レイウインドの縁と別れの涙
リュー達は身仕度を整えると、グランさんに頭を下げた。
「三日間も店に泊まらせていただいて、本当に有難うございました!」
リューがそう言うと、グランさんは寂しそうに言い出した。
「いや、俺だって漁を手伝ってもらったり、新しいメニューを教えてもらったりしたんだから、お互い様だよ。
…リュー達がまだ居たかったら、いても良いんだぞ?」
そう言いながらグランさんが俯く。
「いや、いつまでもお世話になる訳にいきませんし、僕等の旅はまだ始まったばかりですから!
この大陸を一周したら、また遊びに来させて下さい!」
「パウスベスティア料理、とても美味しかったです!お父さんと、子供の時に一度食べただけで味を忘れていましたけど、もう二度と忘れません!」
シルカも、グランさんに感謝をして言う。
「わふっ!(グランの兄ちゃん、また肉食わせてね!)」
ハスキーが、尻尾を振り回しながらそう言うと、グランさんは、ハスキーの頭を優しく撫でた。
「偶然出会った俺達だけどよぉ、俺達はもうダチだぜ!!困った事があったら…、い、いつでも頼って…来い…よ…。」
グランさんは、リュー達に背中を向けると、涙声でそう言った。
リューとシルカも目に涙を浮かべながら、その背中に向かって一礼すると、パウスベスティア料理店モナード・レイを後にしつつ大声で言う。
「ありがとうございました!行ってきます!!」
「行ってきますね!グランさん!!」
「ワォォォーーン!(行ってくるよ!またなグランの兄ちゃん!)」
グランさんは、背中を向けたまま手を振ると、大きな声で言った。
「あぁ!!いってらっしゃい!!
…また!絶対にまた来いよ!!」
その言葉に、リューが泣きながら歩いていると、同じく涙を目に浮かべたシルカがリューの頭をポンポンとしてあげながら言った。
「…絶対にまた…来ようね。」
「…う゛ん゛!!」
リュー達が、レイウインドの入り口の門までトボトボと歩いて行くと、グリフが門に背中をより掛けて立っていた。
「よぉ、あんなに強い男が、泣き崩れてボロボロの顔してるじゃねーかよ。」
「うっさいな、仕方ないだろ!?」
「…そうだよな、リュー、お前はそういうやつだよ。」
グリフは目を閉じて微笑むと、不意に真面目な顔になって、シルカの方を向いて頭を下げた。
「リュー達が、旅に出る前に、詫びだけはさせてくれ!!
シルカ、無茶苦茶な求婚をした挙句、私怨でフェノールを襲わせて悪かった!!
さらに逆上して、女性の頰を張っちまうなんて男のする事じゃない…本当にすみませんでした。」
グリフは、更にリューの方に向き直って再び頭を下げて言う。
「リュー、お前には感謝してもしきれない。
馬鹿な俺の暴走を止めてくれたのはお前だ。
その生き様、しっかり俺の心に響いたからよ、俺も変われるように頑張ってみるよ!
嫁さんをぶったりして悪かった!本当にすみませんでした。」
リューとシルカは顔を見合わせると、ニコっと笑ってグリフに言い返す。
「いいよ、許してあげる!グリフ、良い顔つきになったよ!!」
シルカにそう言われると、グリフも涙目になって、再び頭を下げた。
「僕も許すよ、ヒューマンは、誰でも人生に躓いて転ぶもんだからさ。
その時、人生に躓いた理由を考えれるやつだけが成長出来るんだ、…そしてグリフにはそれが出来た。
転んで出来た心の傷は、いつかは頑張って考えたグリフの誇りになるんだから!」
リューのその言葉に、グリフも遂に涙してしまった。
リューは、グリフを抱きしめると、耳元で頑張れよ。と呟いた。
「じゃあな!次に会う時には僕が羨む位のいい男になってろよ!」
「あぁ!!また会おう!!」
グリフは、いつまでも手を振り続けていた。
昨日更新した64話なのですが、書き忘れていた事が多々あり、修正と加筆がされております。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。




