表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第一章 始まりの崖の下編
6/191

世の情けは尊い

「そういえば、異世界に吹っ飛ばされたー!

…とかなんとか言ってたじゃないですかぁ?

…あれってどういう意味ですかぁ?」


皆木さんは、僕が買った品物を特大の袋に詰めながら言った。


「今日、南伊豆に平鱸(ヒラスズキ)釣りに行くって言ってたじゃない?

その時に、あり得ない高さの波に飲まれたんだ…。

…で、気がついたら、切り立った崖に囲まれた磯にいてさ、ステータス画面とか開いちゃうし、なんか謎の魚釣れちゃうし、物凄く困ってるんだよ。」


皆木さんは、キョトンとした顔をしながら言った。


「いや、海上さん、ここにいらっしゃるじゃないですかぁ?

…ははーん、最近見たアニメがそういう異世界転移物で、なりきりしてるんですねぇ?」


…と、言って全く信じてもらえない。


なかなか信じてもらえないのは悲しいが、リューは構わずに続けて話す。


「さっき言ってたここにしか来られないっていうのは、そういう理由でさ、俺を異世界に引き込んだ海神の力だと、俺をこっちの世界に戻す事が出来ないんだってさ。

でも、俺が釣師(アングラー)だから、こっちの世界の一部、さらに言うと、このタックル便利だけ召喚して利用出来るようにしてくれたんだ。」


「またまたぁー!」


と、皆木さんは笑いながら僕を見ている。


「じゃあ、ちょっと今から店の外に出るから見ててくれる?」


と言って、僕はタックル便利のドアを開いた。

タックル便利のドアを開くと、そこはまた例の磯で、再び日本の代表的なアニメのアイテムを使った気分になる。


僕は、そこから一歩磯側へと踏み出して、再びタックル便利に戻った。


「どうだった?」


そうリューが問いかけると、皆木さんは口をパクパクさせながら言った。


「き、消えましたぁ!

店から出る海上さんの姿が…消えましたぁ!」


と、皆木さんは、かなりパニクっている。


「…ね?マジで困ってるんだよ…。」


「ええと…、ホントなんですね?」


皆木さんは、確認をするように僕に問いかけて、僕もコクリと頷いた。


皆木さんは、ちょっと何か考える素振りをして言った。


「…ちょっと待ってて下さいねぇ!」


皆木さんは、店の外にバタバタと出て行き、駐車場の端に停めてある自分の車から、デカいプラケースを持ってきた。


皆木さんは、18歳の乙女とはいえ、釣りに命かけてるので、身体の体躯に合わないゴツいSUVに乗っている。


このタイプのSUVに初心者マークが可愛らしい。


「海上さん、これ…使って下さい!」


皆木さんがくれたゴツいプラケースの中には、小さめバーベキューのコンロ、炭、着火剤、着火用の着火部の長いライター、紙皿、スチロール椀、箸、プラスチックスプーンにプラスチックフォーク、醤油、塩、砂糖、焼肉のタレ等の各種調味料、キッチンペーパー、タオル、あとガスランタンと、変えのガスなんかが入った、所謂バーベキューセットだった。


「えええええ!?

本当に、こんなのもらっちゃって良いの!?」


「あげません、貸すだけですぅ!

しっかり向こうで帰ってくる方法を見つけて、返してくださいねぇ!

この間、友達と川原でバーベキューして、積みっぱなしだったから丁度良かったですぅ。」


皆木さんは、ニッコリ笑ってそう言った。


「ひゃっほぅ!流石皆木さん愛してるぅ!

ちゃんと返しに来るからね!」


リューが、テンション高くそう言うと、皆木さんは、顔を伏せてプルプルしてる。


耳も赤いし、どうしたのかなぁ?


「と、とりあえず、ありがとうね!

大事に使わせてもらうよ。」


「はい!またのご来店をお待ちしておりますぅ!」


皆木さんは、顔を真っ赤にしたまま笑顔でお辞儀をして言った。


リューは、ビッと手を上げると、ゴツいプラケースの上に買った包丁セットと、寝袋の入った大きなビニール袋を乗せて、エッサホイサと、あの磯に戻って行くのだった。

ブックマークも増え、評価もたくさんしていただき、本当にありがとうございます(*^ω^*)


次回からは、まだ幻想の世界にリターンします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ