表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第一章 始まりの崖の下編
18/191

初めての釣果は一生忘れられない思い出

「えっと、つまり、簡単に言うと、この世界の物を口にすると、その特性をスキル化して自分も使える様になると…。」


「いやいや、さっきからそう言ってるんだけど…。」


シルカは少し頭がパニクってる様で、そこからも僕のユニークスキルがチート級だと判断できる。


「…リューが、私を食べちゃったら、リューが[正義女神のジャッジメント]とか、私のスキルを使える様になっちゃう?」


…なかなかに怖い話しをブッ込んでくるなぁ…。


「いやいや、シルカを食べるとか、人間を食べるとか僕には無理だよ!

そこは最低限、食材と言われる物だけにしてください!」


シルカは、ホッとした顔した後、ハッと一瞬何かを考えついたようだったが、頭をブンブンと振り、話題を変えた。


「まぁ、ユニークスキルについては分かったわ!

それよりも釣りをしましょう!

ええと、私が納屋から持ってきた釣り道具は、こんな感じなんだけど、どんな釣りが出来そうかな?」


…と、僕に聞いてきた。

見た所、強化した竹のような素材の3m程の延べ竿(※1)に、何本かの糸を編み込んで作ったと思われる糸、少し大きいドングリの様な木の実をくり抜いて作ったとウキと、針先があまり鋭くない少し大き目な太い針。


「うーん、川で(コイ)みたいな魚を釣るには良いかもしれないけどなぁ…。

とりあえず、針先は、ライフジャケットに付けてあるフックシャープナー(※2)で研いでおこう。

餌は何を持って来たんだい?」


僕が聞くと、シルカは?を浮かべた顔をしている。


「リューが、餌とか使ってないから、特殊な釣り方があると思って持ってきてないよ?」


うん…初心者だろうとは思っていたが…これはナカナカ。


「いやね、僕はこう言う小魚の形をした物に針が付いてるやつで魚を釣ってるんだけどさ…」


「じゃあ、私もそれが使いたい!」


う、うん、延べ竿でルアー釣り…、カツオの一本釣りかな?


とりあえず、シルカにルアーはリールの付けれる竿じゃないと無理だと言う事を説明し、とりあえず、磯際に沸いているフナムシの様なヤツ(元の世界のフナムシと微妙に形が違う)を針に付けてあげる。


「これで、海に投げ込んで、ウキが沈んだら竿を立てて魚の口に針を掛けるんだよ。」


「はぁーい!」


ルアー釣りが出来なくて、若干不機嫌そうなシルカではあるが、分からないなりに、言うことはちゃんと聞いてくれているようだ。

さーて、僕も自分のタックルを準備し…。


「!!…き、きたっ!リュー!リュー!?来たよ!

どうすれば良いのぉー!」


お、おう…なんてイージーモード!


「と、とりあえず竿を立てて、魚が弱るのを待つんだ!」


シルカは持ち前の身体能力と経験則で、魚の力を殺し、教えてもいないロッドワークで魚の動きを制している。


その時、いきなり魚が海面から飛び出した!

エラ洗いと呼ばれる行動で、抵抗の少ない空気中にジャンプして首を振り、針を外そうとしている。


「シルカっ、ロッドを下げて、魚を飛ばせないようにしてっ!」


シルカはコクリと頷いて、僕の言う通り魚の動きを殺す。

海中を右往左往と泳ぎ回る魚だったが、段々と弱まって来て、魚はついに水面に顔を出した。


「まだ、暴れるかも知れないから、慎重にそこの低い場所に魚を誘導しよう!」


「こ、こう?

これで大丈夫かな?」


シルカは、時折反転して暴れる魚をいなし、僕の指示どおり磯の低くなっている場所に魚を導いた。


僕が駆け寄り、魚の口にフィッシュグリップを掛けた。

エゲツない程に鋭く尖った背びれをしているのだが、特に、暴れる様子もないので、シルカに背びれだけ気を付けて!と、フィッシュグリップごとシルカに渡す。


「おめでとう!シルカの初めて釣った魚だよっ!」


シルカは、うわぁー!とか、やったぁ!とか言いながら、目をキラキラさせて、魚を見ている。

そこで、いつも通りウインドウが開く。


[ラフダックス]


65cm

LV10

エルノーラ大陸のみならず、よほど寒くない場所ならば、リジュワルドほぼ全域に生息する肉食魚。

数匹から、十匹くらいの群れで移動し、口に入るサイズの生物なら、なんでも食べる。

特徴的な鋭い背びれは、頭上の小魚の群れを切り刻み食べる為に使う。

針がかりすると、エラ洗いを頻繁に行い、針が外れるか、または背びれで糸を切り裂いて逃げていく事も多く、釣りの難易度としては高い。


味は、身は程々に美味いが、特筆する程のものではなく、普通。

しかし、アラから取る出汁がとても上品で奥深い味わいである。

身は刺身やムニエルなどにして、骨や頭などは汁物にすると無駄なく味わえる。


汁物かー、鍋がないんだよなぁ。

シルカが持ってないかなぁ?


とりあえず絞めようかと思ったが、今回釣ったのはシルカなので、シルカにトドメを刺させて経験値を取らせてあげようと思ったリューは、シルカにナイフを渡し、ここにナイフを刺してラフダックスを殺すんだ。…と説明する。


シルカは、えぇー、リューがやってよっ!と言うが、経験値の件で説得し、決心したのか、シルカがラフダックスを絞めた。

すると僕のウインドウが開き、レベルアップを知らせる光が輝いた。


「あっれ!?なんで僕もレベルアップしてるの?」


そこで、シルカが僕に説明してくれた。

どうやら、行動を共にしていると、パーティとして認識され、パーティメンバーにも経験値が入るようだ。

今回シルカはレベルアップしなかったが、シルカはLV23らしい。


…うん、シルカパイセン、調子に乗っててサーセンした!


リュー ヒューマン

ジョブ 釣師(アングラー)

LV7→10

HP99/141

MP61/83

力…38+10

敏捷性…51+50

持久力…43

魔力…44

運…19+20


スキルポイント30獲得

合計70ポイント


リューは、自分が着実に成長してきているのを実感していた。

※1延べ竿

リールを付けないタイプの釣り竿で、竿先に直接糸を結んで使う。


※2フックシャープナー

携帯に便利なサイズの砥石みたいな物で、針先が丸くなった時などに研いで刺さりを良くする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ