リュー達の束の間の休日
本日もリジュワルドの空は晴天で、とても良い釣り日和です。
祭り騒ぎから明けて翌日の今日は、僕、ラビ、ハスキーで、件の石積み堤防でマッタリと釣りをしている次第です。
「…あー…平和だねぇ…はぁーーあ。」
空に浮かぶウロコ雲の切れ端を何となく数えながら、シルカのハードロッキンでテキサスリグをリフト&フォールさせつつ、僕は大きな欠伸をした。
「わふっ!(また餌取られちゃった、餌付けて!)」
そう急かすハスキーに「ハイハイ。」と、新しい魚の切身餌を付けてあげると、ハスキーは首を上手く回し、延べ竿を操作して仕掛けを投入している。
ラビは、と言うと、僕の平鱸ロッドで30g程のメタルジグを投げてワンピッチジャークをしており、先程から40cmくらいの魚を釣り上げてはリリースをして、釣りの練習をしている。
先程から青物の群れに当たったのか、2匹程釣り上げて、ラビは御満悦である。
「よ〜し!リューちん!また来たよ〜!!」
おっ、ラビに3匹目がヒットしたようで、笑顔でリールをグルグルと巻き上げている。
僕はラビにサムズアップすると、釣竿を横に置き、ゴロンと仰向けに転がってウインドウを弄り始めた。
「お、そう言えばフロンティアサルテイカーのスキルを確認するの忘れてたなぁ。」
僕がスキルの項目をタッチすると、新しいスキルが表示されていた。
スキル[敏捷性向上(中)]NEW!!
フロンティアサルテイカーの機敏な遊泳力を模したスキル。
ステータスの敏捷性の値に[60]のボーナスポイントが付与される。
スキル[格闘強化(頭突き)]NEW!!
フロンティアサルテイカーの発達した額での頭突きを模したスキル。
頭突きの威力が増し、また頭蓋が硬くなるので、脳震盪を起こし難くなる。
「やった、また2つも有効なスキルを手に…入れたな…。」
ボケーっと、スキルを確認していると、身体中に感じている暖かい日差しにウトウトとして、僕はゆっくりと目を閉じた。
…。
私が、お弁当を作ってリュー達に届けに行くと、はしゃいでいるラビとハスキーの奥の方で、リューは眠っているようだった。
昨日のお祭りの疲れが残っていたのかな?リューはスヤスヤと眠っている。
「…ねぇ、リュー?」
そう言ってリューの肩を軽く叩くと、眠りは浅かったのか、すぐに此方を見て言った。
「…ん?…シルカ…?」
私が足を崩して座り、膝の上をポンポンと叩くと、リューは私の膝枕に頭を乗せた。
「昨日は、色々とお疲れ様。
それと、私をフロンティアサルテイカーから助けてくれてありがとうね。」
「…僕がシルカを助けない訳ないだろ…。
逆に引き摺り込まれたのが僕だったら、シルカはどうしてた?」
その場面をイメージしてみると、即座に飛び込んでいる私を想像出来る。
「うん、聞くまでもないよ?勿論、すぐに飛び込んで、リューを助けに行ったよ。」
リューは私を薄目で見上げると、ニッコリと微笑んで言う。
「僕はシルカがピンチなら、何が何でも、何度だって助けに行くよ、だってシルカの事が好きだから、絶対に守りたいんだ。」
「私もリューの事が大好きだから、絶対に助けるよ…。」
そう言ってリューの頭を撫でると、リューは心地良さそうに再び目を閉じた。
少し離れた位置で、ラビとハスキーがニヤニヤしてこちらを見ているから、後で少しお説教が必要のようね。
…。
リューちんと、シルカちんが良い感じだから、思わずニヤニヤしていると、シルカちんに少し睨まれちゃった。
「ハスキー、これ以上からかうと、後でシルカちんが恐いからやめとこ〜?」
「わふっ?(ラビの姉ちゃん、やめようって言ってる?)」
そのハスキーの言葉に、あたしは首を縦に頷く。
そう、あたしがハスキーの言葉を理解しても、リューちんみたいにハスキーに言葉が通じる訳じゃないんだ〜。
だけど、何となく察してくれるんだよね〜、ハスキー可愛いよ〜!!
「じゃあ、二人の邪魔しないように、シルカちんが持ってきてくれたお弁当を食べようか〜?」
そう言って、シルカちんの持ってきたバスケットを見てみる。
そこには魚の薄切りスモークと、チーズが挟まったパンが人数分と、ハスキーの分のお肉があった。
「はい、ハスキー!!」
「わふっ!(肉だ!いただきます!)
お肉を夢中で食べるハスキーもまた可愛いな〜。
あたしもパンを掴むと、ひと齧りして沖に浮かぶタイタニアードを眺める。
あそこがテイカーの生まれた場所なんだよね…。
今迄、タイタニアードを見た事は何度も何度もあったけど、こんな複雑で落ちた気持ちで見た事は無かったかな…。
「…テイカー、もう少しで故郷に着くからね…。」
腰のバッグの中のテイカーが着けていたペンダントヘッドにそう語りかけると、少し涙が溢れそうになっちゃったんだ。
…。
あれー?なんだか、ラビの姉ちゃんが元気が無くなっちゃったな?ご飯が不味かった?…いや、あの顔は、大きなテイカーさんの事を考えてるに違いないぞ。
「わふ…。(ラビの姉ちゃん、元気出してよ…。)」
おいらがラビの姉ちゃんの顔を舐めると、ラビの姉ちゃんは、ニコッて笑ってこっちを見た。
「…うん、ありがとうねハスキー。
君は、リューちんに似て本当に優しい良い子だよ〜!」
ラビの姉ちゃんが何を言っているのかは、おいらにはよく分からないけど、笑顔になってくれて良かった!!おいらも釣られて笑顔になっちゃうから、みんなみんな笑顔がいいと思う!!
「わふっ!(さぁ、ご飯食べよ!)」
「うん〜そうだね〜!」
ラビとハスキーがご飯を口に放り込むと、置き竿にしていたハスキーの延べ竿のウキが引き込まれて、釣竿が落ちそうになった。
それをハスキーが素早く駆けつけて咥えると、30cm程のルーンフィッカーがキラキラと太陽を反射しながら空中を舞った。
その光景にラビとハスキーが、目をキラキラとさせて楽しそうにはしゃいでいる。
ラビとハスキーの様子を見たシルカも、ニコニコと笑いながら手を振って、ハスキーの応援した。
「ハスキー!後ちょっとだよ!頑張れ!!」
リューは、目を閉じたまま、そのシルカの応援を聞いて微笑んでいた。
リュー達一行の、メルビエールでのマッタリとした休日がそこにはあったのだった。
マッタリ回も、たまには良いかな、と思いました笑




