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出会い
次の日学校に向かったのは全くの不本意だったと言っていい。両親の有無を言わせない視線を背中に感じながら、渋々学校の制服を身につけ家を出た。途中で逃げてやろうかとも思ったが、一回でも学校を見ておくのも悪くないとおもう好奇心を今では呪いたい。
彼女は昨日瑞希が座っていた窓際に座っていた。
たった今切りそろえられたようなショートは涼やかで小さい頭の骨格によく似合っている。緊張と期待に塗れた周囲のざわめきを気にも留めない様子で真正面を物憂げに見つめている彼女は、俺だけの目を引いていたのではないと思う。彼女は凛と美しかった。そして姿勢に似合わず虚のように深い目は何を思っているのかわからず不可思議でもあった。その目に居すくまれた訳ではない。ただ俺は、それを綺麗だと思ってしまっただけなのだ。
学校を休むなんて選択肢は消えてしまった。彼女を知ってしまったから。同じぐらい授業を聞くという選択肢はなかった事は確かだったけれど。僕は彼女に会うためという予想もしない理由で毎日学校に脚を運ぶようになっていた。