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90.最近の心境の変化?遠慮するのは止めました

 最終章が始まってから、もの凄い勢いで閲覧・ブックマーク・評価が下がってしまっています。期待されている方向と違うんだろうな、と言う事を痛感し、申し訳なく思っています。


 また、週二回更新を続けてきましたが、これも原因である可能性も考えられたため、次回より週一回に戻してみたいと思います。

(自室のエアコンが壊れて、一番使いやすいPCが使えず、執筆速度に影響が出ている事もあります)

 従って、次回更新は9月12日となります。

「あーもう、腹が立つ! あのすっとこどっこいのアンポンタンめ。どうしてくれよう!?」


 私はシャイラさんと並んで冒険者ギルド警備部本部に向かいながら、未だ先ほどの一件に関する怒りが冷めやらぬ状態だった。


「警備部が根本的な原因をつかめていないのは本当の事だからね。まあ、何を言われても仕方ないさ」


 シャイラさんはあくまで冷静に、私の相手になってくれている。


 確かに、警備部(わたしたち)ができている事は、魔族が現れた後に、それを倒す事だけ。その根本的な原因は、未だ掴み切れていない。

 しかしそれは、確たる証拠もなしに家宅捜索したり、事情聴取したりする権限が与えられていない事が、理由としては大きい。

 なので、今の状態のような、いきなり場所を選ばず魔族が出現するような事態には、制度上、それを未然に防ぐ事ができなかった。


 この事態を問題視した評議会は三ヶ月前、脅威を未然に防ぐことを目的として、事件を起こす()()()()()だけで家宅捜索したり拘引したりする事まで可能にした、公安部を新たに発足させたのだ。


 私は口を尖らせながら、公安に対する文句を繰り返す。


「それにしても、あんだけの権限があったら、もう少しまともに原因がつかめてもいいと思うんだけど」

「こと魔術に関しては、アニーくんやリチャードさんほどの知識を持っている人間は、なかなかいないからね」

「分からないなら分からないで、こちらの助言に従ってくれればいいんだけど、どうも、意図的に無視しているというか、敢えて的外れな事をやっているような気がするんだよね……わたしが彼らを買いかぶり過ぎていて、全力でもあの有様なのかも知れないけど」

「なるほど、アニーくんから見たらそう見えるのか。私にはよく分からんが……」


 シャイラさんは、そう言って肩をすくめた。



              ◇   ◇   ◇



 少し無言で歩いた後、シャイラさんは何か思い出したかのように口を開いた。


「魔法で思い出したが……最近、アニーくん、色々お構いなしになっているような気がするが、何か心境の変化でも?」

「え? 何が?」

「確か、以前は街中では、目立つ魔法を使うのは控えていたような気がしていたが……」


 シャイラさんの言いたいことを理解した私は、頭の後ろで手を組んで歩きながら、最近の心境を説明し始めた。


「目の前で困っている人がいて、さ。自分以外に助けられる人はいない、でも、自分が本気出せば助けられる、なんて状態で、自分勝手な理由でやらないのって、なんだかズルい気がしてきてね」

「ズルい、か、なるほど。言いたいことは分かる気がする。高貴さの義務ノブレス・オブリージュのようなものだろうか」

「そう。だから、最近は遠慮しない事にしたのよ。それで目をつけられようが、怖がられようが、お構いなしにね」


 私の返答を聞いて、シャイラさんは微笑みながら頷いた。


「東方の言葉で、”義を見てせざるは勇なきなり”と言うのがあったな。確か、勇気を持って正義を行うべき、と言う意味だったか」

「ううん。わたしは正義の味方じゃない。だからあくまで、私の心の思うままに、かな?」


 正義を追い求めすぎてしまうと、ハニーマスタードとキャラかぶりしてしまうと言う、裏側の事情もあったりはするんだけど。


「ま、私が見るに、アニーくんは基本的に善良な人間だと思うから、君の思うままにやればいいんじゃないかな?」


 シャイラさんは苦笑しながら言葉を続けた。


「――もっとも、その、いかにも魔女めいた風体で、大きな魔法を連発しているうちは、魔女と呼ばれる事は続くと思うが」


 その言葉に、私は二、三度首を振った後、がっくりと肩を落とす。


「これは魔女じゃなくて、少女魔術師の格好のつもりなんだけどねぇ……どうしてこうなったのやら。はあ……」


 さすがに、()少女魔術師とは自称していない。冒険者学校に入学した2年半前と比べると、そりゃあ、背も伸びたし、そばかすも消えたし、出る所もそれなりには出てきたし、まあ、顔も中の上?くらいじゃないかなぁ、とは思っているんだけど、なにせクリスとシャイラさんが規格外過ぎて……はぁ。



              ◇   ◇   ◇



 とかなんとかやっている間に、私たちは冒険者ギルド警備部の本部に到着した。ここはこの街の治安を担う一大拠点で、普段であれば、捜査官や衛兵の詰め所として機能しているんだけど、現在は「魔族対策特別本部」も設立されており、そこに魔族と戦える人間を集中して配備している。


 私たちが「魔族対策本部待機所」と書かれた部屋に入ると、そこでは薪ストーブを囲んで二つの早番パーティがくつろいでいた。いずれも、もともと警備部に所属していた大人達のパーティだ。

 全員戦闘装備に身を包み、この部屋だけ、冒険者の酒場と言えばこんな感じなのかな、といった雰囲気になっている。

 もっとも、酒場じゃ無くて詰め所だから、飲み水代わりのエールくらいしか置いてないけどね。


 扉が開いた音を聞いて、皆がこちらを注目する。


「アニーとシャイラ、掃討から帰還しました」

「おう、おつかれ」


 私たちが戸口で挨拶すると、おっさ……おにーさん達が手をぷらぷら振って応えてくれた。


 私は壁にかかった魔族対策係全員の名前が書かれた札が下がったメンバー表を確認すると、私とシャイラさんの札を、”出撃中”から”待機中”に移しておいた。マリアとクリスは……まだ”出撃中”になっているな。

 と、片方のパーティのリーダー、20代後半の戦士さんが私に向かって質問してきた。


「お嬢さん、連戦できるマナは残ってるか?」

「ええ、まだまだ大丈夫ですよ」


 魔族との戦いは、”魔力付与”などの魔法が鍵となるので、魔術師のマナが切れるととても戦えない。なので、そのまま出撃待機に入れるかどうか確認してきたのだ。

 あ、もちろん、私のマナは規格外で、もう諦めて制限してないから、こんなので枯渇するほど(やわ)じゃないけどね。


 私の返事を聞いて頷くと、彼はよっこらしょとばかりに腰を上げた。それに引き続いて彼のパーティの面々も腰を上げる。


「それじゃ、交代要員も戻ってきたし、俺たちは上がることにするよ」


 本来なら早番はもう上がっている時間だけど、遅番の私たちがまだ本部に戻ってきていなかったので、待っていてくれていたようだ。


「あ、はい、ありがとうございます!」


「おう、また明日な」「おつかれさん」「あとはよろしく」「……(無言で会釈)」「あなたたちに商業神のご加護がありますように」


 ぺこりとお辞儀する私に挨拶しながら、彼らは各々の札を”非番”に移した後、ぞろぞろと帰路に就いたのだった。

 次回予告。


 待機室で待っていたところに、クリスとマリアも帰ってくる。そして、やってきたアーサーさんに、この状態を引き起こした原因を私なりに推測し、その緊急度を伝えたのだった。


 次回「私なりの推測」お楽しみに!

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