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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第一章 始まりの崖の下編
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新スキルとスニーキングキル

「さってとぉ!」


リューは出刃包丁を片手にヘイルボルグの鱗を落とそうとしたが、根魚特有の鱗が表皮にめり込んでいるタイプである事に気付いた。


「あれ?

この魚はすき引き(※1)の方が良いっぽいな…早くしないと陽が落ちちゃうし、急いですき引きしよう!」


リューは、出刃包丁から柳刃包丁に持ち変えて、ヘイルボルグの表面の鱗を丁寧に、かつ手早くすき引きしていく。


手慣れたもので、僅か数分ですき引きを終え、内臓を取り出す。


「半身は塩焼きにするから、頭は落とさずに二枚卸しにするか!」


…と、頭はそのまま、背中側から包丁を入れ、中骨に沿って綺麗に包丁をいれていく。


次は腹側、こちらも中骨に沿って包丁を入れ、肋骨を断ち切って身を離す。


これで二枚卸しの完成。


反対側も、同様に卸すと三枚卸しとなるが、今回は半身は塩焼きにするのでそのままだ。


「よっし!先に刺身作っておくか!」


切り取った身の肋骨をすき取り、中骨を取り除き、皮を引く。


一連の動作は、やはり手慣れたもので、あっと言う間に刺身が完成した。


「よしよし、じゃあ炭火を起こしてっと!」


まな板を退かせばほら!バーベキューコンロ登場!

僕は、ハイテンションで炭と炭に箱に入ってた着火剤を使い、炭火を起こしていく。


ここで、遂に陽が落ちてしまったが、僕は周囲が思ったより明るいに気付いた。


「あれ?召喚したままだった、タックル便利のドアの所が明るい!

良いね!これで21時の営業終了まで明かりには困らないぞ!

タックル便利は365日営業だし助かるなぁ…。」


僕は、タックル便利を拝みつつ、炭火が安定したところで、ヘイルボルグに塩を振り網に乗せた。


二枚卸しの塩焼きは、バーベキューコンロの場合、まずは切り取った側から焼き始める。


最初は網に引っ付きやすいし、皮側から焼き始めると、皮が剥がれボロボロになって旨味が逃げるという持論がリューにはあるらしい。


炭火は火力を抑え、遠赤外線効果でジックリと焼き上げていく。


「すっごい良い匂いだなぁ!

脂の質が良いのが良く分かる…。」


リューは、涎が垂れそうなのを飲み込んで堪え、焼き上がる前に先に作っておいた刺身を食べる事にした。


「いっただっきまぁーす!」


リューは醤油につけたヘイルボルグの刺身を箸で口に放り込む。


口に入れた瞬間に、上品な脂が溶け出し、かつプリプリとした歯応え!

そう…これは元の世界の魚の味に例えるならば、かつて一度だけ食べた事がある九絵(クエ)!!

あの日本でトップレベルの高級魚の味に近い!!


「うわ!美味い!!

これは…ヤバい!!」


リューは、感激に涙を流しながら刺身を口に放り込む。


感動しながら食べていると、スキルを獲得したのか、ウインドウが勝手に開いた。



スキル[敏捷性向上(小)]NEW!!


獲物を待ち構えて、瞬発力で食らいつくヘイルボルグの特性スキル。


敏捷性に[40]のボーナスが付く。


このスキルは、レベルアップしても(小)→(中)といった成長はしない。



「おぉー!素早さ系がボーナスポイントか!

何かに襲われても逃げれるかなぁ?」


リューは、無自覚にフラグを立てながら飛び跳ねてみると、軽く5m程ジャンプした。


「お、おおう!凄いがチート過ぎないか?

これならバスケットボールのスリーポイントラインからだってダンクできちゃうぞ!」


リューは「フハハハ!」と高笑いしながら夢中で飛び跳ねているが、ふと気がつくともう一つスキルを覚えていたようだ。



スキル[バイティング]NEW!!


ヘイルボルグの強靭な顎の力をスキル化したもので、噛みちぎる力が向上する。


その強力な咬筋力を簡単に説明すると、栄螺(サザエ)の殻を噛み砕ける程強化され、それに合わせて歯の強度がその咬筋力に耐えれる程に強化される。



「これも凄いな!

敵の剣を歯で受け止めちゃったりしてね!」


再びリューはフラグを打ち立てたが、テンションダダ上がりだった為にそんな事は全く気にせず、食べかけだった美味しいヘイルボルグの事を思い出して、食事へと戻った。


「さーってと、次は塩焼き…!こいつを待ってたぜ!いっただっきまぁーす!」


…と、塩焼きに箸を突いた瞬間、首筋に冷んやりとした感触がした。


「動くな…!」


「ひっ…!」


いきなりの状況に、リューの思考は完全に停止してしまったのだった…。

※1すき引き

魚の鱗の落とし方の一つで、柳刃包丁で、鱗と薄皮一枚を薄く切って鱗を取る方法。

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