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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第四章 南方黄鉄の坑道〜タイタニアード編
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命名[フロンティアサルテイカー]

「まさか、本当に釣り上げてしまうとはのぅ…。」


お爺さんは、嬉しいのか驚いているのか分からない微妙な表情をしてリュー達に言った。


「多分、誰もこの魚を釣ろうとしなかったから、スレて(※1)なかったから釣れたんだと思いますよ。」


リューが謙虚にそう言うと、お爺さんは首を左右に振った。


「無理だと決めつけて、この魚を獲ってやろうともしなかった儂らが愚かなだけだったんじゃよ。

舟を沈められるのを恐れて、舟を出してこの魚に銛を撃つ気概すら無かったんじゃからな、漁師として情けない限りじゃよ。」


お爺さんは遠くの海を眺めながら言うと、ラビのを方へ向き直り頭を下げた。


「お嬢さんがコヤツを釣り上げてくれたおかげで、また息子達も漁に出られる、本当にありがとうなぁ。」


ラビはニンマリと照れ笑いすると、お爺さんに言った。


「タイタニアードに行くのに、この魚が邪魔だっただけだから気にしないでいいよ〜!」


その言葉に、お爺さんは少し気が楽になったのか、笑顔で言う。


「フフフ、さて!息子達にも知らせに行ってやるとするかのぅ!!」


お爺さんは、再び此方に頭を下げると、町の方へと歩いて行った。


「…さーてと!!」


リューが堤防に引き揚げた魚に触れてみると、魚の情報がようやく開示された。



[???]

この世界の有史以来この魚を釣り上げた者がおらず、命名権は釣り上げた者が有する。


雄…202cm、LV58

雌…155cm、LV50


エルノーラ大陸南岸以南に生息しており、雄雌が寄り添いあって生活している。

縄張り意識が非常に高く、海洋性モンスターや、他の魚を手当たり次第に硬質化した額で体当たりし、仕留めて捕食する。

また同種同士でも縄張りに入られると生死に関わる程の対立をする為、同種同士で淘汰されてしまい、絶対数は多くなく、やや絶滅が危惧される。

味は、脂の少ない筋肉質な身をしており、プリプリとした食感が美味しいのだが、煮たり焼いたりすると、身が締まってしまい美味しくない。

雄と雌だと、雌の方が味が良い傾向にある。



「おおおっ!!ラビ!この魚を釣り上げたのが、ラビが世界初だってさ!!命名権がラビに有るって書いてあるよ!!」


リューは、興奮しながらラビに言うが、ラビは微妙な顔をしてリューに言い返す。


「いや〜、あたしはリューちんに釣らせて貰っただけだし…この魚の名前はリューちんに決めてもらいたいな〜。

…後、リューちん…興奮し過ぎて、額から血が出てるよ〜?」


この魚に頭突きした時に少し切ったのだろうか?

興奮したのも相まって、リューの顔面が血に染まっている。


「お、おう!頭ってのは、やたらと血が出るもんだから大丈夫だ!!」


リューが虚勢を張って言い放つと、ラビが腕に巻いてある布をリューの頭に巻き付けて縛ってくれた。


「とりあえず応急処置って事で〜!」


「あ、ありがとうラビ!!」


リューが少し照れた顔をすると、シルカが膨れた顔をして言う。


「…で、名前はどうするの?」


そのシルカの気迫に、リューは少し戸惑って真面目な顔で考え始めたが、苦い顔で言う。


「僕は名前を付けるの得意じゃないんだよなぁ…。」


「個人の名前じゃなくて、この魚の固有名だから、気負わなくても大丈夫じゃない?」


「あ、それもそうか。」


リューは、眉間に指を置いて真剣に考えると、ハッと思いついた顔で名前を言った。


「[フロンティアサルテ]…こんなのはどうだろう?」


「フロンティアサルテ…良いと思うけど、どういう意味なの?」


「うん、まず[フロンテ]って言うのは、僕の世界にあるイタリアって国の言葉で[額]って意味なんだ。」


シルカとラビは、フムフムと頭を頷けている。


「そして[アサルテ]って言うのが、同じくイタリア語で[突撃]って意味になるんだ。

そして、未開拓地の意味の[フロンティア]を混ぜて[フロンティアサルテ]…未開拓地の額で突撃する魚って意味だね!」


「良いじゃない!!リュー、ネーミングセンス無いって言ってるけど、全然そんな事ないよ!ね、ラビ?」


シルカがラビに同意を求めたが、ラビは下を向いて考え込むと、ボソっと言い出した。


「…[フロンティアサルテイカー]…これじゃダメかな?」


いつも笑顔のラビが、とても真面目な顔で言い出す。

リューとシルカは顔を見合わせると、笑顔でラビを抱きしめて返事をした。


「良いじゃないか!!この魚は大きいから、テイカーの名前を混ぜるのは良いと思うよ!」


「うん!私も良いと思うな!テイカーの名前もずっと残るし!!」


ラビは、パァァァァァァ!!っと笑顔になると二人に抱き着きついて言った。


「…うん!!」


こうして、この魚の名前が[フロンティアサルテイカー]に命名されたのだった。

※1スレる

何度も釣られたり、同じルアーを見せられたりした魚が、警戒心を抱いてしまい、餌、またはルアーを見切ってしまう状態の事。



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