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29日は肉の日だよ。

びゅわびゅわびゅわびゅわわわわーん。


牛は生き返った。

いや、意味がわからない。

なんでコイツ生き返ったの??

壮絶に真っ二つになったハズじゃね??


俺が不思議そうに小首を傾げながら、同じく不思議そうに大首を傾げているウシ…ミノタウルス君を見ていると山田がクルリと前転しながらこちらに近づいてきた。


なんで前転?


「私でヤンスよ、ワタシ!ワーターシ!!」


「は?…え?新手のワタシワタシ詐欺の人ですか?」


「違うでヤンス!どこの世界に顔を突き合わせた状態から他人を装う馬鹿がいるんでヤンスか!?」


「いやいやいや、電話のオレオレ詐欺だって大概だぞ?顔が見えてないとは言え実の息子娘を装って金くれとか言うんだそ?しかも振り込めとか。やってる事めちゃくちゃだからな。」


「でもそんなんに騙されちゃうお年寄りがいっぱい居るんでヤンスもんねー。」


「情弱って怖いな。少しでも知識、情報が有れば引っかからないのに。」


「でヤンスね〜。………って、違うでヤンス!話が大脱線してるでヤンスよ!」


「えっと、何だったっけ?」


「ミノタウルス!そこに転がって間抜けズラしている牛のオッさんがいきなり生き返った事が不思議でしょって話でヤンスよ!」


「いや間抜けズラって…ワシ一応お前の上司なんだけど…」


牛、ガチ泣き。


「あーあ、お前ヤメてあげなさいよ?オッサン泣いてるじゃん。牛とは言えオッサンのハートは意外とナイーブかつ繊細なのよ?」


「ナイーブと繊細、意味被ってません?」


「どーでも良いわ。」


「…ってまた脱線してる!雪山?雪山の鉄道なんでヤンスかこの会話は!?」


「雪山の鉄道はむしろそーいうの慣れてるだろ?」


「いやもうホント話進めていいでヤンスか?駄牛が生き返った件!!」


「ついに駄牛呼ばわり…」


ミノタウルスガチ泣き。


「種明かしするとワタシの能力でヤンスよ。」


山田、牛ガン無視。


「って、能力?マジかよザオリク?ザオリク使えんのお前!?」


「あ、ワタシはファイファン派なのでレイズの方がしっくり来るでヤンス。」


「今日日ファイファンって言うやつ居ないだろ!略称はFFだろ?」


「いーえ!ワタシの地元ではファイファンがスタンダードでヤンスよ!なんすかえふえふって?お洒落ぶってるんすか?クソダサイっすね。」


「公式!!公式様がFFって言ってるからね!?ファイファンの方がマイナーだから!アングラだから!!」


「いやもういーからワシが生き返った能力の説明をいたせよ!!」


あ、牛がキレた。

いやさっきまで身体が真っ二つに切れてたんだけどね。


「こほん。ザオリクだレイズだと色々言ったでヤンスが、ワタシの能力は蘇生とか復活じゃあ無いでヤンスよ。」


「ん?違うの?」


「駄牛のお腹を良く見て下さい。」


促されミノタウルスの腹を観る俺と本人のミノタウルス。


「ん?」


「あれ?」


真っ二つに切断されていたあたりをグルリと一周取り囲むように文字が書いてある。


「ブッ…!」


その文字を見て思わず吹き出す俺。


【見切り品50%OFF】


「うひゃひゃひゃ!お前50%OFFだってよ?何?消費期限近いの!?プークスクス!」


みるみる顔を赤らめるミノタウルス。


「な、な、な、ナンジャコリャー!」


「つまり…そう言う事でヤンス!」


ビシッとポーズを決める山田。


「いや、さっぱりわからん。」


「だーかーら、ワタシの能力は【台無し】。起きた事象を台無しな結果に変えちゃう能力なんでヤンスよ!」


「ん?…ん?わからない。」


「つまり今回の【駄牛が自分で腹掻っ捌いて真っ二つになって死んだ】と言う間抜けな事象をですね」


「間抜けって言うな!」


「いや間抜けだろ。」


「グヌワ!」


「その事象を台無しにしたんでヤンス。結果的に駄牛は生き返ったんでヤンスけどね、【生き返らせた】のでは無く【台無しの結果にした】が正解なんでヤンスよ」


「まあその…駄牛呼ばわり云々はともかくとして、おかげで助かったぞ山田。」


牛が頭を下げる…と言うか首を垂れる。


「ああ、感謝とかはしなくて良いでヤンスよ。結果として値下げ札を巻かれて蘇生したでヤンスが、下手すると「焼肉定食になりましたー」とかな結果になっていた可能性もあるでヤンスから。」


それを聞いてミノタウルスの顔がみるみる青ざめて行く。

見切り品の文字と相まってマジで腐りかけの肉に見えてきたわ。


…熟成肉。

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