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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第三章 怒りのレイウインド編
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パウスベスティア料理店モナード・レイ

「さーてと、この後はどうしようか?」


リューは、レイウインドの街並みを見渡しながらそう言うと、兵の一人がこちらに来て言った。


「その、グリフ殿の父上様である町長が、あなた方にお会いして謝罪したいそうですが。」


そう言うのだが、いまいちリューは気乗りがしなかった。


「いや、謝罪はいらないです。

我々とフェノールにこれ以上迷惑はかけない様に、今後グリフをしっかりと管理して下さい、もう威光は使えなくなっていますからと、お伝え下さい。」


「へ?」


と、兵は言っているが、リュー達は構わずレイウインドの町を散策しに行った。



…。



夕陽に染まるレイウインドの町の大通りを歩いて行くと、シルカがリューに言った。


「リューって、何か格闘をしてた事があるの?

グリフ戦にしても、お父さんとの勝負内容を聞いたにしても、素人技術ではないわよね?」


それにリューが返答する。


「いや、学生の時に運動部にいたくらいで、実際に格闘を習ったりした事ないよ?

ただ、元の世界で色々な格闘を見たりするのは好きだったから、自分の部屋でアチョー!!ってやってたくらいかな?」


「それなのにあんな強いの?

実践経験があるみたいに強いじゃない?」


シルカが首を傾げながら言う。


「うーん、実践って、友達と可愛いケンカしたりした事は何度かあったけど、それくらいかな?」


「ふーん…。」


シルカは納得してはいなかったようだが、それ以上追求はして来なかった。


「お、あそこでご飯が食べれそうじゃないか?」


リューが指差した先には、デカいモンスターを下から火で炙っているマークがある料理店があって、焼けた肉の香ばしい香りが辺りを包んでいた。

昼はハスキーにほぼ食べられてしまったので、お腹が空いてクラクラしていたリューは、舌舐めずりをしながら言った。


「そうね、そろそろ夕飯時だし、そこでご飯を食べてから宿を探しましょうか!」


「わふっ!(肉!肉!)」


シルカも賛同してくれたので、リューとハスキーは競い合うようにその店に入って行った。


[パウスベスティア料理店モナード・レイ]


この店は、鯨に近い海獣の料理を出す店らしく、海辺の町のレイウインドではポピュラーな食材らしい。

入り口のドアを押して入ると、ドアに掛けられたベルがカラーン!と鳴って、若い男の従業員が此方を向いて言う。


「いらっしゃいませ!!…おっ!さっきグリフの野郎をぶっ飛ばしてた人じゃないか!

いやー、爽快だったよ、ありがとう!」


リューは、町の人の反感こそ買えど、感謝されるとは思ってなかったので、うろたえてしまった。


「え、ええ!?いや、なんかその、ど、どういたしまして?」


「まぁ、そんな所に立ってないで、席に座った座った!!」


その従業員に席に通してもらい、席に着くと、その従業員がにこやかに笑いながら言った。


「俺の名はグラン、この店のマスターの息子だ。

あのグリフの野郎には威光の力でやりたい放題されててさ、食事代は払わないわ、店で暴れたりするわ、本当に頭にきてたんだよ、ありがとな!

今日は、サービスするから、腹一杯パウスベスティア料理を食ってってくれな!」


グリフは、町の人にも嫌われていたようで、グランも清々した顔をしている。


「ありがとうございます!そのパウスベスティアってやつを初めて食べるので、楽しみにしてます!」


「わふっ!(楽しみだね!)」


グランは、ビッ!と、サムズアップすると、店の入り口の所で立って注文待ちをしているようだ。


「シルカはパウスベスティアを食べた事があるの?」


「うーん、一回くらいかなぁ?

昔、レイウインドとフェノールが仲が良かった頃にお父さんと食べた事があるけれど、私もまだ小さかったしあんまり覚えてないのよね。」


「なるほど、食べてみてのお楽しみってことだね!」


リューがメニューを見てみると、パウスベスティアの絵が描いてあり、鯨と海驢(アシカ)を足したような風貌で、こんなやつなのか!と、ワクワクした。

メニューの中から、数点シルカが選んでくれたものをグランに頼むと、威勢のいい声で返事する。


「あいよっ!!ちょっと待っててくれ!!」


と、厨房に駆け込んで行った。



…。



暫くして一番最初に出てきたのは、パウスベスティアとラディッシュの煮込み料理で、ワインの香りが鼻を擽る。

皮に近い部分は、鯨と同じく脂が多いのだろうか?プリプリとしていて、食欲を唆る。


「よしっ!ではいただきます!」


リューは、顔の目の前で手を合わせると、フォークで先ずはラディッシュを口に運ぶ。


「うん!しっかりと味が染みてて柔らかくて美味しい!ワインと、少量のビネガーと、パウスベスティアから溶け出した脂の甘みが絡んで、これは日本の煮物と違う良さがあるな!

さて、次はメインのパウスベスティアの肉を!!」


リューが、パウスベスティアの肉を口に運ぶ。

すると、悶絶しながら言った。


「うぉぉ…!!脂の部分が蕩けてなくなった!

それを隠し味的なビネガーが、クドさを消しているね!!

その脂の下の赤身の部分が、しっかりした食感なのにホロリと崩れていく!

鯨肉も僕は好きだけど、より癖がなくて本当に美味しいね!」


リューが夢中で煮込みを食べていると、二品目が来た。

次の料理は、パウスベスティアの挽肉を使ったボロネーゼである。

リューが煮込みに集中している間に、シルカが先に頂いた。


「いただきます!」


シルカが挽肉を抱き込む様にパスタをフォークに巻きつけて、そっと口に運ぶ。


「うん!こっちも美味しいよ!!

セロリとか、玉葱なんかの野菜とワインの風味で、パウスベスティアの挽肉がより引き立っているね!!

それがこのモッチリとしたパスタに絡んで…!!

美味しいよぉ!」


シルカの顔が、赤みを帯び、ニッコリと笑った顔をより美しくしているのを、リューは見逃さない。

それを見てリューも、嬉しい気持ちになってニコニコとしている。


そうしていると、直ぐに三品目が来た。

次はパウスベスティアのガーリックレモンステーキである。


「わふ!(に、肉だ!デカい!御主人、とってとって!)」


「はいはい!」


ハスキーに催促されたので、リューが取り分けてあげる。


「わふっ!(いただきますっ!)」


早速、ハスキーが齧り付く。


「わっふ!(こりゃたまらん!いくらでも食える!)」


ハスキーは幸せそうな顔をしてパウスベスティアのステーキに齧り付いているのをリューとシルカはニコニコと見ている。


すると、グランがサービスのドリンクを持ってきてくれた。


「ほら!こいつはサービスだ!

爽やかな飲み口だから、飲みやすいぞ!!」


それをリューが口に運んでみる。


「お!柑橘の強めな香りに、程よい苦味と甘味のドリンクだね?

うん、飲みやすくていいよ!」


「だろう?これに使っているレイジェリンの実は、アルコールを感じさせないくらい強い爽やかな香りがするんだぜ?」


「へ?アルコール?」


それを聞いたリューは、段々と視界が回ってきてバッタリと机に突っ伏してしまった。

パウスベスティアのネーミングの由来。


パウスが、インドネシア語で鯨の意味。

ベスティアがスペイン語で獣の意味で、それを合体させたものです。

鯨と海驢をイメージして作ったモンスターなので、鯨と海獣でこの名前になりました。

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