海神と戦神〜この因縁を払拭するドロップキック〜
シルカに抱きしめられていたリューがデレデレしていると、不意に辺りが静かになった。
不審に思ったリューが辺りを見回してみると、周りを取り囲んでいた兵や、ハスキーもピクリとも動かない。
「え!?こ、これってどういう事なの?」
「う、うん、どういう事なんだろう?」
と、リューとシルカが動揺している。
すると、スラリと細くて若い男性が軽装な甲冑とマントを着たような出で立ちで、上空から落ちて来ると、リュー達と、グリフの中間あたりにドンッッ!!…という効果音で着地した。
「ーッッ!!」
リューは、シルカを背中に庇い、ラープシュグラディウスを構えて、舞い上がった砂煙が落ち着くのを待つ。
「…やぁ。」
砂煙が薄らいでいくと、その若い男性は、リューとシルカの方を見てそう言った。
リューとシルカは、顔を見合わせてから頭をぺこりと下げて言う。
「はぁ、どうもこんにちは…。」
「こ、こんにちは、えーと?貴方は一体…?」
シルカがその男性に声をかけてみると、執事がするようなポーズをしながら挨拶してきた。
「初めまして、私の名前はアーサレス。
世の中では戦神とか言われている[ソレ]ですね。
この度は、私の子が皆様に多大なご迷惑をおかけしたという事で、あなた方に謝罪に参った次第です。」
アーサレスが名乗った瞬間に、強烈な後光がアーサレスを照らし、疑問の余地無く神格を帯びた者だとリュー達は理解した。
それを聞いて、シルカが座って頭を下げたので、リューも同じくその体勢をとった。
「いや、それはアーサレス様に謝っていただく様な事ではありません。
力の使い方を誤った我らヒューマンに非があるのです。」
シルカがそう言うが、アーサレスは、首を横にフルフルと振り、こう返す。
「いや、世の為に使うには私のユニークスキルは、あまりにも攻撃的過ぎる。
戦火の世では私のスキルは役に立つだろうが、今、この大陸は完全統一されていて、平和な時代を迎えている。
こういう力がある事こそが、世を乱していると私は思った。」
そう言うと、アーサレスはグリフの方に手を翳し、人差し指を上に突き立てる。
すると、グリフの胸の辺りから眩い光の玉の様な物が浮き上がり、アーサレスの指先へと移動する。
「…グリフ=レイ=ウインドのユニークスキルは、今を以って私に返還して貰った、これで威光の力を使ってフェノールに兵を差し向けたり出来無くなるだろう。」
それをアーサレスが掌で握ると、パァァン!!と言う音と共に砕け散り、アーサレスの後光が増した気がした。
「ありがとうございます。
…これで私達は、後顧の憂いなく世界を旅する事が出来ます。」
シルカが頭をより下げながら言った。
「いや、いいんだよ。
私はこれまでヒューマンに干渉しなさ過ぎた、そこの神と違ってね。」
と、アーサレスが兵の後ろにいるやたらと巨体な身体をしている男を指差して言う。
それにビクッと反応して、その巨体な男は、身を屈めたが、笑ってしまう程隠れきれていない。
「…な、なーんでバラしちゃうんだよー、アーちゃーん!!」
と、その男は軽い口調でアーサレスに文句を言った。
「いや、アーちゃんの地域に面白いヤツが行くから見ておけって言ったのリヴァイアさんじゃないですか?
絶対にここにも見に来てるだろうと思ったんですよ。
そもそも、私が作るこの領域で、時間停止しないのは、神自身か、神の加護を持つ子しか有り得ないのだからバレバレですよ…。」
リヴァイアと呼ばれた男がノッシノッシと、リュー達の前に来るが、ヒゲ付きサングラスの様な物をしていて、リューは吹き出してしまった!
「あははは!貴方が海神リヴァイアか!?
いや、まぁ初めまして…ですが、アンタのせいで、僕はえらい目にあってるんだ、勘弁してくれよ全く…。」
リューがそう言うと、リヴァイアは、頭をポリポリ掻きながら言う。
「いや、本当に申し訳ない!!
まさか神の力が異世界まで通用してしまうとは思ってもみなかったんだよー!
そもそも、異世界って概念が無かったからね、最初リュー君がこちらに引き込まれた時にはビックリしちゃったんだからね。
まぁ、…でも、シルカちゃんと出逢えたんだからその件はチャラって事で良いよね?ねぇ、ダメ?」
軽っ!!…と、リューは思ったが、確かにシルカと出逢えた事は感謝すべき事だったので、ハァ…、と溜息をつきながら言う。
「これ以上迷惑事は勘弁してくださいよ…。
でも、ひとつだけ海神様にあったら言おうと思ってた事があるですけど、いいですか?」
「ん?なんだい?感謝の言葉はいらないよ?」
「一度ドロップキックかましても良いですかね?」
リューは、目を輝かせながらドロップキックをした。
昨日の作者の釣果
伊豆半島を巡りながら堤防と地磯でのルアー釣り。
カサゴ5匹(15〜25cm)
マゴチ1匹(40cm)
ワニゴチ1匹(20cm)
目当てのハタ類は釣れませんでしたが、楽しかったです笑




