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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第一章 始まりの崖の下編
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異世界初の釣果は痺れる感動と共に

怒りに任せてウインドウにドロップキックを入れた僕は、磯でゴツゴツの地面へとお尻から盛大に着地して悶絶した。


「フオォォォ!!…クソ…海神…だったか?僕をこんな場所に置き去りにしやがって!いつか出会う事があったら、絶対にドロップキックしてやるからなっ!」


僕は「グヌヌ…!」…と右手で拳を握りしめ、打ったお尻を左手でさすりながら目の前の海を見てみると、先程まではベタ凪(※1)だった海面に小規模ながらナブラ(※2)が起きていた。


この状況だと小魚を海面へと追い込んだ大型魚が小魚の群れの下にいる事が多く、スキル付与されてすぐのチャンスタイムが到来したのである。


「マジか!?コレが[海神の恩寵]の効果って事か!?取り敢えず海神あっざーっす!」


…と、僕は海神への態度を180度変更して、そのままルアーをナブラに向かってキャストした!


逃げる小魚を演出して、ジャーク(※3)をさせながら早めにリールを巻いてルアーをアクションさせる!


するとルアーの後ろに魚らしき姿と波紋が起きて、そのままガッツン!とルアーをひったくるような当たりが発生した!


「よっし!きっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


待ちに待った当たり!僕はすかさずフッキング(※4)を入れると、針がかりして逃げ惑う魚と慎重にやり取りをする。


今までの釣りと違い「あーあ、バレちゃったよー!」…とかではすまない状況なので、魚の動きに合わせて丁寧にやり取りしながら魚を寄せて来る。


「よーし…後少しだからバレるなよー!」


僕は左右へ泳ぎ廻る魚をロッドワーク(※5)でいなし、ジリジリと遂に磯際まで魚を寄せる事に成功した!磯の低くなっているところに魚をずり上げて、フィッシュグリップを下顎にかける!


「よし!とった!」…と、僕がガッツポーズをしようとすると…。


「っし!?あバばばばばばば!!」


その瞬間、釣り上げた魚が痛烈な電撃を発して僕はそりゃあもう盛大に感電した。


アマゾン川で電気鰻(デンキウナギ)を釣ってる訳じゃあるまいし、魚を釣ったと思ったら電撃を食らうなんて普通思わないって!!


それは意識を失う程の電気ではないものの、電撃によって筋肉が硬直し、フィッシュグリップを握り締めてしまって、なかなか魚を陸地へと取り込めない。


電撃をくらいながら魚の姿を見てみると、ダランと垂れ下がった下唇、翻車魚(マンボウ)の様にキュートな眼差しで、熱帯魚で言うところのエレファントノーズと日本人お馴染みの本鰹(ホンガツオ)を混ぜて巨大化させた様な風体、サイズは60cmくらいありそうだが…。


「なななんじゃこいつわぁっダだだだだだ!」


魚の風体にビビり…尚且つ身体もビリリってか?…っさい!やかましいわ!


電撃は一向に弱まる気配もなく、ウインドウに表示されている僕のHPがグイグイと削られていく。


このままじゃマズイ!…かと言ってフィッシュグリップを握った手は電撃によって硬直してしまって離せない!


…よし、ならば!!


「おっ…おっっっっりゃあぁ!」


…と、僕はフィッシュグリップで掴んだ魚の頭を磯の突起にガツン!と叩きつけた。


ここで電撃が弱まったので、僕はチャンス!…と、すかさずナイフで魚の脳天に切り込みを入れ、魚を絞める。


その瞬間にウィンドウのLVの項目がレベルアップを告げる光を放った。



リュー ヒューマン

ジョブ 釣師(アングラー)

LV1→3

HP8/51

MP0/31

力…16

敏捷性…20

持久力…13

魔力…10

運…6+20


スキルポイント[20]獲得



なんと魚釣ったらレベルがあがりました…。


一応モンスター扱いなんでしょうかね?…戸惑いながら僕は首を傾げた。


「いや…そんな事よりも…つ、疲れた…。」


…でも今度こそ…!


「ぃよっしゃぁぁぁ!」


僕以外誰もいない断崖絶壁の崖の下に、渾身の雄叫びが響き渡った!


僕は手際よくを魚のエラと尻尾の付け根の部分にナイフで切り込みを入れ、海水が貯まるタイドプール(※6)に浸して血抜きを行った。


「ふぅ…何事かと思ったけれど…なんとかなったなぁ…。」


僕はヘナヘナと座り込むと、グッ!と拳を握り締める。


ギリギリではあったが、なんとか初めての異世界魚をゲット出来た僕であった。


電撃と集中による倦怠感があったが、そこは釣師(アングラー)、釣果の喜びに勝るものはない。


血抜きしている間に滝で魚の血を洗い流していると、ウインドウのスキルの項目にNEW!!の文字が点灯している様だ。


「んん?なんだこれ?」


僕がウインドウをタッチしてみると、習得可能スキルの項目が増えていたのだった。

※1ベタ凪

海面が波もなく、鏡のようになってる事。


※2ナブラ

大型魚に追われた小魚が、海面でバシャバシャとザワついている様子の事。

海面の小魚の下に大型魚の群れがいて、時には海面に大型魚が飛び出すこともある。


※3ジャーク

ルアーを巻きながらロッドを上や横に力強く煽ってイレギュラーアクションを発生させるルアーテクニック、逃げ惑う魚を演出する。


※4フッキング

魚がルアーに食いついた後に、竿を力強く煽って口に針を掛ける動作の事。


※5ロッドワーク

釣竿の操作で、魚の動きに合わせたりしてバレにくくしたり、魚の泳ぐ方向を操作する事。


※6タイドプール

磯の窪み等に波が被り、海水が溜まった場所の事。

小動物パラダイスである。

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