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再びの冒険者ギルドですよ

 朝ご飯を終えてやって来た場所は――まさかの冒険者ギルドです。

 もう来ないと思っていたのだが、また訪れることになるとは。


「あっ! スレイ様!」

「げっ、シェリカさん」


 シェリカさんは犯人を見つけたかのように俺を指差しており、一方の俺は嫌そうな声を漏らしてしまう。

 まあ、前回は逃げるようにして冒険者ギルドを後にしたので仕方がないとも言えるけど。


「今日はどうしたんですか?」

「久しぶりね、シェリカ」

「えっ? ええっ? ええぇぇぇぇっ!? ど、どうしてヴィリエル様がいらっしゃるんですか!!」


 シェリカさんの驚きように俺が驚いてしまった。


「ヴィリエルって有名な冒険者なのか?」

「まあ、数少ないSランク冒険者ではあるわね」

「Sですか! さすがは特大パフェを奢ってくれるだけの人物、有名人でしたか」

「Sランクって凄いのか?」


 確かスキッドがBランクだったが、それよりも凄いってことは何となく分かるけど。


「ちょっとスレイ様、知らないんですか! Sランクといえば、一握りの選ばれた冒険者しか辿り着けないランクなんですからね!」


 敬称が様なのにどこか言葉が乱暴なのは、きっと俺が無知だからだろう。

 そんなことはともかく、シェリカが言うには冒険者にはランクがあり、最高ランクのSSSランクから、最低ランクのFランクまで八つのランクに分けられている。

 ヴィリエルのSランクは上から数えて三つ目なので相当高いランクらしい。


「ってことは、Bランクのスキッドはちょうど真ん中ってことだから、強くもなく弱くもなくなんだな」

「いえいえ、Bランクといえばボートピアズでも上位のランクに位置しますよ」

「そうなんですか?」


 話を聞くと、ボートピアズに限らず冒険者のランク別の割合は下に広がるひし形になっているのだとか。

 新人冒険者は当然Fランクなのだが、そこからEランクに上がるのは意外と簡単らしく数はそこまで多くない。

 しかし、Dランクまで上がると途端にランクアップの条件が厳しくなり、一つ上のCランクにはなれてもさらに厳しい条件を満たしてBランクに上がろうとする冒険者は意外と少ないのだとか。


「さらにBランクから上になれば言わずもがな、職業ランクがUR以上でなければなれないと言われるくらいに厳しいものになるんです」

「URって、英雄クラスの実力者ってことじゃないですか」


 そんな奴が冒険者になるとは思えない。もしなっているのなら、相当な変わり者だろうな。……って、そんな変わり者が隣にいるんだっけか。


「……ヴィリエルはどうして国に仕えなかったんだ? Sランクになれる実力があれば、国に仕えて大金を稼げるだろうに」

「私には自由気ままな冒険者生活が性に合っているのよ。それに、もうこりごりだからねー」

「こりごり?」

「ううん、こっちの話よ。それよりもシェリカ、今日は二人の冒険者登録をしに来たのよ」


 うーん、何やら誤魔化された感があったが、人には言いたくないことの方が多いだろう。俺だって勇者であることや見た目すらも偽っているわけだし。


「そうだったんですね! でしたら今回も私が担当させていただきます!」

「えっ? シェリカさんって、獣魔契約の担当者じゃないの?」

「私はギルド業務全般を担当させてもらっていますから」

「というか、シェリカはボートピアズ冒険者ギルドの副ギルドマスターだもんね」

「……はい?」


 ちょっと待て、俺はそんな人から昨日は逃げてしまったのか。

 それに、ということは獣魔契約の組紐が四色になったこともギルマスに話がいっているかも。


「……スレイ様」

「……はい」

「……これでも守秘義務は守りますから、ご安心を」


 ……これは、安心していいのかどうか分からんな。

 とはいえ、シェリカさんに担当して欲しくないと言えば怪しまれるし、ここで依頼を断ることもダメだろう。むしろ、断ることは絶対にできない。


「特大パフェ! 特大パフェー!」

「ガウガウーン!」


 すでにリリルとツヴァイルの胃袋をガッチリ掴まれてしまっているからだ。


「それじゃあ、よろしくお願いします」

「かしこまりました。では、奥の部屋にお願いいたします」


 突然仕事モードに切り替わったのか、シェリカさんの表情が一気に引き締まり、示された部屋に通される。

 通常は一人ずつしか入れない部屋らしいが、冒険者登録をするお互いが許可を出せば時間短縮の為に同時に部屋へ入ることも可能だ。

 しかし、冒険者登録にもお金が掛かる。

 俺たちはすでに手持ちが底を尽きかけていたのだが、特大パフェと同じく冒険者登録費用も支払ってくれた。


「後で返しますからね」

「いやいや、気にしないでよね」


 この恩を返しておかなければ、変なところで突っつかれる恐れもある。

 返せる恩なら返しておくのが一番いいのだ。


「こうして一緒に部屋に入れてもらっているからね。それが費用負担のお礼ってことよ」


 ……いや、意味が分からん。

 確かに許可はしたが、これがお返しになるわけがないだろう。


「それでは、冒険者登録を始めます。まずはどなたから行いますか?」

「私からお願いするわ」


 そう言って前に出たリリルに対して、シェリカさんが何やら説明を行っている。

 何度か頷いていたリリルは、説明が終わったのかさらに前へと進んで行くと、奥のテーブルには水晶玉が置かれていた。


「こちらは、教会で職業ランクを確認する為に使われる物と同じ鑑定水晶となります。過去、自らの職業を偽って冒険者になった者が多くいた時代があり、今では冒険者になる全ての者に再鑑定を行っております」


 職業ランクが高ければ、相応の依頼を受けることができる。

 ただし、それが偽りであれば身の丈に合わず命を落とすことも少なくない。

 さらに依頼を出した側との信頼関係も崩れてしまうことから、今の体制になったとシェリカは教えてくれた。


「では、リリル様。鑑定水晶に両手を置いてください」


 シェリカの言葉を受けて、リリルは迷うことなく鑑定水晶に両手を置いた。

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