読むと頭がおかしくなる話
思いついて五分で書きました。
先に謝っておきます。
ごめんね。
メリークリスマス。
今日はクリスマス。
集まったなかよし四人は倉庫でパーティの準備をしています。
二十年も使われていないこの倉庫はたいへん埃っぽく、年老いた四人の肺がせわしなく咳き込みます。
「さぁ。ケーキもワニワニパニックも準備した。思う存分楽しもう」
「そうねぇ。この歳になって同じ世代とパーティをするとは思わなかったわ」
「さぁさ、もう始めちゃいましょ」
「そうだねぇ」
「えいや」
叫び声が聞こえたかと思うと、おばあさんのひとりがぱったりと倒れてしまいました。
悲鳴が倉庫中に響きました。
「ど、どうしたんだ生田さん」
「血、血ぃが出てるわ」
「こ、これは殺人事件というやつか」
「そうかもしれません。私殺人事件なんてはじめてで、緊張しちゃう」
「よしこさん、そんなこといってる場合じゃありませんよ。こういうときは104に電話を」
「ふははは。ワシが犯人ということに気づかず愚かなやつらめ。まだ犯人がわかっていない貴様らにワシからクリスマスプレゼントをくれてやる。デスゲームだっ。用意したワニワニパニックをこれから二人で遊び、負けた方がワシにころされるのだ。わはは、粋な趣向だろう」
「あなたが犯人なの」
「なっ、どうしてそれを」
「大卒なめんじゃないわよ、それ」
おばあさんのひとりは、おじいさんめがけろうそくを投げつけました。
おじいさんの乾燥した肌とろうそくの間に摩擦が走り、ぼっと火が灯りました。
ひぃひぃ騒ぐおじいさんを、みるみる炎が包んでいきます。
「あ、あ、あっ、た、か、い」
断末魔を叫ぶおじいさんを、おばあさんはじっと見つめています。
「ねぇ、これでよかったのかしら」
「いいのよ。プレゼントを待ち焦がれるこどもや孫の姿を、あなたも見たでしょ」
「うん」
「思い出すわ。こんなふうに、焦がれてた」
炎の中のおじいさんはやがて黒い炭になり、ぱったりと倒れました。
「私たちにとっては、その姿こそ、一番のクリスマスプレゼントなのよ」
「それを思い出させてくれたおじいさん、すてきなプレゼントをありがとう」
電気もなく暗がりだった倉庫は、イルミネーションを飾ったように明るくなりました。
ひとりきりのクリスマスも、たったひとつの思い出で明るくなるのかも。
ひとりのあなたへ。
メリークリスマス。
メリークリスマス。