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57.打ち上げ中の人間模様(後編)

 これから色々状況を動かしていきたいと考えています。

 戦うシーンも増えてくる……はず。

 次回も短いので、来週月曜、3月4日に投稿します。


※2019/8/6 スマホフレンドリーに修正しました。

 チャリティイベントの打ち上げは続いている。

 私は人混みの中、知り合いの姿を探して放浪している最中だった。


 さて、シャイラさんはどこに……あ、女の子達に囲まれてる。と言うか、シャイラさん周辺には女の子しかいないような……私の周りが男の子ばっかりだったのはこれが原因!?

 あー……色々熱心に話しかけられてるけど、ちょっと疲れて困った顔をしているように見えるけど、大丈夫かな?

 とか考えながら、女の子達から頭一つ抜け出しているシャイラさんの顔を見ていると、シャイラさんと私の目が合った。

 するとシャイラさん、私に向かって声を出さずに口だけ動かした。


(た・す・け・て)


 世にも珍しいシャイラさんの支援要請に、私は耳の後ろをポリポリ掻いて、少し考えてから行動を開始した。


「はい、ちょっとごめんなさいね、通りますよ?」


 シャイラさんを囲う女の子達の中に、無理矢理突入して、シャイラさんを背にしてかばうように立つ。


「なによ、あんた?」「いきなり割り込まないでよ!」「何様のつもり!?」


 当然、私は女の子達に敵意に満ちた目で見られてしまう。ここで気圧されたら元も子もない。頑張れ私!


「何様……ね? そうねぇ、魔女様とでも言っておきましょうか」


 ハッタリを利かせようと腰に手をやって精一杯背をそらし、なるべく下目遣いで女の子達を見やる。いや、私の方が背が低いから、割と大変なのよ?


「げ、冒険者学校の……」「本物の魔術師?」「え、魔女なの!?」


 女の子達は、私の正体に気がついたのか、ちょっと引き気味。

 私はごほんと一つ咳払いしてから、女の子達に向かって口を開いた。


「あなたたち、シャイラさんは本当にお疲れの様子なの、気がついてない?」


 女の子達は私の声を聞いて、はっとなり、シャイラさんの方を見る。

 シャイラさんは、女の子達に対して、少し弱々しい笑みを浮かべたようだ。


「あ……」「気がつきませんでした……」「ごめん……なさい」


 女の子達はしゅんとなって、私たちに頭を下げた。


「お店でのファンなんでしょ? また今度、お店の方に行ってあげてよ。そしたら、万全の体調で相手してくれると思うよ?」


 そして私は後ろを振り向き、「ね、シャイラさん?」と確認する。


「ああ。君たち、本当にすまないね。来週はまたお店に出るだろうから、お店の方にぜひ来てくれるかな? その際には誠意を持って対応する事を約束するよ」


「あ……はい」「そうします。すみません」「また、お邪魔させて頂きますね」


 シャイラさんの言葉に、女の子達は口々に挨拶をして、解散してくれた。


「うん、これで一段落ついたかな?」


 私は、とりあえず落ち着いて話せるように、シャイラさんを人混みの中から連れ出した。会場の出口付近までたどり着いたところで、シャイラさんは私に向かって頭を下げて来た。


「いや、本当にすまなかった。彼女たちの声を聞いていると、なんだか頭が痛くなってきてしまってね」

「まあ、絵に描いたような黄色い声だからねぇ? バイト先と違って、時間無制限で止める人もいないだろうし」

「邪険にするのも申し訳ないし、ともあれ、止めて貰って助かったよ」


 あくまで丁寧な対応をしようとしているシャイラさんに、私は人差し指を立てて振りながら指導する。


「イヤなものはイヤだって、きちんと言った方が良いと思うよ?」

「ああ、次からはそうする事にしよう」


 シャイラさんは髪を軽く掻き上げてから言葉を続けた。


「――それでは、私はこのまま帰る事にするよ。また明日、学校で会おう」

「うん、それじゃ、また明日!」


 そのまま外に出て行くシャイラさんを、私は手を振りながら見送った。



              ◇   ◇   ◇



 さて、次は誰に……と考えたところで、アレックスが歩み寄り、私に声を掛けてきた。


姉様(ねえさま)、お疲れ様でした」

「あら、アレックス。あなたもお疲れ様ね」

「わたしはリチャードさんのお手伝いだけでしたから」


 アレックスは軽く肩をすくめてから、思い出したように言葉を続けた。


「――寄付金強盗は、魔法少女ハニーマスタードとやらが倒したらしいですね」

「ソ、ソウラシイネ?」


 アレックスの口から出た「ハニーマスタード」と言う言葉に、挙動不審になってしまう私。

 私の反応を少し目を細めて見てから、アレックスは小さく首を振った。


「今日の劇のハニーマスタードの衣装も見ましたが、よく再現されていましたね」

「ソ、ソカナ?」


 あー……本物はアレックス作なんだから、それに似せた衣装を見たら、すぐ分かるよね……

 私の反応をジト目で見てから、アレックスは大きくため息をついた。


「まあ、今更わたしが口出しする事ではありませんが……ともあれ姉様、お気をつけて」

「う、うん、そうするよ」


 私は話を変えようと、ここでまだ見ていない人の話題を持ち出してみた。


「そういえば、リチャードさんは?」

「服はご覧になっていないし、ご存じ無いと思いますよ?」


 そういえば、完成したときも見せてなかった気がする。

 でも、私が聞きたかったのはそういう事じゃない。


「あ、いや、会場(ここ)には来てるのかって事」

「いえ、商会の方に挨拶に行っているそうです。頃合いを見て、拾いに来てくれる事になっています」

「分かったよ。次の週末には帰るからね」


 そして私はアレックスと別れて、また人混みの中に舞い戻っていったのだった。

 ちなみに、リズさんは……来賓席に席は準備されていたらしいけど、来ていなかったらしい。もちろん、打ち上げにも参加していなかった。


 次回予告。


 翌日、教室に現れたリズさんは、なぜか、ものすっごく落ち込んでいた。私たちは彼女の思い違いを解くべく、あれこれ知恵を絞ってフォローに回るのだった。


 次回「一人の仕事、一人で仕事」お楽しみに!

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