リジュワルド創世記〜帰り方のヒント〜
夕方になり、釣りを切り上げて宿に戻って来たリュー達がベッドに倒れ込むと、羊皮紙の本が、ベッドの横の台に置いてあるのをシルカが見つけた。
「あ、懐かしい!昨日は気付かなかったけど、[リジュワルド創世記]があるよ!!子供の頃に、お父さんによく読んでもらってたわ。」
「リジュワルド創世記?」
リューが寝転がったままシルカの方を向くと、シルカがリジュワルド創世記を開き、パラパラと本をめくりながら返事をした。
「うん、リジュワルドがどうやって作られたか、とかの伝承話だね。
まだ寝るには早いし、少し読んであげようか?」
「そうだね、聞いてみたいな。」
シルカは頷くと、リジュワルド創世記をゆっくりと読み始めた…。
昔々、まだこのリジュワルドすら無かった頃、天の国から1人の天使が舞い降りました。
天使の名前は[イザナエル]、彼は別の世界の神の手を離れ、自分が想像した世界を作ろうとやって来ました。
彼は、自分の身体から12柱の神々を生み出して、陸を、海を、空を、それぞれ神々に創造させ、この世界を作り出しました。
その神々の1柱、全能の女神マテラスが、様々な生物を産み出すと、その中のヒューマンと言う生物が生存競争に打ち勝って台頭しました。
しかし、ヒューマン一強の世界など、面白く無かった他の神々は、違う様々な種族を産み出してヒューマンに対抗しました。
…その戦いは、壮絶なものでした。
ヒューマンは、他の神々が産み出した勢力に徐々に倒されていき、遂には絶滅寸前まで追い込まれてしまいます。
そんな中、ヒューマンに1人の屈強な男が現れました。
男の名前は[ブレイブ]。
ブレイブは、様々な種族を撃破したり、説得をしたりしながら神々の祝福を手に入れていきました。
そして魔王を呼ばれる存在を、ブレイブが命懸けでなんとか倒すと、12神最後の祝福を手に入れました。
そんなブレイブの元へ、イザナエルが天から舞い降りて来ました。
「12神全ての祝福を得た貴方に、一つだけ願いを叶えてあげましょう。」
魔王との激戦で、今にも力尽きてしまいそうなブレイブでしたが、願ったのは、自身の不死でもヒューマンの台頭でもありませんでした。
「…この無意味な闘争を終わらせてほしい。」
イザナエルは、その願いを聞き入れて、安寧をもたらすと、力尽きたブレイブを連れて天へと帰って行きました。
そして、ブレイブの願い通りに闘争は終わり、度重なる闘争でボロボロになってしまった世界を、様々な種族が手を取り合って世界を再生していきました。
いつしか世界の事がこう呼ばれ始めます。
[リジュワルド]…再生された世界と。
シルカが本を閉じると、少し悲しそうな顔で言い出した。
「子供の頃から思ってたけど、ブレイブのおかげで世界が平和になったのに、現代でエルノーラが大陸統一するとか、ヒューマン同士が争ってて、なんか報われないわよね。」
リューは、「そうだね。」と、コクリと首を頷いた後、ハッ!!とした顔でシルカに聞いてみる。
「…もし、12神全ての祝福を手に入れたら、僕は元の世界へと帰れるって事?」
そう僕が言うと、シルカは俯いてボソっと言う。
「昔話だから、本当かどうか分からないし…それに、リューが帰っちゃったら嫌だよ…。」
そう言うと、シルカは嗚咽し始めてしまった。
リューはシルカの手を引っ張ってベッドへ座らせると、優しく抱きしめて言った。
「大丈夫、僕の世界と、このリジュワルドを自由に往復する能力を下さいって言えばいいんだ。
そうすればシルカとも離れないで済むし、僕の親や友人達に心配を掛けないで済むからね。」
シルカは涙目で顔を上げると、僕の唇にキスをして来た。
僕は少し戸惑ったけど、シルカを力強く抱き寄せた。
「あの〜、お熱い所申し訳ないんだけど〜?」
ラビが困ったような赤い顔をして、此方をチラチラと見つつ言ってきた。
「見てる方が恥ずかしいから〜、そう言うのは2人だけの時でお願いしま〜す!」
「わふっ!(御主人も、シルカの姉ちゃんも熱々だね!)」
僕はシルカと顔を見合わせると、恥ずかしくなってきて、布団を被ったのだった。
今更ですが、リジュワルドのネーミングと、イザナエルについて。
リジュワルドは、リジュームワールドの略で、そのまま再生された世界の事です。
かつて荒廃しかけた世界を、ヒューマンのみならず、様々な種族が手を取り合い再生させていった事からのネーミングになります。
イザナエルは、日本神話の伊奘諾からのネーミングですね。
伊奘諾と天使のイメージを合わせてイザナエルとさせていただきましたが、分かる人にはすぐ分かってしまったでしょうか笑
かつてあったリジュワルド神話でしたが、上手く書けないですね苦笑
とりあえず掲載しますが、その内手直しが入ります。




