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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第一章 始まりの崖の下編
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流れ流れて(物理的に)リジュワルド

釣りと異世界譚好きな僕が、それらを混ぜた物語を書いてみたくなったので書いて見ました。


良かったらお付き合い下さい。


難しい用語等は後書きの方に説明がありますので、良かったらお読み下さい。

ザザーン…ダーン…。


…磯に打ち付ける波の音が心地良い…。


僕は砕ける波の音と海鳥達の鳴き声で目を覚ました。


「…う…ん?」


もう暦的には秋になったとはいえ容赦なく照りつける太陽の光に、瞼の裏の橙色を感じながら僕はゆっくりと目を開いて辺りを見回してみる。


「…ん…あれ?僕はこんな磯に乗って釣りをしていたかなぁ…?」


…なんで、僕はこんな場所で眠っていたんだろう?寝ぼけているのか、頭がシャキっとしない…。


上体を起こしてライフジャケットにつけてあるペットボトルホルダーからスポーツドリンクを取り出し、一口飲んで再び辺りを見回してみると、そこには驚愕の風景が広がっていた。


「…えっ?…嘘だろ?」


そこは目の前は海、だいたい自身を中心として半径10m程の足場、背後には…ほぼ垂直に近い50m程の切り立った崖と極小規模な滝があった。


「これは夢?…ま、まさか現実か?」


…と、僕はブンブンと頭を振ってみたり、古典的に頰をつねってみたりもしたけれど、何をどうしても現実は揺らがなかった。


「な、なんで僕はこんな所にいるんだよ…。」


今日、僕は平鱸(ヒラスズキ)という魚を求めて、荒波の打ち付ける南伊豆の磯で釣りをしていたはずだ。


…でも待てよ?…確かに一匹目を釣ってスマホで写真を撮っていたまでの記憶はある。…そうだ、その直後に背後からその日一番大きな波が来て、そのまま波に引きずりこまれた僕は海に落ちたんだ…運良くここに打ち上げられて助かったのかな?


「やれやれ…。」と、生き延びた自分の運の良さ…いや悪運の強さかな?…それと海に落水しても釣竿を握りしめたまま離さなかった自分に対して僕は苦笑いをする事しかできなかった。


現状を把握すると、まずこの背後の崖は僕にはどう足掻いても登れそうにない。


平鱸の写真を撮ってライフジャケットのポケットに入れていたスマホは流されている間に何処かにぶつかったのかバキバキに割れていて使えそうもなかったし、ましてやこんな場所に人が来るはずもない…。


「…あれっ?…もしかして、これって遭難しちゃってるんじゃないのか?」


サー…っと頭の血の気が引いて行くのを感じた。


「いや待て、慌てると尚の事良くないな、とりあえず落ち着こう…。」


落ち着く為に僕は自分の情報を整理してみた。



僕の名前は海上(ミカミ) 流視(リュウシ)


子供の頃からあだ名は[リュー]。


年齢は23歳で、趣味は釣りとアニメ鑑賞とラーメン屋の開拓。


ウェブデザイナーで、なかなかのホワイト企業に勤めていている。


…うん、彼女の存在は聞かないでほしい…。


…あぁそうだよ!年齢=彼女いない歴だよ!


なんか…頭の整理なのに最後の所で泣けて来たのはなんでだろうか…?



いや、とりあえずまずは頭の中をリセットし、「フーッ!」…っと一息吐く。


「ここから出るには船が通るのを待つしかないな…。」


そう僕は結論付けて「生き延びる為に頑張るぞ!」…と、自身に気合を入れた。


背後の崖に流れる小規模な滝は幸いにも真水である。


勿論そのまま飲むのは抵抗があるけれど、現状は致し方ないと思う。


どうしようもないし水があるだけまだマシだと思うしかない。


「食料問題は、僕にはこれがあるからな!」


僕は右手に握りしめた釣竿(ロッド)を見つめた。


今日持ってきていた装備は、荒磯で平鱸(ヒラスズキ)を釣る為の釣竿とリール、それからライフジャケットのポケットに入れてある、ルアーが各種、合わせて20本程と、リーダーライン(※1)、釣った魚を絞める為のナイフ、ハサミ、ペンチ、フィッシュグリップ(※2)。


後は流されてしまったのか、この磯には見当たらない。


でも取り敢えずは、これだけあれば魚が釣れた時に刺身にして食べる事が出来る。


味が物足りなかったとしても、とりあえずは暫く生きていく事ができるだろう。


僕はそう考えて、食材確保の為に早速ルアーを海に向かってキャストし始めた!


……………………のだが。



〜4時間後〜



「だぁぁぁぁぁあ!釣れねぇ!」


色々なルアーを取り替え、巻く速度、ルアーを通す場所を変え、平鱸を釣る為の鉄板であるサラシ(※3)を通しても無反応。


「はぁ…とりあえず水でも飲んで落ち着こう…。」


僕は背後の滝から空になったスポーツドリンクのペットボトルに水を入れて飲んでみると、思った以上に冷たくて、まるでミネラルウォーターのように澄んだ味がした、これは美味い。


どこからか湧いているのだろうか?


「沸かす必要がない程に綺麗な水があるのは、不幸中の幸いかな?」


とりあえず僕は座って一息吐き、水を飲みながら色々と考えてみた。


果たして、魚は釣れるのか?…とか。


ここから生きて帰れるのか?…とか。


考えれば考えるほど、不安で絶望的で涙が出そうになった。


彼女もできた事ないのに、まだ死にたくない!いっぱいやりたい事も、やりたい釣りもあるんだ!会社のみんな、遭難して迷惑かけてごめんなさい!!


…なんて事を考えていると、僕の目の前に突然ウインドウが開いた。


ビクッ!…と、僕は目を見開く。


「な、なんだこれ…?」


恐る恐るそのウインドウを覗き見てみると…。


リュー ヒューマン

ジョブ 釣師(アングラー)

LV1

HP24/35

MP0/12

力…9

敏捷性…10

持久力…5

魔力…1

運…2+20


そこに表示されていたのは、自分のステータスだった。


それが数値化されており、各種項目に分かれていた。


それにしても、ジョブが釣師(アングラー)って…。


「なんでいきなりこんなもんが表示されたんだ?…というか、なんだコレ?もしかして、やっぱり夢なのかな?…えーと…このスキルって項目は何だろう?」


僕は恐る恐るポチっとウインドウをタッチしてみると、所持スキルの一覧が表示された。


スキル一覧



スキル[海神の恩寵(おんちょう)(微弱)]



「うーん、なんか訳のわからん、スキル[海神の恩寵(微弱)]とやらがあるんですけども…。」


僕はとりあえずもう一回[海神の恩寵(微弱)]の項目をタッチしてみると、このスキルの説明文が表示された。



[海神の恩寵(おんちょう)(微弱)]


運のステータスに[20]のボーナスポイントが付与される。

海神リヴァイアに罪悪感があると謝罪の意味を込めてプレゼントされたりするスキル。



「…うん、なるほどね、…まだ説明の続きがあるみたいだ。」



海神から一言


「いやぁ、メンゴメンゴ!嫁とケンカして、駄々こねてたら、そちらの世界に津波起こして、こちらの世界にリュー君を引き込んじゃったよ!

ここは君が元々いた世界とは全く別の世界で、[リジュワルド]と言う名前の世界だよ!

まぁ最低限はそこで生き抜けると思われる幸運スキルあげるから、取り敢えず…ま、許してね?」



「………ざっっっっけんな!」


僕はウインドウに怒りのドロップキックを放ったが、虚しくもウィンドウを通り抜けてこけただけだった。

※1リーダーライン

リールに巻いてあるpeラインという糸は直接ルアーに結びつけると非常に弱い。

その為、結びやどこかに擦れたりしても強いリーダーラインとpeラインを結びつけてからルアーをつける。

peラインは真っ直ぐ引っ張られる力にはとても強いので、リーダーラインとpeライン、お互い利点を活かす為に接続して使う。


※2フィッシュグリップ

釣り上げた魚を捕獲する為のツール。

下顎を挟むような構造で、リューの物はアルミニウム製。

魚をぶら下げて持ち運べる。


※3サラシ

波が磯などにぶつかり、砕けて空気を含み、海水が白くなった場所の事。

身を隠して小魚等を捕食するのに適したポイントで平鱸はここに潜む事が多い。

また白く砕けた波の中なので、ルアーが平鱸が見切られにくいという利点もある。


読んでいただき本当にありがとうございます!

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