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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第三章 怒りのレイウインド編
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龍の逆鱗

山を抜けて木々が途切れると、そこは白い砂のビーチだった。

粒子の細かい白い砂に、太陽を日差しが反射して、キラキラと光り、とても美しい。


「おぉー!メッチャ綺麗な砂浜だね!

海も澄んでいて、どこが海と砂浜の境かわからないくらいに綺麗だよ!」


リューは綺麗な海を見てテンションがあがっているが、シルカはレイウインドで向こうの町長の息子と話しをするのが億劫なのか、ややおとなしい。

リューは釣りをさせて!と言いかけていたのだが、ちょっと今は違うかな…と思い、海を見ながら波打ち際を歩いていく。


「あ、リュー、あそこに見える岬の付け根にある町…、あれがレイウインドだよ…。」


明らかにシルカの口調が重い。

リューは、トボトボと歩くシルカの手を取り隣を歩きながら言った。


「大丈夫だよ、僕もいるし、ハスキーもいる。

何も心配なんてないよ!」


と、シルカを元気づける。


「うん…そうだよね。」


と言うシルカの足取りは重く、本心では行きたくなかったのだろうと思うと、旅に連れ出したリューは申し訳ない気持ちになった。


そのまま、美しい砂浜をリュー達はゆっくり歩いて、気がつくとリュー達一行は、レイウインドの町の門の前に立っていた。


「スーハー…スーハー…。」


とシルカが深呼吸していると、門番の警備兵がこちらに来てニヤニヤとしながら言った。


「おぉー!フェノールのお嬢さんじゃないか!

遂にうちの坊ちゃんと結婚する気になったのかね?

ククク、まぁ、ここで立たせたくのもなんだから、町の中に入るといいよ。」


重いシルカの気持ちとリンクするように、重低音を響かせながら門が開いていった。


「さあさ、坊ちゃんは中央役所にいると思うから、会いに行ってあげて熱ーいキッスでもしてあげて下さいな、ククク。」


「…どうも。」


そう言うと、シルカはスタスタと中に歩いて行った。

シルカの後ろをリューがイライラした顔で追いかける。


「なんだアイツ…、なんであんな癪に触る言い方するんだよ…。」


ハスキーは、御主人の怒りを察したのだろうか?

何も言わずにリューの隣を駆け足で付いてくる。


町はフェノールの町の規模とほぼ変わらないが、閑散としていて、たまに見る町人も何故かそそくさと歩いて行ってしまう。

甲冑をつけた兵達がシルカの方を見てはニヤニヤしてボソボソと何かを言っているのが、リューには堪らなく不愉快だった。


中央役所に向かってリュー達が歩いていると、その中央役所の方から砂煙が舞い上がって、リュー達の前で止まった。

先頭に黒い甲冑を着込んだ、やたら目付きの悪い若い男が馬に乗って、上からこちらをニヤニヤと見下している。

その周りに騎馬兵が八騎程いて、リュー達を取り囲むような布陣をとった。


黒い甲冑を着込んだ男が馬から降りて、シルカだけに話しかける。


「おぉ!誰かと思えば、シルカ、俺と結婚しに来てくれたのか?

先々月は悪かったねぇ、シルカが俺のプロポーズを受け入れないと知った兵100人程が勝手にフェノールに行ってしまってね!

フッフッフ、止めたんだよ?俺はね?」


シルカは黙って聞いている。


「で?式はいつにするか決めてきたのかい?

まぁ…これ以上聞き分けが無いと、この町にいる1000人の兵が、フェノールに勝手に行ってしまうかもしれないがね?フッフッフ。」


リューが、イライラした顔をしたが、シルカが真顔で耐えているので、落ち着いて話しを聞いていた。


「式ですか?昨日終わりましたが?」


そう、シルカが言う。


「ん?何を言っているんだ?」


黒い甲冑の男は、訳の分からないといった顔をして言い返す。


「結婚式ですよね?昨日終わりましたよ?

私の名前は、シルカ=セラ=ミカミ、ここにいる海上流視の妻です。

もう、どう頑張っても、貴方の嫁なんぞにはなれませんけど、まだ言いますか?

これ以上無茶苦茶な事をされるのなら、セントラルコート(※1)でお会いする事になりますよ?

アーサレスの子の名前が泣きますね[グリフ=レイ=ウインド]さん?」


その言葉に、グリフと呼ばれた男が、フルフルと震えたと思ったら、キッ!と、リューの方を見たグリフが叫ぶ。


「こんな!何処にでもいそうな野郎と結婚しただと!?

ふざけるなっ!!この美しい[女]は俺の物だっ!貴様、どんな手段を使った!どうせ卑劣な手だろう!?」


それに対して、リューは怒っていたが、グリフに冷静に言い返す。


「貴方が何処のどなたか存じ上げませんけど、貴方はシルカを手に入れようとフェノールを攻めたんですよね?

僕は大好きなシルカと一緒にいたいから、その笑顔を守ろうと戦った、ただそれだけです。」


リューは続けて言う。


「あと、シルカの事を[女]って言いましたよね?美しければ、誰でもいいんじゃないですか貴方は?

僕は、シルカの事を全て愛しています、その優しさ、慈愛の心、頑張り屋で無邪気に笑う所。

その心の方の美しさにも気付かないのに、シルカを選んだんですか?」


シルカは、真っ直ぐにリューの事を見て頷く。


そのリューの言葉を聞いて、グリフのコメカミには血管がはち切れんばかりに浮き上がり、プルプルしていたが急にシルカの方に向き直って叫んだ。


「この…、気安く惚れやがる売女(バイタ)がっ!!」


パシーン!!


…と、シルカの頰を張る音がレイウインドの町に響き渡る。


それと同時に怒り狂ったハスキーが唸りながらグリフの首筋を目掛けて飛びかかった!


それをリューが手で受け止めてハスキーを地面に降ろす。


「ガウッ!(なんで止める御主人!許せねえ、こいつシルカの姉ちゃんを殴りやがった!)」


しかし、リューの顔を見たハスキーは、尻尾が垂れ下がり後退りしてお座りした。


シルカの方を見てリューは謝る。


「ゴメン、もう我慢できないわ。」


「え?」


と、シルカが言った次の瞬間。

リューの姿が、シルカの視界から消えたのと同時に。


メキぃッ!


っと、鈍い音と共にグリフの顔面にリューの拳が突き刺さる。


「ぐっッッは!!」


と、グリフは錐揉みしながら後方へ10m程吹き飛んだ。


咄嗟に周囲の騎兵が、リューに槍を突き付けて怒鳴る。


「き!きっさま!坊ちゃんに何をす…!」


まで言いかけた騎兵が、怒りに震えるリューの顔を見て言葉を失う。


「来いよ、こいつに味方するやつは全員敵だ。」


リューがそう言うが、誰も踏み込めない。


中空に浮かぶウインドウに新しいスキル名が書かれている。




ユニークスキル[流視(リュー)の逆鱗]

※1セントラルコート

この大陸の中央裁判所の事。


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