替え玉一丁
「と、言うわけで!」
古来より【と、言うだけで!】で仕切り直す物語はろくなものじゃない。
便利すぎるからだ。
どんなに風呂敷広げすぎてしまった話でも、ごちゃごちゃになってしまった状況でも【と、言うわけで!】と区切って仕切り直せば軌道修正できてしまう。
つまり、コレを多用する作者は要するに…
思考が停止している。
…と、言っても過言ではない。
過言では無いがあえて!
逆に!
逆説的に!
逆張りして!
逆転の発想で使って行こうと思う!
「と、言うわけで!」
「何が、と、言うわけで!なんだ?」
「うるさいぞ魔王ザキミヤ。」
「様を付けろよ!それがダメならせめて【さん】位つけてくんない?てか魔王にうるさいってお前。」
「いや魔王って言ってもお前、俺だろ?」
「まあソウだけど、、、さっきも言ったがだいぶ余の方が年上だぞ?年上には敬意を払えよ。」
「いやいやいやいや、俺が敬意を払うのは自分より能力高いヤツと自分に利益をもたらしてくれるヤツだけだから!
「出たよ!出ましたよ!有ったわ〜こう言う時期!まだ社会も知らないガキのくせに一丁前に権利だけ主張しちゃう時期!!引くわ!マジ引くわ〜!」
「全部ブーメランでヤンスねザキミヤ様。あ、あと牛ポルがとばっちり食らってるでヤンスよ?」
「ぐぬぅ、未来のワシ可愛くないのぅ。あ、違うか、過去か?いや未来か!?もはやわからんちんぷんかん。」
「牛ポル大混乱でやんす。食すなら今がチャンスでヤンス!♫」
「えー!?やっぱりワシ非常食なの!?」
「ええい!ウルサイわ山田と牛!!少し黙ってて下さい!」
「何で敬語??」
「とにかく!【と、言うわけで】何なのだ!?今鹿風谷よ??」
「いや、山田の謎も解けたし…そろそろ本題に入ろうかと。」
「いやーまだまだワタシには謎はいっぱいあるでヤンスよ今鹿風谷!ミステリアスガールでヤンスから!ワタシは!」
「キャッツアイかな!?話が進まないから少し黙っててくれるかな山田くん。」
「うわー、事が済んだら直ぐに帰れでヤンスか!?終わったら即帰れでヤンスか!?外道でヤンスね!!」
「うおーい言い方!!誤解を招く言い方は辞めてね山田君!!座布団全部没収するよ山田くん!!」
「オイコラお前ら!!夫婦漫才はもう済んだか!?」
「だ、誰が夫婦漫才じゃい!!」
「またまたー!まんざらでも無いくせに!」
「やーまだ!!マジで少し黙ってくんない!?」
「えー。楽しいでヤンスのに…。」
肩を落とし項垂れる山田さん。
なんか悪い事したかな?
…などとは微塵も思わず、俺は改めて魔王ザキミヤと向かいあった。
「結局の所、お前が俺を召喚した理由は何なんだよ!?勇者サイドにいる【最強】と戦うのか?」
「うんにゃ違う。」
「え?違うの??」
「うん、違う。」
「じゃあ何?何でわざわざ俺を召喚したの??」
「替え玉。」
「え?…ラーメンの話?」
「うんにゃ違う。」
「え?違うの??」
「うん、違う。替え玉。人柱。生贄。身代わり。」
「不吉な言葉並べないでくれる!?」
「つまり、定期的にやって来る気違い勇者気取り人間群に毎回ボコボコにされるの嫌だから、余の影武者になって欲しくて。」
「おいーーっ!!?お前ふざけるなよ!!?」
「いや、ふざけて無いぞ。余はマジだ!」
「尚のこと悪いわ!!お前不死身なんだろ??お前がボコられろよ!!」
「嫌である。何故なら痛いから!不死身でも痛いものは痛いから!!」
「痛いのはお前の思考回路だよ!!仮にもお前この世界を支配している魔王だろ!!」
「んじゃあ魔王辞めるわ。」
「はあ!?!?」
「引退する。次の魔王はお前な!」
「はあーー!?!?」