表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

登場人物紹介と孤牢館の構造

 野紐マダラ、二十七歳、ドレッドヘアのフリーター。

 宗紫電(そうしでん)ダレモ、三十三歳、銀行員。痩せ型で眼鏡装着。

 宗紫電イクナ、ダレモの一人娘で、八歳の少女。ロングヘアで、白いワンピース姿。

 藍野リンジ、二十二歳、茶髪の理系大学生。

 人行(にんぎょう)オドル、二十九歳。短めのオールバック。料理人。この孤牢館の料理番も務める。


 変わった名前の人物もいるが、全員日本人である。


 人行が最後の自己紹介を終えると、タスクらを居間から廊下へ連れ出した。

 物置やキッチン(人行が「僕の仕事場だ」とウィンクした)、共用トイレを過ぎると、裏口に行き当たる。

「シャワートイレがあるのはこの共用トイレだけだから、必要ならここを使ってね。さて、少し裏口のドアを開けるから、見てみてくれ」

 ドアの向こうは、吹雪いていた。

 すっかり日は落ち、孤牢館の明かりで照らされた範囲だけ、雪が白く舞っている。

 その外は漆黒の闇だ。

 辛うじて、簡素な直方体のような建物が、十メートルほど先に見える。窓から明かりが漏れていた。

 タスクがそれを指さした。

「あそこにいるのが、江戸川アラン氏ということですね。おひとりではないようでしたが」

「ああ。あそこにいるのは、江戸川アラン――ちなみに四十八歳男性――と、もうひとり、円藤オオリは二十四歳女性。オオリさんは兼業主婦で、江戸川先生の秘書みたいなことをしてるんだ。人格的にはそりの合わないことも多いけど、仕事ぶりは尊敬し合っているように見えるよ」

 今度はクナリが訊く。

「ご夫婦ではないんですか」

「オオリさんの旦那はサラリーマンで、江戸川先生とはほとんど面識もないんじゃないかな」

「我々、ご挨拶に行かなくて本当にいいんでしょうか」

「江戸川先生が必要ないと言ったら、本当に必要ないんだよ。君たち夕食は? カップラーメンを食べたって? 全く仕方ないな。僕らはもう食事を済ませたけれど、何かつまみたかったら言ってください。塩気のあるナッツ類に、缶詰のオイルサーディンくらいなら出せるから」


 孤牢館は南側に今が配置されており、大きなガラス戸の向こうには雪原が広がっていた。

 例の離れは、館から十メートルほど離れて北側にある。

 母屋の客室は全て南向きに作られており、北側はそれらのドアが面する廊下が東西に一本走っていた。その中央に階段があって、一階と二階が行き来できる。東西の端には屋根へ上れる階段への扉があり、屋根の雪下ろしの際はここを使う。

 二階の廊下には窓がなく、北側の様子は二階からはうかがい知れない。

 一階の共用トイレやキッチンも北側には窓がなく、離れを視界に入れるには、先ほどのタスクたちが見た裏口を開けるか、屋外から回り込むしかないという構造だった。

 母屋と離れが、お互いに気兼ねなく過ごせるように、そうした造りになっているのだろう――と、クナリなどは勝手に推量していた。後から知った話では、やはり似たような理由だったらしいが。


 幸い部屋が空いており、タスクとクナリは一室ずつ与えられた。

 孤牢館の二階は全ての部屋が客室で、宗紫電親子だけが二人で一室を使っているという。部屋の並びは、二階の一番西から、藍野、宗紫電、野紐、人行、階段を挟んでタスク、クナリ、円藤、江戸川である。離れにはトイレはあっても風呂や厨房がないので、江戸川も寝泊まりは母屋でする。

 ただ、離れにも仮眠用の設備は江戸川と円藤の二人分があるらしく、執筆にはまり込むとなかなか母屋には帰ってこないらしい。さすがに、離れの仮眠室は男性用と女性用で分けているということだった。それぞれ、江戸川と円藤が利用することになる。

 一室一室が縦長で、横幅は一般的なビジネスホテルのシングルと大差ない幅だった。部屋にはベッドとデスクの他、トイレとユニットバス、クローゼット、ミニキッチンがある。

 しかし今夜の二人は、ひとりずつでいても仕方ないので、荷物を置くと早々にタスクの部屋に集合となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ