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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第四章 南方黄鉄の坑道〜タイタニアード編
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潮読みのセイカイ

リューは、名付けたばかりのフロンティアサルテイカーを早速締めてしまおうとナイフを取り出すが、暫らく沈黙してフロンティアサルテイカーを見つめると、顎に手を置いて考え込んだ。


「…こいつの脳天、眉間て…どこだろう?」


額の突起の部分は厚い骨に覆われており、とてもナイフが入りそうにもなく、リューが途方にくれていると、町の方から話しを聞きつけた漁師連中がゾロゾロと堤防へと集まりだした。


「本当だ!!あの魚が釣り上げられてるぞ!!セルゼイの爺さんの言った通りだ!!」


「うお!?スゲエ!!あんちゃんら、本当にこいつを釣り上げちまったのか!?」


「やったぞ!!これでまた漁に出られる!!町長を呼んで来い!!今日は宴だぜ!!」


などと、口々に喜びを表現している。

ラビとハスキーは、漁師達に向け、カッコよくポーズを決めてその歓声に答えていた。


リューは、仕方なくエラにナイフを入れ、脊髄を断つと、フロンティアサルテイカーは、ビタンビタン!!と一度跳ね回ると絶命し、動かなくなった。


「うん、これで一応締められるみたいだな。」


もう1匹のフロンティアサルテイカーを締めると、リューはレベルを確認してみた。


リュー ヒューマン

ジョブ 釣師(アングラー)

LV44→61

HP328/699

MP432/540

力…268+20

敏捷性…331+50

持久力…319

魔力…327

運…55+20


スキルポイント[170]獲得。

合計540ポイント


「よっし!!」


リューはザックリとステータスの変化を確認すると、流れるような作業で、血抜きをして解体までしていくが、その様子を漁師達が食い入る様に見つめている。


「あんちゃん…この捌き方は、どこで習ったんだい?…無駄が無くて、早くて、しかも綺麗に切り取れてるな。」


「ん?僕の住む場所では、この捌き方が普通でしたよ?」


漁師のオジさん達は、ザワザワと相談すると、リューに向かってパン!と手を合わせるながら頭を下げて言った。


「なぁ、あんちゃん!俺らにも、この魚の捌き方を教えてくれないか?頼むよ!!」


「ええ、全然良いですよ?」


ノールックでリューが返事をすると、テンションの上がった海の男達にリューとフロンティアサルテイカーは、抱え上げられて町の方へと連れ去られてしまった。


「うわぁぁぁぁぁ!こ、恐い!おろしてぇぇぇ…。」


段々と小さくなっていくリューの悲鳴と、そのお祭り騒ぎを見つめるシルカ達。


「…とりあえず…どうしよっか?」


シルカがそう言った時には、ラビもハスキーも、リューを担ぎ上げる軍団に加わって騒いでいた。


「………………え?あれ?」


シルカは堤防で一人、呆然としていたが、ハッ!と我に帰ると急いでその軍団に着いて行った。


…。


「この度は、この町の危機を救っていただき、本当にありがとうございました!」


僕が町長と呼ばれている初老の男性の家へと連れて行かれると、いきなり土下座で頭を地面に擦り付けて感謝の言葉を言ってきた。


「い、いやいや、僕達としましても、あの魚に居座られると迷惑だったので気にしないで良いですよ?」


「ん?迷惑だったとは、どう言う事ですか?」


町長は、僕の言葉を聞いて疑問に思ったのか聞き返してきたので、僕は懇切丁寧に今までの経緯と、タイタニアードに渡りたい事を話した。


「…そういう訳なんですよ。」


「なるほど…だからあの魚…失礼、今はフロンティアサルテイカーでしたか?ヤツの排除が必要だった…と。」


僕は頷くと、町長さんに言ってみた。


「そうですね、そして問題のフロンティアサルテイカーは排除出来たので、タイタニアードまで送り届けてくれる漁師がいたら紹介してもらいたいんですが…。」


バァーーン!!


その瞬間、町長さんの家の扉が壊れると同時に、大量の漁師達が雪崩れ込んで来て、将棋倒しの様に床へと突っ伏しながら言い出した。


「俺が行くぞ!」


「いーや、俺だね!」


「儂だっ!年長者の言う事は聞けと、いつも言うとるじゃろ!?」


「あの釣りのやり方を教わるのは俺だ!!」


あのー、最後の方とか欲望がダダ漏れなんですけど…?


「ええい!皆の衆静まらんか!!恩人の前だぞ!?」


「「「「「…へい、すいませんした。」」」」」


その時、ドアの外で立っていたラビがニコやかに言い出した。


「あの〜、セルゼイ?のお爺ちゃんの息子って誰〜?」


途端に漁師連中の視線がドアの外で立っている一人の男に向けられた。


「お、俺だけど…?」


筋骨隆々で、漁師らしく黒く焼けた肌の30才前後の男が謙虚に手を挙げる。


「うん、じゃあ貴方で宜しく〜!」


ラビが問答無用で決定すると、周りの漁師が文句を言い出した。


「ズルイぞ!俺だって教わりたいのに!」


「そうだぞ、[セイカイ]!!」


リューは、その名前を聞くと、ピクリと耳が動いた。


「…え?お爺さんの息子さん、名前がセイカイって言うんですか?」


「お、おう、そうだけど…。」


リューは、セイカイの元へと歩み寄ると、セイカイの腕を高々と持ち上げて言い放った。


「決定。」


「「「「「えぇー!!」」」」」


「だって…僕の好きな釣師(アングラー)と同じ名前なんだもん。」


「あ、そうすか…分かりやした。」


セイカイは、周りの漁師の視線が少し痛かったが、町の恩人であるリュー達の決定なので、了承したのだった。


「あ、でも、あと3日待ってもらえるか?」


指を三本立ててセイカイが言いだす。


「別に急ぐ事は無いから良いけど、どうしてですか?」


リューが聞き返してみると、セイカイは、メルビエールからタイタニアードへの海流の説明をし始めた。


「この[イドラヴァの月(※1)]の5日…つまり新月の日なんだがな、朝一からの下げ潮で、タイタニアードへ巻き込む海流が現れるんだ。

それに乗って行けばタイタニアード東岸に昼前には到着出来る筈だから、その日が一番良いと思う。」


「流石セイカイだな、潮読みのセイカイの異名を持ってる事だけはあるな。」


町長が感心した顔で言うと、リューも納得したようでセイカイに向かって言った。


「了解しました!じゃあ3日後の早朝、よろしくお願いします!」


セイカイがコクリと頷くと、周りの漁師連中がリューの周りに殺到して言う。


「じゃあ、時間は余ってるよな!?せめて魚の捌き方を教えてくれ!頼むよ!!」


「あ、はい。」


そう言うと、リューは再び漁師達に担ぎ上げられて調理場へと連行されて行ったのだった。


※1イドラヴァの月

こちらで言う11月の事。

それぞれの月に神の名前が当てはめられている。


セイカイについて。

これは完全に某プロアングラーの村◯正海さんからネーミングさせてもらいました。

僕の出身地が村◯さんと同じなのと、潮読みが凄い人のイメージで生まれたキャラクターです。


連載2ヶ月が経過しました!

ここまで続けてこれたのも、皆様が見て下さるおかげです( ^ω^ )

これからも、日々精進して頑張って行きます!

近いうちに、1話から描写と、人物の心情の部分の追加を行おうと思っていますので、良かったらそちらもよろしくお願いします。

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