濃い一日目の終わりに
「おーい!おーい!シルカの姉さーん!結構時間経ったが大丈夫かー!?」
崖の上の警備兵が、あまりにも帰って来ないシルカを心配してか、声を掛けてきた。
シルカは、ヘイルボルグの塩焼きの残りを口へ描き込み、モグモグゴックンして警備兵に返事をする。
「大丈夫よー!
この人は、敗残兵じゃなくて、ただの流浪の釣り人だったわ!
色々話しを聞いていただけで、すぐ戻るから、もう少しだけ待っててー!」
そう返事すると、シルカは、ヘイルボルグの塩焼きに大変満足したようで、満面の笑みでお腹を撫でている。
「ご馳走様でした!
私は今日はこれで帰るけど、リューは暫くはここにいるのよね?」
「そうだね、何にせよ、ここを抜け出せる方法を見つけるか、レベルアップで身体能力が上がって崖上まで行けるようになるか、そうならない内は暫くここで釣りしながら生活しようと思ってるよ。」
リューは頭を、ワシワシしながら苦笑いをした。
「…また、ここに遊びに来ても良いかな?」
モジモジしながらシルカが言う。
「もちろん!シルカの好きな時に遊びに来ると良いよ!僕も一人で心細かったし、シルカといると楽しいよ。」
僕は、ニッカリ笑いながらシルカに向かってサムズアップした。
「ふふ!ありがとう!じゃ、また!」
…と、シルカは[飛翔]のスキルを発動し、崖に吹き付ける上昇気流を纏って崖の上へと帰っていったのだった。
ブンブンと手を振っていたリューだが、今日一日ずっと行動していたので、流石に眠くなって来た。
津波に押し流されたり、ずっと釣りをし続けて汗をかいていたリューは、身体中がベタベタで気持ち悪かったので、滝で身体を洗おうとした。
「飲んだ時にわかってはいたけど、これは冷た過ぎる!」
と仕方なく断念する。
とりあえず頭だけ滝で洗い流し、後はバーベキューセットに入っていたタオルを滝で濡らして絞り、身体を拭いた。
服は滝で洗って、しっかり水気を切って夜干ししておけば、明日の朝にはシャツとパンツくらいは着れるくらいにはなってるだろう。
そう判断し、洗濯して、風に飛ばされないように、バーベキューセットが入れてあるプラスチックケースを、服の一部分にだけ重石として挟んでおいた。
…現在、リューは腰にはタオルを巻いてあるだけのジャパニーズ温泉スタイルである。
「はぁーーぁ!もういい加減寝よう!」
眠気も限界まで来たので、ジャパニーズ温泉スタイルのリューはそのまま寝袋の中にモソモソと入り、すぐに眠りについたのでした。
温泉スタイルで寝袋とか、なかなかチャレンジャーだな…リューって笑