チキンのキチンとした説明(笑うとこじゃない)
カタカタカタカタカタカタ…。
人生初めての超展開に、僕は震えが止まらなかった。
「…ここで何をしている?」
…と、背後の誰かが問いかけてくる。
僕が竦み上がり、何も答えずにいると。
「何をしているか、と聞いている!答えろ!」
背後の誰かは、語気を強め、回答を促してくる。
僕はビビりつつも、震えた声で答える。
「さ、魚を釣って…焼いて食べる所です…。」
「…それは、見ればわかる…。」
ハァァァ!?なら聞くなよ!クソが!
…と、リューは怒りのツッコミを入れそうになるが、やはりそこは怖いので「グヌヌ…。」と堪え、背後の誰かへと問う。
「あ…あの、何か僕に用事でしょうか?」
僕がそう問いかけると、背後の誰かさんは答えた。
「この辺は、先の戦の敗残兵がよく隠れているからな…。
周辺の町を襲う可能性がある者を、放って置くわけには行かない!」
…と、強目の口調で言い放つ!!
しかしそれに対して、僕は反論をした。
「…いやいや、それはないですよ?」
「…何故、そう言い切れる?」
「……だって、僕、ここから出られないんですもん。」
すると背後から、プっと吹き出し、上下に揺れて笑いを堪える感じがするが、僕はそのまま畳み掛ける。
「楽しく釣りしてたら波にさらわれてぇ!
なんか気がついたらここにいてぇ!
もう、出るに出れなくて、でも頑張って生き抜いてるんですよぉ!」
僕が半泣きで訴えると、ついに背後の誰かさんは馬鹿らしくなったのか笑い出した。
すると、首元に当たっていた金属の様な物の感触が無くなり、不意に首筋に当てていたと思われるナイフが僕の視界へと現れた。
リューは、先程所得したスキル[バイティング]の事を思い出し、チャンス!とばかりにナイフに噛み付く!
すると、ナイフはパキン!と音を立てて、簡単に折れた。
リューは、バッ!…と先程獲得した俊敏な動きで距離をとって振り向くと、腹を抱えて笑っている女の子がいた。
「あははははははははははは!!
あなた、なんてマヌケなの!?
あはあはははははははは!!」
ツボに入って、盛大に笑ってしまっている女の子見て、一先ずは大丈夫そうだな、と、僕は一息ついた。
リューがナイフを噛み砕いたのに、全く驚きもしていない程に面白かったのか、地面をバンバンと叩きながら爆笑している。
…なんて失礼な子なんだろうか。
なんかもう、僕、マジ泣きしちゃいそうだよ!
…と、悲しんだのだった。
ヘイルボルグの名前の由来
地獄である所のヘル、またはヘイルと、アイルランド神話におけるクー・フーリンが使う魔槍ゲイボルグの鋭さをイメージしたものを混ぜ合わせてネーミングとしました。
ピラニアっぽい鋭い牙が、地獄と鋭さをイメージしたので、このネーミングとなりました。