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pino

「魔王になりました。」


自分で言っていても滑稽だが、マジで魔王になりました。


「って、そんな訳あるかい!なんで俺が魔王にならなきゃならないんだよ!なるわけねーだろ!」


「いやー、でも魔王はイイぞ今鹿風谷♫基本自分は働かなくても部下に適当に命令していればなんか色々やっておいてくれるし、身の回りの世話も部下がやってくれるし、税金はかからないし、金銀財宝独り占め出来るし、威張れるし、地位と権力振りかざし放題だぞ?」


「ブラック!!魔王軍ブラック過ぎる!!お前の部下が哀れでならないわ!!」


「今は若いからわからないかもしれないけど、地位と権力と金って大事だぞ?三つ揃えば出来ない事など無いぞ?」


「クズっ!人間の屑!!…あ、魔王か。」


「おう、魔王で有る。…あ、元魔王であったわ。」


「おいーっ!?もう継承したつもりか!!だれがこんなマッチポンプブラック企業引き継ぐか!!」


「んじゃあ女はどうだ?」


「お、女?」


「魔王ともなれば当然一夫多妻制。つまり女も取っ替え引っ替えだぞ?」


「な、なん…だと?」


「鼻の下が伸びてるでヤンスよ今鹿風谷。」


山田が下げずんだ目で俺を見てくる。


「いや、違うし!鼻の下とか伸ばしてねーし!」


「めちゃくちゃ伸びてるでヤンス。」


「伸びてねーし!!」


「ワタシと言うモノが有りながら…」


「何でいきなり参戦!?話がこんがらがるから辞めてくんない!?」


「だってさっきワタシの胸と尻を…」


「わあああああああああ山田君!!山田さん!!あ、あとで話そうな!ガリガリ君買ってやるから!!」


「いや、ワタシはピノ派でヤンス。」


「ピノでもヒプノシスマイクでも何でも買ってやるから1回黙ってくれ!」


「…。」


あ、黙った。

ピノの効果スゲ〜な。


「ゴホン。えっとだなザキミヤ。そもそも俺には植野歩女(うえのあゆめ)と言う心に決めた女が居るんだ。他の女になんか興味はねーよ。」


「あー、成る程。その時期な。」


「そ、その時期?」


「俺はお前よりもっと先の今鹿風谷の人生を地球で過ごしてからこちらに召喚されたからな。お前と植野歩女がどうなったかも知っているのだらよ。」


「な…!?」


「いいか、お前と植野歩女は…」


「や、やめろ!」


思わず叫んで止めてしまった。

正直聴きたくない。

転生される直前、俺は間接的にでは有るがフラれている。

そこから一発逆転…なんて淡い想像もしてみたが…可能性は極めて低い。


「本当にやめていいのか?おそらくお前はもう元の世界には戻れないんだぞ?」


「何だと!?」


「お前も理解しているだろう?余は100年以上帰る術を探している。しかも魔王の権力と財力を使ってだ。しかし喚び方は解っても帰り方は全く解らん。糸口すら掴めておらん。」


「…。」


「しかも、万が一、億が一帰れたとしても、元いた世界には既に【召喚されずにそのまま生活を続けている本物、今鹿風谷の本体】が存在している。そこにどうやって帰還したお前が割って入るんだ?我らは今鹿風谷から削り取られたカケラにすぎないのだぞ?」


「うっ…。」


「今、余の話を聴かぬならば、植野歩女との事はおそらく永遠に分からないままだ。それでも良いのかな?」


「…聴かせてくれ。」


「…。」


「歩女とのその後を…聴かせてくれ。」


「…解った。」


覚悟を決めよう。

召喚される直前にフラれた時、一度は諦めた思いだ。

エスブリッジに来てヘンテコなピエロや牛に会って気分がグシャグシャの有耶無耶になって、また少し希望が出てしまっていたのかもしれないが、、、もともと1回絶望していたのだから。

せめて結果だけでもキチンと聴こう。

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