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11.みんな、おめでとう!

 この小説をご覧になっている頼もしい皆様にお願いがございます。

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 ――そして、現時点で本小説に関しては、残念ながらすべて0となっております。

※2018/8/22時点です↑


 何らかの入力をいただけると、作者としては本当に助かります。ご検討のほどよろしくお願いいたします。


※2018/9/13 合格発表を見に行きたい!から改題しました。

※2018/12/27 微調整しました。次回予告を追加しました。

※2019/8/4 スマホフレンドリーに修正しました。

 朝が来た。

 いつもの時間に目を覚まし、軽くストレッチしながら体の調子を点検する。

 うん、湿布がいい仕事をしてくれたのか、筋肉痛は全然感じられない。

 明日以降?いやいや、そんな歳じゃないし。


 今日も日課の套路を終え、手早く身繕いをし、朝食の席へ向かう。


「「おはようございます、リチャードさん」」

「おはよう、アニーくん、アレックスくん」


 まずはリチャードさんに朝のご挨拶。


「今日は冒険者学校の合格発表の日だね」

「はい!」

「朝一番で掲示されている筈だから、今日は朝食を終えたらなるべく早めに出てしまおうか」

「はい、分かりました」


 食べようとしたところで、アレックスが声を掛けてきた。


「あの、リチャードさん、姉様(ねえさま)、お願いがあるのですが」

「おや、二人にかね?」

「今日の合格発表、わたしもついて行ってよろしいでしょうか?」


 あら、珍しい事を言ってきた気がする。


「わたしは構わないけど、どうしたの?」

「姉様がどのような所で勉強する事になるのか、見てみたいと思ったので。あとは、姉様と一緒に学習される人々にも、ご挨拶させていただきたいですし」


 へえ、アレックスがそういう事に興味を持つなんて、珍しい。


「細工の方は大丈夫?」

「先日で目処はついていますし、明日は休息日なので、丸一日作業したいと思っています」


 今度はリチャードさんがアレックスに質問。


「初等学校はどうするんだい?」

「実は昨日、休むように伝えてあります」

「おやおや、アレックスくんにしては本当に珍しいね」


 アレックスの珍しいずる休み宣言に、リチャードさんは驚いた顔をする。

 確かに、皆勤賞でも狙っているのかってくらいに、アレックスが学校を休む事は本当に少ない。それもずる休みで!


「勝手に休みを取って申し訳ありません」

「まあ、そこまで用意周到なら問題ないよ。一緒に見に行こうか」

「ありがとうございます、リチャードさん」


 頭を下げるアレックス。


「全員で出る事だし、お昼は街でいただくとしよう。と言うわけでアレックスくん、今日は弁当を作らなくていいよ」

「はい、分かりました」


 朝食を終え、手早く片付ける。そして、出かける準備をして、全員(うまや)に集合した。天龍(ティエンルン)号を引き出して、三人乗りに。

 ちなみに、アレックス、私、リチャードさんの順番。手綱はリチャードさんが握っている。さすがに、アレックスも私も小柄とは言え、大きくなってきたので、割とギリギリっぽい。

 私が仮に冒険者学校に行かなかったとしても、馬車の手配とか、近い将来何か考える必要はあったと思う。


「さ、出発しようか」

「はーい」



              ◇   ◇   ◇



 今日もいい天気だ。そろそろ秋のような涼しい風も吹いてきている。

 カッポカッポとのんびり街に向かう……と言いたいところだけど、三人乗りではさすがに窮屈で、若干つらいものはあったりする。

 それでもなんとか無事にフライブルクに到着。私たちを冒険者学校前で降ろし、リチャードさんは馬を預けに行く。


「先に行って結果を見てくるように。私は馬を預けたら戻ってくるよ」

「はい、分かりました!」


 玄関から入ってすぐの脇に、人だかりができていた。そこに合格者一覧があるようだ。

 あ、少し離れた所に、女の子三人が立っている。

 クリスさんが私に気がつき、手を振ってから、ニコリと笑ってこちらに向けて握り拳に親指だけ立て、そして人差し指で掲示板を指さした。見てくるようにと言うジェスチャーのようだ。

 先に駆け寄って合格者リストを見る。

 20人ほどの名前が並んでいる。どうもこれは成績順のようだ。

 一番上にはマリアさんの名前。その次に……私の名前があった!その下にシャイラさんとクリスさんの名前も見つけられた。


「ありましたね」


 後ろからアレックスの声。


「あったよー!やったよー!」


 振り向いて、アレックスの手をつかんでぴょんぴょんジャンプする。

 アレックスは手は振りほどかないものの、ジャンプにはつきあってくれない。ちぇっ。

 ともあれ、早速、みんなの所に駆け寄っていく。


「みんな、おめでとう!」

「無事、全員揃ったな」

「わたしが一番とはビックリです!みんな合格できたし、神様に感謝、です!」

「マリやんの場合、身も蓋もなく言えば、魔法も剣術も点が入っとるのが大きいんと違うかね?まあ、魔法と剣術両方使える言うんが神官戦士の特徴ではあるから、神様のお陰言うても間違いではないかもしらんけど。でまあ、魔法も使えん、学科も正直微妙な、うちが一番危なかったみたいやな。ともあれ、無事に全員受かったのは良かったわ。ところで、そちらさんは?」


 おっと、振られたのを機会に、皆にアレックスを紹介する。


「この子はアレックス。私の妹です」

「初めまして、アレックスと申します。姉がお世話になっております」


 アレックスが皆に礼をする。両手でスカートを軽くつまみ、左足を斜め後ろの内側に引き、右足を軽く曲げる、正式な礼(カーテシ―)だ。


「ほう、随分しっかりした妹さんだな」

「こちらこそ、これからよろしくお願いします!あなたにも神のご加護がありますように!」

「えらい姉さんと雰囲気ちゃうな。まあともあれ、これからよろしゅうに。あー、でも自分はまだ村住まいやんな」


 クリスさんの質問に、アレックスは落ち着いた声で回答する。


「はい、まだ初等教育が残っておりますので」

「冒険者学校は受けるんか?」

「いえ、恐らく受けないと思います。余り乱暴なことは得意ではありませんので」

「そーかー。ま、ともあれ、よろしゅう」


 クリスさんが私の方を向いて言葉を続けた。


「せや、入学手続きはまだやったやろ?」

「あ、はい」

「そこの事務室でできるさかい、早いとこやっとき」


 と、脇のドアを指さして教えてくれた。


「うん、ありがとう!」


 私はアレックスを連れて、事務室に足を向ける。


「こんにちは、アニー・フェイと申します。入学手続きに来ました!」


 事務のお姉さんは、入学試験の時に受付をしてくれた人だ。


「アニー・フェイさんですね……はい、おめでとうございます。それでは、ここにサインをお願いします」


 指定された場所にサインを入れる。……これで、よしっと。


「はい、ありがとうございます。手続きとしては、これで終了です。当校は、制服はありませんし、入学料、授業料もありませんので。あとは、再来週の休息日明けが入学式となっておりますので、昼二(午前8時)つの鐘までに学校にいらしてください。筆記用具等は配布しますので、特に要りませんよ」

「はい、分かりました!」


 そして受付のお姉さんは、小さなメモを取り出してきた。


「あと……あ、そうそう、下宿されるんでしたよね。特に寮などはないのですが、学校よりいくつか下宿先の紹介をさせていただいています。こちらのメモをお渡ししておきますので、よかったらぜひ伺ってださい。もちろん、ご自分で探された所でも構いませんよ」

「はい、わざわざありがとうございます」

「それでは、これから3年間、よろしくお願いしますね」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」


 事務室での用事を終えて、また合格発表の場所に戻る。

 おっと、リチャードさんの姿も入り口に見えた。もう到着していたようだ。

 リチャードさんに手を振って、こちらに呼び寄せる。


「リチャードさん、受かってましたよー!」

「それは良かった。アニーくん。まずは夢の第一歩だね」

「それから、彼女たちがこれから一緒になる人達です!」


 三人にリチャードさんを紹介する。


「こちら、リチャードさんと言って、私の保護者です」

「初めまして。リチャード・ロンと言います。(ゆえ)あってアニーくんたちを預かっています。君たちの事はアニーくんから聞いていますよ。これからアニーくんをよろしくお願いしますね」


 軽く礼をするリチャードさん。


「こちらこそ、アニーさんにはこれから世話になると思う」


 シャイラさんは、手のひらを併せる紅茶の国(バーラト)式でリチャードさんに挨拶した。


「はい、よろしくお願いします。あなたにも至高神のお恵みがありますように!」


 マリアさんは普通にご挨拶。


「こちらこそよろしゅうに」


 クリスも挨拶してから、少し考えるそぶりをした。


「リチャード・ロンさん……あー、もしかして、錬金術師(アルケミスト)の?」

「一応、そういう生業(なりわい)もしている」

「えーっ!ほなアニさん、あの錬金術師(アルケミスト)リチャードの秘蔵っ子やったんか!?」


 急にこちらに矛先が向いてきたので、思わず間抜けな声を出してしまう。


「へ?クリスさん、リチャードさんの事知ってるの?」

「知らんわけあるかいな。この街随一の錬金術師(アルケミスト)やで?錬金術や魔術関連で、この人に出来なくて他の人に出来る事は無い。ほやから困ったら最後に駆け込む男版魔女(ソーサラー)みたいなお人や。もっとも、都会嫌いだか人嫌いだかで田舎に住んどるから、基本、連絡は冒険者ギルド経由しか取れんけどな。でまあ、その人嫌いが、最近小さな子供を、しかも片方は魔女らしき格好で連れて街に来とると評判でな。大人達の噂になっとったんやで?」

「へー、リチャードさんってそんなに有名人とは知らなかった……アレックス、知ってた?」

「いえ、リチャードさんがいろいろされている事は知っていましたが、街の評判までは」


 リチャードさんも苦笑しながら言う。


「まあ、この子達には敢えて伝えていなかったからね。とはいえ私も、この子達まで巻き添えで噂になっていたとは知らなかったが。――クリスティンくんと言ったね。アニーくんはまあ、いろいろ尖った所もあるが、普通に友だちづきあいしてくれると嬉しい」

「そらもう、頼まれんでもこれから同級生やさかいな。大船に乗った気でおってや」

「はは、心強いな。これからもよろしく」


 一段落ついたところで、シャイラさんが切り出してきた。


「ところで――アニーさんの例の件に取りかからないか?」


 そうそう、その話題(トラウマ解決法)もあったんだ。入学が決まったからには、なるべく早く解決したいしね。


「ありがとう。ここで立ち話も何だし、中庭借りられるかどうか聞いてみますね!」


 事務室に走って行って、またまた受付のお姉さんに頼みに行く。


「ちょっと合格者のみんなと打ち合わせがしたいので、中庭を使わせて頂いて構いませんか?」

「ええ、構いませんよ?」


 快諾を頂いたので、再び皆の所へ。


「借りられたよー」

「ありがとう。では、そちらに向かうとするか」


 と、シャイラさんが答え、皆で移動開始。

 あ、部外者?のリチャードさんとアレックスも居るけど……まあいいか。怒られたら出て貰ったらいいや。

 フライブルクの時間は、江戸時代と同じ不定時法を採用しています。

 日の出から日の入りを昼、もう片方を夜として、各6等分して鐘が鳴らされます。昼一つが午前6時(日の出が午前6時の場合)、昼二つが午前8時……と言った具合ですね。

 江戸時代では更に3~4分割されていますが、そこまでは進んでいません。



 次回予告。


 トラウマ解決法の提案会を中庭で行う事となった。シャイラさん、クリスさん、マリアさん、三者三様の解決方法を提案してくれる中、私はシャイラさんと立ち会って箭疾歩を披露する事となった。


 次回「対処法をみんなで考えたい!」お楽しみに!

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