全ての始まりと終わり
初めてのタイプに挑戦してみたいです。亀更新になるかもしれませんが、宜しくお願いします
23世紀。ますます人工物に固執した異常な世界で、災害を恐れることも、虫に悲鳴を上げることも無い。人々は目的なくただ息をしている。
草木を眺め散歩することも、ダストで曇った空を見上げることもしない。効率化を正義とし、掲げる世界だ。人々は余った時間でしたいことも思いつかないのに、効率化は進められていく。多くの物を失いながら、進められていく。そうしてできた時間で何をするのか。今となってはそれも……
特別楽しくもないテレビを見て、頭を馬鹿にする。別段興味もない蔓延する膨大な情報を漁る。その人たちにとって、昨日聞いたことはもう過去であり、つまり一日一日で得る物はゼロである。また、ただ布団の上で丸くなって明日を待つ。
事件が起こった。
都心、人が行きかう真昼間の街で、歩道に乗り上げた車が次々に人を撥ねた。軽重傷者五人、死者四人。
その場で車から引きずり降ろされたのは、三十代のサラリーマン男性だった。一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化した人混み、取り押さえる警官、押しかける報道陣に向かって、彼はふてぶてしく笑んだ。
「無茶苦茶なことしてみたくて」