ヤーは山田のヤー♫
パッパパパパパパーン!!
ドンドンドン!!
ぱふぱふどんどんぷ〜!!
ぴーひゃらぴーひゃらら〜!!
シャーン!!
死神の騎士たちが大魔王ザキミヤの無茶な命令を受けてから30分ほどがたった。
魔王の間の両脇に規律正しく均等に並んだ騎士たちはトランペット、大太鼓小太鼓、謎の笛やシンバルなどの慣れない楽器を各々懸命に演奏している。
当たり前だがメロディーもリズムもめちゃくちゃだ。
今まで人間襲うか建物壊すか位しかやらさずに生きてきた?奴らだから楽器なんか扱える訳ない。
初めは粘り強くあーでも無いこーでも無いと指示を出していたザキミヤも5分程で諦め、ため息を付いた。
そして
「テレポート。」
広間を埋め尽くす程いる死神の騎士達をまとめてテレポートで排除した。
…どこに飛ばしたんだ…楽器を装備した強面の騎士達を…。
飛んだ先で大混乱が起きていないといいけど…。
「えー、あー、そのだな。…何だっけか?」
「おい!茶番が長すぎるわ!山田だよ山田!コイツが何者なのか聴いてんだよ!」
「あー、そうだったな。単刀直入に言うと…」
単刀直入に言えるなら今までの茶番は何だったんだよ。
「ソイツは今鹿風谷では無い。つまり余やお前では無い。」
「マジでか!?…ふぅ。」
自分自身のSiriや胸に慰められていなかった事が判明し、胸を撫で下ろす俺。
「ただし、全くの無関係と言う訳でも無い。」
「ん?意味が解らない。」
「ならばここからはワタシ自らが説明するでヤンスよ!今鹿風谷!」
ピエロ女の山田がいきなり飛び出してくる。
「わぁ!?びっくりした!」
「ちょ、山田!?山田さん!?今から余が説明するって言ってるでしょ!?見せ場取るで無いわ!」
「いやいやザキミヤ様、さっきから我慢して流れを静観してましたがいい加減グダグダのグズッグズなんでもう飽きてきたんでヤンスよ。」
「え〜、仮にも魔王に酷く無い?」
あれ?何かリフレインと言うかデジャヴと言うか…。
牛と扱い同じかよ。
「どー言う事かと言うとでヤンスね…」
山田が魔王ザキミヤの不平不満をガン無視して続ける。
「ワタシは1万年以上前にこの異世界エスブリッジに転生した今鹿風谷の子孫でヤンス。」
「え!?い、1万年前!?」
「多分この世界に初めて転生した今鹿風谷…今鹿風谷のカケラの孫の孫の孫の孫の孫の…とにかくめっちゃ遥彼方の祖先でヤンスね。今鹿風谷成分はワタシの細胞には一ミリくらいしか残って無いでヤンスよ。」
遠い目をする山田。
うーむ、何て声をかけていいか解らない。
「だから…」
物憂げな表情をしていた山田が不意にこちらに視線を移して呟いた。
「だ、たから?」
「安心していいでヤンスよ。」
何を安心すれば良いのだ?
何て意味深な表情をするのだろうか。
16歳のピエロ姿の女の子から事もあろうか色気すら感じてしまう。
「今鹿風谷とはほぼほぼ他人でヤンスから、今鹿風谷はワタシでエロい想像しても、セクハラしても、合法でヤンス!」
「なっ!?」
「あ、セクハラは違法でやんしたね。まあワタシは大人のオネーサンオネーサンでヤンスから童貞の悪戯くらいは多めに見てあげるでヤンスよ。」
「て、てめー!」
さっきまでの俺の複雑な心境を返してほしい。