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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第四章 南方黄鉄の坑道〜タイタニアード編
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リューの変な意地

少し時は経ち、リュー達は、北のタイタニアンの集落の長の家へと招かれていた。

北の集落は、海岸線を北へと回り込んだ場所から森へと入り5分程歩いた場所にあり、船着場の磯から30分程歩いた場所にあった。


あの時、集落へと戻り仲間のタイタニアンにも照り焼きを食べさせてあげたくて、連れてこようとしたショーは、何かを察した集落の長に、リューを此処へと連れて来るように言われたのだった。

そして今、シルカ達に家の前で待ってもらい、リュー単身で長の前に座っている。

そこには禍々しいフェイスペイントをした北の集落の長がいて、ジーッ…と、リューの顔を見つめていた。


「あ…あの?」


「…少し…待って…くれ…。」


長は、胡座をかいて座り、ただひたすらにリューの顔を見ている。


「…長…集落…の…祈祷師(シャーマン)…神…イドラヴァ…力…借りる…リューの…事…探ってる…。」


ショーは、身を屈めて、リューの耳元で囁く。


「な、なるほど…。」


リューは、長が口を開くまで、ジッと長の眼を見続けている。


「…なるほど…な。」


長は、深く息を吐くと、まずはリューに頭を下げた。


「…テイカー…の事…ありがとう…ございます…。」


そしてそのまま続ける。


「…そして…テイカー…死…貴方達…責任無い…気にしなくて…良い…。」


その言葉を対して、リューも頭を下げて言う。


「いや、多かれ少なかれ、テイカーの死の原因になったのは違いありません。

それをタイタニアンの長に許していただけるのは、本当に有難い事です。」


リューは、顔を上げて続けた。


「しかし、タイタニアンに許していただいた…それはそれ、これはこれ、です。

僕等はテイカーを利用したエルノーラ皇太子ヴォルクに怒りました。

エルノーラを一周した後に、ヴォルクに喧嘩を吹っ掛けるつもりです。」


「…帝国…相手…する事…なって…も…か…。」


「はい。」


そう言って真っ直ぐに長の眼を見るリューに、長はニコリと笑う。


「…曇りの…無い…真っ直ぐな…眼…だ。

…我々…タイタニアン…リュー…に…味方…する…。」


その言葉に、リューも微笑んで、再び頭を下げる。


「ありがとうございます!」


バァン!!


その時、長の家の扉が、力強く開いた。

すると、ゆっくり1人のタイタニアンが家へと入って来て言った。


「…待て!…長…許した!…俺…まだ…許して…無い…!」


扉の所には、今迄出会った中で、一番大きくて傷だらけのタイタニアンが居て、座っているリュー達を見下している。


「…兄者…。」


「…ロック…か…。」


ショーと、長が口々に言う。


「ショーのお兄さんと言う事は、テイカーのお兄さんですか?」


リューが聞いてみると、ロックと呼ばれたタイタニアンは、大きく頷いた。


「…そう…だ!…優しい…テイカー…タイタニアード…逃げる…見逃した…俺…だ!…テイカー…死んだ…許せ…ない!」


そう言ってロックは、拳を握り締める。

リューは、ロックの方へと向き直り、頭を下げて謝罪する。


「テイカーの事は、本当に申し訳ありませんでした…。」


「…おまえ…本当に…テイカー…の…仇…取れる…力…あるの…か?」


そう言うと、ロックは腕捲りをして、リューを指差して言う。


「…力…示せ!…決闘…だ!」


リューは、立ち上がり、ロックを見上げる。


「そうですか…それしか許して貰える方法が無いのなら、受けましょう。」


「…ダメ…だ!…兄者…タイタニアン…最強の…戦士…!…ドラゴン…とも…戦って…生き残る…リュー…勝てる…訳…無い…。」


ニコリと笑ったリューは、ショーの制止を振り切って、ロックと共に家の外へと出ていったのだった。


…。


「えっと〜?どういう事になっちゃってるのかな〜?」


ロックとリューの間に走る、緊迫した空気を感じたラビが、リューへと聞いてみた。


「えっとね、テイカーの事を許して欲しかったら力を示せってさ。」


「「えぇ〜!!」」


シルカとラビは、同時に驚きの声を上げた。


「ちょ!ちょっと!リュー!?わかってるの!?」


「ん?何?シルカ?」


リューは、シルカの方を見ながら聞き返す。


「…知らないのかもしれないけど…タイタニアンってさ、危険等級がピュトーンのAAAより上のSクラスなのよ?」


「…え?えぇ〜!?」


「………………。」


変な汗が出てくるリューと、無言になるシルカとラビ。

ハスキーは、良く分かってないのか、尻尾を振っている。


「…では…いくぞ…!…リュー…剣を…抜け…!」


ロックに言われたリューは、引き攣った笑顔になりながらも腰に着けたラープシュグラディウスを外してシルカに渡す。


「えっ!…ちょっと!!リュー!?」


シルカは戸惑いながら、リューとラープシュグラディウスを交互に見ていると、リューが深呼吸している。


「フーッ…!!男の喧嘩は、素手が基本だ!!ロックだって素手だし、剣なんか抜かないっ!!いくぞっ!!」


そう叫びながら、リューは、ロックの方へと駆け出して行った。

タイタニアン3兄弟の名前の由来。


長男…ロック

次男…テイカー

三男…ショー


この名前を聞いて、ピン!と来た方は、中々のプロレス好きです笑

アメリカの某プロレス団体のプロレスラーの名前から付けさせて貰いました。

理由は、大きくて強いからです笑

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