タコ野郎との遭遇戦
岬へと漕ぎ進む内に、セイカイが異変に気が付いた。
「…少しオールを漕ぐのを止めてくれるか?」
「え?は、はい!!」
リュー達がオールを漕ぐのを止めると、セイカイは、辺りを見回してみる。
スロープウィステリア号は、ゆっくりと進行方向の右側へと流されているようだ。
「おかしい…こんな潮流が起きる筈がない。」
そう言って流されている方向を見てみると、荒磯があり、座礁してしまいそうな沈み根が点在している。
「たまたま変な潮流が出来ちゃったんじゃないかな〜?」
ラビがそう言うと、セイカイは「シッ!」…と、人差し指を口に当てて聞き耳を立てる。
舟の淵から海の中を見て、デッキの中央に行ってデッキに耳を付けて音を聞いた。
「もしかしたら、何者かの攻撃を受けてるかも知れない。」
「え?」
「いや、まだわからないが…これから錨を下ろしてみようと思う。
もし、錨を繋いであるロープが切られたり、攻撃されたら、即戦闘に入る。
何もせずに去ってくれるのなら、それはそれで良い事だからな。」
リュー達は、コクリと頷いた。
「このハンドサインをしたら即戦闘、このハンドサインならば、再び岬に向かってオールを漕ぐと言う事にしよう。」
そう言ってセイカイは、ハンドサインをリュー達に見せると、「じゃあいくぞ!」と錨を海へと投げ込んだ。
ドッボーン!
という音と共に船底にいた何者かが驚いたのか、デッキにゴン!っという音が響く。
リュー達は、指示を待って大人しく待機していた。
…。
30秒程経っただろうか?
不意に錨で張ったロープがフッ…っと弛んだのを見て、セイカイが、リューに向かって親指を下に向けるハンドサインを出した。
リューは頷き、ラープシュグラディウスを抜いて海へと飛び込むと、ユニークスキル[海神リヴァイアの矛]を発動させて船底を見る。
な、なんだ、こいつっ!!
そこには、上半身がヒューマンで、下半身がタコの足が付いたような化物がいて、その周りを数匹の醜い顔をした半魚人…所謂サハギンであろうか?それらが泳ぎ回っている。
「あっら、バレちゃったわ!!久しぶりのヒューマンだから、座礁させて溺れさせてから労せずいただいてやろうと思ったのによ!!」
タコ足のタコ野郎が、そう言い放ち、イラっとしたリューが言い返そうと思ったが、海中故に言葉にならなかった。
仕方なくラープシュグラディウスを構えたリューが、タコ野郎とサハギンに向かって指をクイクイッと招いて挑発する。
「こいつ馬鹿か?海中戦で俺らに敵うと思ってんのか?はっは!やっちまえ!」
そう言うと、ニタァと不気味な笑顔を浮かべたサハギンの内の1匹が、リューに向かって突っ込んで来た!
リューは、10m程下の、海底へと着地すると、頭上から襲って来たサハギンの口から体内へとラープシュグラディウスを突き刺した!
「がぎゃぁぁあ!!」
サハギンの断末魔が辺りに響くと、他のサハギンと、タコ野郎は目を剥いてその様子を伺っている。
ラープシュグラディウスを突き刺したサハギンは、ビクビクッと動き、その内動かなくなった。
リューは、サハギンを横に振り払おうと思って、ラープシュグラディウスを横に振ると、あまりの切れ味にサハギンは縦半分に切れて、海中に舞い漂った。
うっわ、やり過ぎた!!
辺りはサハギンの血で濁り、視界が悪くなっている。
「クッソ!!相手は所詮ヒューマンだ!!息が続かなくなったらそれまでだからな!お前ら全員でかかれ!!」
タコ野郎の号令に、残ったサハギン4匹が仲間を殺された怒りからか、顔を顰めて同時に襲って来た!
リューは、先頭から襲って来たサハギンの片口から袈裟斬りで斬り払うと、その影から飛び出してきたサハギンの脳天に肘をめり込ませて少し浮上する。
横からリューの腹目掛けて突っ込んで来たサハギンを横薙ぎに一閃し、下から襲って来た最後のサハギンを上段の撃ち下ろしで半分に斬り飛ばした。
ふぅ!
リューがサハギンの血で濁っている海底から少し浮上すると、船底にタコ野郎の姿が無かった。
ど、どこだ!?
周囲を見渡すが、タコ野郎の姿は無く、取り敢えず一度浮上しようと浮き上がる。
海面に出そうになった瞬間、リューの足にタコ足が絡みつき、そのまま海底まで引きずり込まれた!
「はっはっはー!どうだ?息継ぎの瞬間に再び海底に引きずり込まれる気分は!?ヒューマンにしてみたら地獄の苦しみだ…ろう?あれ?」
リューは平然としており、タコ野郎は、少し焦った顔で、ジーッとリューを見つめている。
…。
更に1分程経過しただろうか?タコ野郎は、相変わらずリューをジーッと見ていたが、リューは、どうしたもんかな?と、頭をポリポリと掻いている。
「お、お前、苦しくないのか?」
リューがコクリと頷くと、タコ野郎は驚愕の表情をしている。
もう、面倒臭いから、いいか!と、リューがラープシュグラディウスを構えると、タコ野郎は両手を前に突き出して、慌てふためきながらリューに静止を求めた。
「ちょっ!ちょ!!ちょっと待ってくれ!!
な、なんでヒューマンなのに息継ぎ無しで潜っていられるんですか?」
タコ野郎は慌てたのか、何故か敬語になっている。
リューは、ラープシュグラディウスを下ろすと、自身の足に巻き付いているタコ足を指差す。
「は、はい!解けば良いんですね!?」
スルスルとタコ足を解放されたリューは、ゆっくりと海面へと浮上した。
「ぷはぁ!!」
「あぁっ!リューちん!!良かった!!シルカちんが私も飛び込むって聞かなくて〜!!」
「うわぁぁーん!リューが生きてたぁー!!良かったよー!!」
「わ、わふっ!?(ご、御主人、大丈夫!?)」
「リュー、無事だったか!?」
全員ほぼ同時に言われたリューは、訳が分からず、取り敢えず手を振って無事をアピールする。
すると、リューの横にタコ野郎が顔を出して聞いてきた。
「お前、本当にヒューマンか!?あんな長時間潜れるヒューマンを見た事ないぞ!!」
「いや、まぁ、僕にはユニークスキル[海神リヴァイアの矛]があるからね、海中でも呼吸出来るんだよ。」
その言葉を聞いたタコ野郎は、口をパクパクとさせて、リューを指差して言った。
「[海神リヴァイアの矛]!?もしかして、あ、あ、あ、あ、貴方様は、リヴァイア様の子でいらっしゃられられら!!」
「落ち着け、ファンキーなくらい噛んでるぞ?それと人を指で差すな。
…確かに僕はリヴァイアの子だね、この間ムカついてドロップキックした以降リヴァイアには会ってないけど。」
「リヴァイア様に…ドロップキック…!?」
タコ野郎は、アワアワして白目を剥いている。
「なぁ、もう襲って来る気がないなら見逃してやるからさ、もうやめにしないか?そろそろ面倒臭くなって来たんだけど。
あ、仕掛けて来たのはそっちだからな?」
「は、はい!…いや、このまま貴方様を行かせてしまったら、わたくし、リヴァイア様にフルボッコにされてしまいます!!な、何かお手伝いでもさせていただけませんか!?」
「いやー、突然そんな事を言われても…。」
タコ野郎は、リューに縋り付き頼み込んでくる。
「そこをなんとかぁ!このままじゃ、わたくし、リヴァイア様の海底神殿へと帰れなくなってしまいますー!!」
リューは、タコ野郎が少し哀れになったので、仕方なく役目を与える事にした。
「じゃ、じゃあ、あの岬まで舟を引っ張ってくれるか?あ、後、帰りもメルビエールまで舟を引っ張ってくれたらチャラって事で。」
タコ野郎は、ビシッと!!敬礼をして言った。
「かしこまりました!」
リューが舟によじ登ると、シルカが抱きついて来た。
「シ、シルカ、心配かけてゴメンな?でも、濡れちゃうから離れた方が良いよ?」
シルカは、黙ったまま首を左右に振った。
「…心配してくれてありがとな。」
リューは、そう言ってシルカの頭を撫でたのだった。
舟は、岬に向かってゆっくりと進んで行く。
自分の操作下に無い舟に、セイカイさんがドギマギしている顔は少し面白かった。
リュー ヒューマン
ジョブ 釣師
LV61→66
HP699/748
MP540/601
力…298+20
敏捷性…367+50
持久力…354
魔力…366
運…59+20
スキルポイント[50]獲得
合計590ポイント
間違えて、書いた文章を全て消してしまいました…。
稀にあるという事は、話しに聞いていましたが、実際にやってしまうと、苦痛以外の何物でもないですね笑




