじゃないのか?」


 頑固者が多いからと助言をくれたのはシルクさんである。

 一見さんお断りの職人もいるだろうけど、珍しい素材ならばそれでも使ってみたいという職人がいてもおかしくはないと考えてしまった。


「……さ、さあ? どうかにゃー? い、いないんじゃないかにゃー?」

「……シルクさん。もしかして、自分が使いたいからって、嘘を言いましたね!」

「う、嘘じゃないのにゃ! あれは……そう! あれは半分嘘なのにゃ!」

「嘘じゃないですか!」

「ご、ごめんなのにゃ! でも、頑固者が多いのは本当なのにゃ! それに、鍛冶の腕なら僕も自信があったし、エンチャント効果も出せたから許して欲しいのにゃ!」


 ……まあ、俺もレッドスターとレッドランの両方とも気に入ってしまったし、文句は言えないか。

 それに、今の言い方だとエンチャント効果というのは早々出ないものっぽいし。


「エンチャント効果は珍しいものなんですか?」

「腕の良い職人が作っても、なかなか出るものではないのにゃ。まあ、一番大事なところは職業ランクだったりするけどにゃ」


 ということは、シルクさんの職業ランクは結構高いランクなのかもしれないな。


「だから、その、許して欲しいにゃ? お、お金も返そうかにゃ?」

「いやいや、俺が脅しているみたいじゃないですか。というか、もう怒ってませんよ」

「ほ、本当かにゃ?」

「本当です。レッドスターもレッドランも、とても気に入りましたから」


 特にレッドスターは飾って置いておくだけでも絵になるので、家に帰ったら狩り以外の時は飾っておこう。

 そんなことを考えていると、突然お店の扉が勢いよく開かれた。


「ちょっとスウェイン! なんで置いていくのよ!」


 目を覚まして追い掛けてきたリリルが鬼の形相でこちらを睨みつけている。

 ……いや、だって、起きなかったじゃんよ。


「私のことが心配じゃないわけ? ねえ、そうなのね!」

「ノックしたけど返事がなかったんだよ」

「寝てるんだから仕方ないでしょう! 普通は起きるのを待ってから一緒に行くわよね!」

「昨日は酔いつぶれてたし、いつ起きるかも分からなかった――」

「そ、そんなこと、外で普通は言わないでしょう!」


 ぐぬっ! シルクの言っていたことは正しかったようだ。


「いやー、なんだか賑やかだにゃー」

「ガウガウッ!」

「おや、神獣様もそう思うかにゃ」

「ガウッ!」


 いや、普通に話してないで助けてくれよ!

 結局、リリルが落ち着くまでに相当な時間を使ってしまったが、まだお昼前なので大丈夫だろう。

 そのままお店の中でレッドランを身に付けて鏡を見る。

 ……うん、やっぱり最高に格好いい軽鎧だな。腰に差したレッドスターも相まって俺が格好良くなった気分だよ。


「ありがとうございます、シルクさん」

「にゃはは、どういたしましてだにゃ」


 シルクさんもどこか満足気だったので、仕上がりに自信があったのかもしれない。

 素材屋を後にした俺たちは屋台で簡単な朝ご飯を済ませてからボートピアズの門へ移動した。

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