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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第四章 南方黄鉄の坑道〜タイタニアード編
100/191

幻の巨大魚との誓い

なんと100話です!

ここまで書けたのは、皆様のブックマークと、PV数あってのものです!

相変わらず稚拙な文章ですが、これからもよろしくお願いします!

「ん?何してるんですか、リュー様?」


リューは、マジックタックルボックスから平鱸ロッドを取り出し、ショアから大きな魚を釣る為のマッキングベイトという特大バイブレーションをセットしながらリヴァリエへと返答する。


「だから、リュー様はやめろって言ってるだろ。

いや、良い感じに潮に乗ってるし、リヴァリエが引っ張ってくれてるから舟のスピードがまぁまぁ出てるじゃないか。

ちょっとトローリング(※1)でもしてみようかなーと。」


「はぁ…トローリング…ですか…。

…で、なんですかソレ?」


ニヤリと笑ったリューが、ルアーを海面に放り込むと、ラインをスルスルと50m程出してからベールを返し、出ていくラインを止めて釣竿を構えると、リヴァリエへと簡単に説明してあげた。


「舟を走らせて魚を釣る方法だよ!…あ!少し右側に良い潮目があるから、そこへ突っ込んで行って欲しいな!」


「は、はぁ…。」


リヴァリエは、よく分かっていなかったが、とりあえずリューの指示通りに流れの強い潮目へと突っ込んで行った。


「こんなんで魚が釣れるのかい?」


…と、セイカイが舟の舵を取りながら、興味津々で聞いてくる。


「うーん、どうだろうね?僕の居た世界では、この方法で、最大4m以上もある、黒皮旗魚(クロカワカジキ)って魚を釣っている人がいたけれど…まぁ、もしもそんな魚が掛かっちゃったら、この釣竿とラインじゃ即殺されちゃうだろうけれどね!!」


「多分そんなのは掛からないよ!」…と、リューはアハハ!と笑っている。

11月なのに、昼間の暖かい陽気に誘われてシルカとラビは、肩を寄せ合って昼寝をしている。

いや、ラビに至っては、船酔いでダウンしていると言った方が良いだろうか?

そんな光景をリューは微笑ましく見つめながら、鼻歌混じりで「なんか釣れないかなー?」…と、ご機嫌である。

胡座で船尾に座り込むリューの足の中に、ハスキーはチョコンと座り込み、リューの鼻歌と一緒に「わふ!わふ!」と歌を歌っている。


「こんな方法で本当に釣れるのかなー?

あ、少し浅瀬があるんで、左に躱しますよー!!」


「はーい!」


「わふっ!(はいっ!)」


リヴァリエが、そう言ってスピードを緩めつつ、浅瀬を躱そうと左へと曲がろうとした時だった。

ピクッ!と反応したハスキーが、いきなり吠えた!


「わふっ!!(御主人!何か来るッ!!)」


「え!?」


その次の瞬間、スロープウィステリア号の後方の海面がざわついて、何かがリューのマッキングベイトを飲み込んだようだ!


「ま、マジか!!」


リューは、反射的にフッキングを入れるが、その時にリューが想像した相手は、巨大な岩だった。


「リ、リヴァリエ、舟を止めてくれ!!」


「は、はい!!」


「へっ!?何々!?なにがあったの?」


騒ぎを聞きつけて目覚めたシルカが、船酔いでグロッキーなラビを跳ね飛ばし、リューの元へと駆け寄って来る。


ジィーーーーーーーーーージッジッジッーーーーー!!


平鱸では、ほぼ出ないようにセッティングしてあるリールのドラグが全く止まる事なく下へ下へと突っ込んでいく!!


「ッッ!!こっこれは無理だ!!このロッドじゃ止められない!!」


リューは懸命に堪えるが、平鱸用の釣竿が満月の様な弧を描いて、竿先が海面へと突き刺さる!


「リュー!頑張ってー!!」


「わふっ!(堪えろ御主人!)」


パン!!


と、乾いた音がスロープウィステリア号の船上に響く。


「あぁ!ロッドがっ!!」


リューの平鱸ロッドは、バット(※2)部分から真っ二つに折れてしまっていた。


「お、折れちゃった…。」


…と、シルカは呆然としている。

ロッドが折れて尚、魚は下へと突っ込んで行き、やがて全く動かなくなった。


「くっ…根に入り込んだ…ロックフィッシュ系だったか…。」


そう言って、リューは悔しそうに歯噛みしている。


「し、仕方ないぞ、あんな引きは漁師の俺でも見た事ないからな…。」


悔しそうなリューをセイカイがなだめると、リューは残念そうにラインをハサミで切ろうとする。


「…ねぇ、リュー?」


「…ん?」


シルカが、ウーン…と、考え込みながら、リューへと話し出す。

リューにはその光景が、あの崖の下の磯で、崖を登る方法をシルカが考え付いた時とダブって見えた。


「リューには、ユニークスキル[海神リヴァイアの矛]があるじゃない?

糸が切れてないんだったら、糸を伝って潜って仕留めて来れば良いんじゃないかな?」


ハッ!としたリューが叫ぶ!


「そ、それだ!!」


リューは、シルカにリールを渡すと、「これお願い!」と言いながらラープシュグラディウスを引き抜く。


ザッパーン!!


リューはそのまま海へと飛び込むと、peラインの先にいるであろう魚の元へと沈下していく。

20mない程の海底へと辿り着いたリューは、ラインの先にある大きな岩へと近付いた。


!!


大きな岩の隙間を覗き込むと、そこには3m近くはあるだろうか?

途轍もなく巨大なロックフィッシュが、岩の隙間にエラを突っ張りながら、ギョロリ…と、こちらを見ている。


で、でかい!!なんだこいつは!?っぐ!!?


次の瞬間、リューは後方へ10m程吹き飛ばされた!

腹に消防車のホースからの放水をくらった(勿論、本当にくらった事はないだろうが。)様な水圧を受けた。


な、なんだ!?何かのスキルか!?


その巨大魚が再び口を閉じ、突っ張ったエラから海水を取り入れ、口の中で圧縮し、再びリューへと吐き出す!


あ、あぶねっ!!


飛んでくる方向は、多少歪んで見える為、何とか躱しながら、リューは巨大魚へと近づいて行く。

側面の岩を蹴って魚へと近付きながらリューは考えた。


…この勝負、釣りとしては僕の負けだよなぁ…。


尚も水圧砲で抵抗を続ける巨大魚を見て、リューは歯噛みする。

巨大魚を仕留められる距離まで詰めたリューは、少し考えた後、ラープシュグラディウスで突きを放った!


サクッ!


と、ラープシュグラディウスで斬り裂いたリューは浮上して行く。

その手には、針を切り裂かれたマッキングベイトが掴まれていた。


チクショー!次は…!次は負けないからなっ!!


リューは、巨大魚との再戦を願いながら浮上して行った。


「ぷはぁ!」


「あ、リュー!魚は捕まえられた?」


リューは、シルカから顔を背けながら言う。


「に、逃げられちゃった…。」


嘘を見抜けるシルカは、そのリューの言葉に、んん?とした顔をしたが、悔しそうなリューを見る限り、釣りで勝てなかったから逃がしてあげたんだろうなー、と思っていた。


「…そっか!早く上がっておいでよ!」


シルカが伸ばした手を取って、リューが舟へと乗り込む。


「次は、絶対に釣ってやるんだ。」


「ふふっ、そうだね!頑張ろうね!」


シルカは、ニコニコとリューを見つめている。

悔しそうなリュー、何故か嬉しそうなシルカ、御主人の負けに…というか、魚にありつけなかったので凹んでいるハスキー、変わらず船酔いでグロッキーなラビを乗せて、スロープウィステリア号は、メルビエールの石積み堤防へと帰港したのだった。

※1トローリング

高速船でルアーを引っ張って釣る方法の事。

文にも書いてある黒皮旗魚(クロカワカジキ)(英名ブルーマーリン)や、白皮旗魚(シロカワカジキ)(英名ブラックマーリン)などを釣る為の方法。


※2バット

釣竿の部分の名称で、竿先からティップ、竿の中程をベリー、持ち手の部分を除く根元周辺をバットという。

因みに持ち手の部分はグリップ。



今回で第4章は終了し、次回からメルビエールを出発します!

キリが良いので、この辺で過去分のキャラクターの心情や表現の追加を順次行っていこうと思います!

追加した話は、後書きや小説説明で更新説明をしていくので、よろしくお願いします。

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