対決!格上モンスター[ピュトーン]
リューが、海岸の磯地帯を高速で駆け抜けて行き、その上空をシルカが[飛翔]で追い掛けて行く。
少し離れてハスキー、やや遅れてラビも懸命にリューを追い掛けて行った。
「この磯の向こう側で戦闘しているわ!!…キャッ!!」
バコンッッ!!
シルカがリュー達に向かって叫ぶと、突然、磯の上部が吹き飛んだ!
「…なっ!!みんな危ない!!躱せ!!」
リューは、ダッキングしながら踏み込んで、飛んできた磯の破片を掻い潜り、後ろのハスキーとラビを見る。
ハスキーは、左右に軽快にステップして躱すと、高速でリューの元まで駆けて来る。
「そぉ〜…れっ!!」
バァァァン!!
最後尾を走っていたラビは、背負っていたダンデリルメイスを取り出して、飛んで来た磯の破片である岩を一撃で粉砕し、こちらにピースサインを送っている。
シルカには、幸いにも破片は届かなかったようだ。
全員が無事なのに安心したリューが、飛んで来た破片の方へと視線を向けると、巨大な蛇の尻尾が乗っており、ズルリ…と、磯の向こう側へと尻尾を引っ込めた。
「さぁ、いよいよだぞ!?気を引き締めて行こう!!」
リューが叫び、みんなが頷くと、リューは自身の両頬をパシンと叩いて気合を入れた。
一足飛びで磯の上部へとリューが飛び乗ると、タイタニアンの男が3mはあろうかという大剣を振り回して、ピュトーンの噛みつき攻撃を凌いでいる。
ハスキーとラビも磯の上部に駆け上がると、ラビが雄々しく名乗りを上げた!
「我が名はラビ=ドワーフ!!タイタニアンであるテイカーの盟友にして家族なる者である!!縁あって、其方のタイタニアンに助太刀させてもらう!!」
その言葉に、タイタニアンの男と、ピュトーンが揃って此方に振り向いた。
「…ドワーフ!?…それと…ヒューマン…?」
タイタニアンの男は、突然の事に驚いていたが、瞬時に戦闘態勢へと戻って、ピュトーンへと斬り掛かった!
ビュゥン!!
…と、タイタニアンの攻撃が空を斬る!
ピュトーンは、タイタニアンの攻撃を掻い潜ると、尻尾でタイタニアンを弾き飛ばし、頭は名乗りを上げた此方側へと攻撃して来た!!
リューは、ジャンプしながらラープシュグラディウスを抜き、ハスキーはピュトーンの背に乗って駆け抜け、ラビはサイドからタイタニアンの方へと走り込み、それぞれピュトーンの突撃を躱してタイタニアンとピュトーンの間で構えた。
「シュララララララララ!!」
ピュトーンは、ゆっくり此方側に振り向くと、威嚇なのか尻尾をバンバン!!と、地面に叩きつけていて、鋭利な牙から零れ落ちる紫色の液体は、それが強力な毒であると言わんばかりだ。
それを見つめるリュー達の頰を、緊張の汗が滴り落ちる。
「お前達…何で…助けに入る?」
後方へと吹き飛ばされたタイタニアンが、のそりと起き上がりながら疑問を投げかける。
「テイカーの同族を放って置くなんて出来ないからね〜!!」
ラビがピュトーンを睨み付けながら、タイタニアンの言葉に返事をした。
「テイカー?…テイカー…だって?…まぁ…いい…取り敢えず…こいつ…仕留めたら…話し…聞かせて…貰う…。」
そう言うと、タイタニアンは再び大剣を構えて、リュー達の後方で構えた。
「取り敢えず、僕が突っ込んで撹乱する。
隙を見てヒット&アウェーで削って行こう!」
そう言い終わると、リューはピュトーンへと突っ込んで行った!
リューは左右にフェイントを入れながら接近し、ピュトーンの胴へと斬り込むが、読まれてしまったのか寸前で躱されてしまった!
「し、しまったッッ!!」
勢い良く斬り込んで、態勢を崩しているリューに向かって、ピュトーンが大口を開けて迫り来る!
噛まれてしまう!!と、リューがラープシュグラディウスで防御態勢を取ると、バギッ!!っと、鈍い音と共にピュトーンの頭部がリューの右側へと流れた。
リューがそちらを見てみると、ラビがジャンプしながらダンデリルメイスでピュトーンを殴りつけており、リューにウインクをしている。
「ラ、ラビ!ありがとう!!」
リューはラビに手を挙げながら、態勢を崩したピュトーンに斬り掛かるが、またしても寸での所で躱されてしまった。
「なんだこいつ!!僕の敏捷性でも追い付けないなんて!!」
ザンッ!!
その時、上空からシルカがエスパーダ・ダンデライオンを構えて隼の様に急降下し、ピュトーンの左眼を縦に斬り裂いて、一回転して着地すると、再び上空へと[飛翔]で飛び上がった!
「シャァーーーー!!」
「うわ!シルカの戦法カッコいいな!!」
ピュトーンは、あまりの出来事にもんどり打って暴れているが、そこへタイタニアンが斬り込んで行く!
チッ!!
「…浅い…。」
タイタニアンの攻撃を察知したピュトーンが、その剣先を皮一枚かすらせてギリギリ躱すが、タイタニアンは先程の斬り込みの勢いのまま回転し、追撃で捻りを加えた強力な突きを放った!
ドスっ!!
「シャララララ!!」
タイタニアンの回転突きは、ピュトーンの身体に丸い風穴を開けたが、致命傷にはならず、尚もタイタニアンへと遅い掛かった!!
ガギィ!!
と、重厚な金属音でタイタニアンがピュトーンの牙を受け止めると、ハスキーがいつの間にかピュトーンの頭の上で凛々しい顔をしている。
「キィィィィーーーーーン!!」
と、ハスキーが得意の不協和音を放つと、ビクン!と、たじろいだピュトーンの右眼を嚙み潰しながら地面へと着地して、距離をとった!
「ハスキー、ナイスだっ!!」
リューは、両目が塞がって暴れまわるピュトーンに狙いを定めて飛びかかると、その喉元をラープシュグラディウスの一閃で切り裂く!!
更にシルカが上空から胴へエスパーダ・ダンデライオンを突き刺す!!
ラビがジャンプし、ダンデリルメイスでピュトーンの頭を地面に向けて撃って沈めると、駄目押しでタイタニアンがピュトーンの脳天に大剣を突き刺した!!
ザクッッ!!
「ピギャララララ!!」
ピュトーンは脳天を刺されて尚、身体をくねらせて暴れまわり、タイタニアンは再び吹き飛ばされたが、リューがそのタイタニアンの大剣へと飛び乗ってトドメの一押しをする!
「全力でやるぞ!!…[ボルトショック]ッッッ!!」
バッヂヂヂンッッ!!
轟音と共にピュトーンの眼や口から煙が上がり、ビクンビクンと跳ねたピュトーンは、遂に息絶えた。
「…っはぁ!!た、倒したか!?」
シルカが、ピュトーンの身体へと着地して、そのピュトーンの身体を触れる。
「熱っつ!!倒すも何も、火が通っちゃってるよ!!」
「う、嘘!?や、やり過ぎたかなぁ…。」
「…焼く手間が省けて…丁度良い…。」
タイタニアンはニヤリと笑うと、地面に腰を下ろした。
「はぁ、なんとかなったね…。
今回の戦闘は、僕だけの力じゃきっと敵わなかったよ。」
「うん〜!良い連携だったね!!」
「多分、私の力だけじゃピュトーンに傷を付けるのは無理だったけど、ラビのくれた剣と、急降下の攻撃が良かったかな?」
「ワォーーーン!!(おいら、大活躍っ!!)」
各々が戦闘の勝利に喜んでいると、タイタニアンはニコリと笑いながら自己紹介して来た。
「…良い…チームだ…俺の名前…[ショー]…だ。
さっき…お前らが言った…テイカー…俺の異母兄…だ…。」
「僕がリューで、こっちが僕の妻のシルカ、ドワーフの女の子がラビで、ハウリングウルフが僕の従魔のハスキーです。」
「「はじめまして!」」
「わふっ!(お兄さん、大きいね!)」
それぞれが挨拶すると、ショーも頭を下げてからピュトーンの皮を剥ぎ始めた。
リューはその間にウインドウを見て、LVのチェックをする。
リュー ヒューマン
ジョブ 釣師
LV66→70
HP748→802
MP121→663
力…331+20
敏捷性…403+110
持久力…398
魔力…401
運…60+20
スキルポイント[40]獲得
合計630ポイント
「あれ?LV99のモンスターを倒したのに、思ったよりもLVが上がってないな…。」
「…リュー…ジョブ…なんだ…?」
ショーは、リューに聞いてきた。
「え?釣師ですけど…。」
「なら…当然だ…釣師は…水中生物…倒す…1番の…経験…だから…な。」
リューは、成る程!だから釣りでバカバカレベルが上がったのか!と、手をポンと叩いた。
「まぁ…取り敢えず…飯時だ…お前達も…ピュトーン…食べる…か?」
リューがニッコリ笑って言う。
「良いんですか!?是非いただきます!!」
シルカとラビは若干引き攣った顔をしていたが、断り難かった様で、仕方無しに返事をした。
「…い、いただきます。」
「…蛇を食べるのは初めてだよ〜…。」
「わふっ!(凄いゴチソウだね!)」
取り敢えず難しい話をする前に昼食を取る事にしたリュー達であった。
ピュトーンについて。
ギリシア神話においてのモンスターで、ピュートーン、またはピュトンとも言われる巨大な雌蛇のモンスター。
神であるとも言われているが、諸説あるので不明です。
英単語で巨大な錦蛇類の蛇を[python]と言うが、これはギリシア神話のピュトーンから来ている。
ピュトーン
python
言語の違いによる読み方の違いだと思われます。




