表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/130

56.打ち上げ中の人間模様(前編)

 ちなみに、個人的にアニーの外見が一番近いかなと思っているのは、宇宙戦艦ヤマト2199の市川純です。

 この話、本来は半話分の分量予定でしたが、普通の一話分以上にまでふくれあがってしまいました。なので、イレギュラーな投稿パターンとなりますが、次回と次々回は、今週木曜、来週月曜の形で投稿を進めていきます。


※2019/8/5 スマホフレンドリーに修正しました。

 チャリティイベントは無事に終わり、近所の飲食店を借り切って打ち上げが行われている。


 ――もう警備隊はいないんだから、スレイとフランシス(盗賊ギルドの二人組)も参加してれば良かったのにね?

 とか思いながら、私は独り、壁の花状態で料理と飲み物を満喫していた。


 打ち上げに参加しているのは、男性6割、女性4割って所。

 年代で言えば、年寄りは余りいないみたいだけど、私と同年代から中年一歩手前くらいまでが満遍なく居る感じ。

 もっとも、初等学校も卒業してないような子供は、基本不参加のようなので、事実上、私たちが一番若いかな。


 なんとなく年代別に分かれている感じではあるんだけど……何故か私の周りは男の子ばっかり。いや、確か、始まったときはもう少し女の子いたよね? そしてその割りに、話しかけて来たりしない。まったく失礼な!

 とか考えながら口を尖らしてフォークをくわえていると、横から声を掛けてくれた人がいた。


「お嬢ちゃん、今日はお疲れさん」

「あ、大工のおじさん」


 大道具とかを仕切ってくれていた大工のおじさんだ。普段は棟梁をしているみたいで、若いボランティア達にビシバシ的確な指示を出してた記憶がある。


「なんだかご機嫌斜めみたいだな。どうかしたんかね?」

「いやあ、男の子大勢居るわりには、声を掛けられないなーと思って」

「すまんね、こんなおっさんが声を掛けて」


 はっはっはと笑いながら、白髪交じりの角刈り頭を掻いている。


「率直に言うと……若い子には、お嬢ちゃんは少し怖いんじゃないかな」

「え、怖い……ですか? わたし?」


 思っても見なかった言葉に、私は首を傾げた。


「お嬢ちゃんは戦闘をこなす冒険者学校の学生さんだろ? しかも、魔法は使えるわ、()()()()()とも臆せずやり合えるわ、同年代の若いモンじゃ気後れするってもんだろ」

「あー……そういうモンなんですかねぇ。てっきり、余りにパッとしていないから、声を掛ける価値無しって思われてたのかと……うう」


 と、自分で言っておきながら、自分でダメージを受けてがっくりと肩を落とす。


「そんな事ぁないと思うぜ? うちの母ちゃんの若い頃には及ばないとしても、ま、十人並みくらいには……」

「それ、褒めてないですよ?」

「すまんな、もちろん冗談だ。――ま、こんな壁でじっとしているよりも、中を動き回った方が発見もあるんじゃないかね」


 私はしばし考えた後、小さく頷いた。


「うーん……そうですね、そうします。あ、今回は大道具作成、ありがとうございました!」

「ああ、こちらこそ、色々面白い物を見せてもらって、ありがとうな。また、一緒にやれるといいな」

「はい!」


 私はおじさんにぺこりと頭を下げ、コップ片手に人混みに分け入っていった。



              ◇   ◇   ◇



 ――さて、知っている顔は……と。あ、一人発見。


「マリア、お疲れ様!」


 マリアは教会関係の人と話をしていたけれど、私の顔を見て手を振ってくれた。


「アニーさんこそ、お疲れ様でした! アニーさんの魔法のおかげで特殊効果も凄く派手になって、皆さん楽しんでいましたよ!」

「それはよかった。でも、ホントに教会の劇で、”悪の魔女”が勧誘して良かったのかなぁ?」


 私の疑問に、マリアはガッツポーズつきで答えてくれる。


「悪の魔女はちゃんと倒されて、正義は勝つ事を証明してくれましたから、大丈夫ですよ! 次回もぜひお願いします! 普通の宗教劇でもいいですよ!?」

「ま、まあ、考えてはみるよ……」


 しかし、宗教劇で私の役は何になるんだろうか……東方より来たりし三賢者、とか? まあ、それは言い過ぎだろうけど。

 おっと、司会をやったり、責任者の神官さんを補佐する役目もやっていたせいか、マリアに話しかけに来る人は結構多そうだ。ここで私が拘束するのも申し訳ないな。

 と思った私は、早々に話を切り上げることにした。


「千客万来だね。それじゃ、また明日、学校で」

「はい! また明日!」



              ◇   ◇   ◇



 手を振ってマリアと別れて、さて、次は……と。今度は、見事なプラチナブロンドが目立つ後ろ姿を発見した。


「あー、クリス、お疲れ様」


 クリスはなにやら食べながら、複数の男の子に話しかけられているようだ。どちらかというと、話半分に聞いてる感じかな。

 私の顔を見ると、あっさりと「あ、連れが来たから、ほなな?」とか言ってこちらに来てくれた。置いてきぼりの男の子たち、ちょっとかわいそうかも。


「アニさんこそ、お疲れさん。しかも事情聴取があったんやって?」

「そうなんだよね。本物のハニーマスタードが出て、寄付金泥棒を捕まえたらしいよ。スレイさんが見ていたらしいんだけど、なぜかわたしに事情聴取を押しつけて逃げちゃってねぇ」

「あらまあ、てっきりアニさんが捕まえたのかと思ってたわ」


 クリスの誤解を私は全力で否定する。まあ、正確に言えば正しいんだろうけど。


「今回は私は傍観者だよ! スレイさんもフランシスさんも、打ち上げに来れば良かったのに」

「まあ、()()()()ならしゃあないわなぁ。――そいやアニさん、あの辺の料理、もう食べた?」


 と、クリスは私の後ろの方に並べられている料理を指さした。


「うん。さっきいただいたけど美味しかったよ」

「お、そらええな。悪いけど無うなる前に取ってくるわ。ほなね」

「うん、また!」


 と言う訳で、クリスはお皿を片手に料理の方に去って行った。どうも今日は食べ尽くしに来ているみたいだ。

 次回予告。


 チャリティイベントの打ち上げは続いている。人混みの中、シャイラさんを発見したのはいいものの、彼女はなんと、私に向けて支援要請を発していたのだった。


 次回「打ち上げ中の人間模様(後編)」お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2022年11月現在、新刊3本同時進行キャンペーン実施中です。
以下3本を第30話頃まで同時進行で掲載しています。そしてその後、最も推されている小説を重点的に継続し、イラストの掲載も進める予定です。
他の小説もぜひご覧下さい!

banner_novel1.jpg
banner_novel2.jpg
banner_novel3.jpg

小説家になろう 勝手にランキング

なろう小説作者としての悪戦苦闘振りをこちらで記載しています↓
へっぽこ小説書き斯く戦えり

script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ