第八十七話 私のハル様は
この第八十七話は短いですが、3~4時間後には八十八話をアップできると思います。
どうしてもソマリの気持ちを書いておきたかったので、短いですがご了承ください。
ハル様はすごい人です。人であることが疑わしいくらいです。
昔、マクラムの禁忌魔兵との戦いの後、禁忌魔兵にされた者達は二度と元に戻ることはなかった。狂暴性がなくなった後は廃人となり人形のような状態だったと父から聞きました。
それなのにハル様はこの辺り一帯の禁忌魔兵を元に戻してしまった。
ハル様は神様の生まれ変わりなのかもしれない。
そんなハル様は水の魔法を得意としていて、食事の時はいつもハル様が出してくれます。
戦いでも、高圧縮? よくわかりませんが、水をぎゅっとしたモノをすごいスピードで飛ばし、敵にぶつけるのを何度も見ました。
水魔法をあのように使うなんて、見たことも聞いたこともありませんでした。
私はハル様が水魔法を使うときが好きです。
水しぶきがキラキラと輝き、ハル様が輝いて見えます。
あ、間違えました。いつも輝いているんですが、いつもに増して輝きます。
刀が大好きということで、父の紹介でヨハンという方の元で修行することになり、みるみる上達していきました。
こんなに簡単に強くなれるものなのでしょうか?
否。
なれません。
ハル様だからだと思います。ハル様は天才的な才能を持っています。師範であるヨハン以外は相手になりません。
三人ががりで、やっと歯応えがあるというくらいで、それでも本気を出していないのがわかります。
小さくて、女の子みたいに可愛くて、強くて、優しい。
こんな物語の中にも存在しなさそうな素敵な人が私の側にいる。まさに私の理想の男性です。
今はハル様に夢中で、周りが見えていないときもあるけれど、とても幸せな毎日だ。
そんなある日、私はこわい夢をみた。
ハル様がいなくなってしまった。
どこを探してもいない。こわかった。
そんな中、いきなりハル様がいなくなってしまった夢をみた。
これから何を楽しみに生きていけばいいのかわからなくなった。
目が覚めて夢だとわかると、よかったと胸を撫で下ろしたが、すぐに不安がよぎる。ハル様はいつまで側にいてくれるのだろうか……。
いつの間にかハル様の部屋の扉を叩いていた。
黙って入るわけにはいかない。しかし、コンコンと叩くくらいでは起きないかもしれない。
いや、起きないだろう……。
するとハル様が返事をくれた。
不安でつぶれそうだったから嬉しかった。
私が部屋に入ると、いつもと変わらないハル様がいて安心する。
しかし、また不安が押し寄せてきて、いてもたってもいられなくてハル様に抱きついた。抱きついた勢いでハル様を押し倒してしまった。
そのまま私は不安を打ち明けてしまった。
するとハル様は私に素敵な人ができるまで側にいるといってくれた。
つまり、私に素敵な人ができなければずっと側にいてくれるということだ。迷惑ではない? ハル様のやさしさに甘えてもいいの? いくら考えても相手の心奥底の気持ちなんてわかるはずもない。
だから、ハル様の言葉に甘えておこう……。
ずっと一緒ですよ……。
不安はなくなり、楽しい日々が始まった。
それなのに、ハル様がいなくなってしまう。夢でもなく、一時のお別れでもなく……二度と会えない遠いところへ逝ってしまう。
私は様々な思いと、沢山の言いたいことを溜め込み、弱々しい声を出すハル様と顔を合わせた。
するとハル様から予期せぬ言葉が飛び出した。
「ソマリさんの膝枕がいいです」
小さく頷くヨハンは「してあげな」と言っているようだ。もちろんします。なんだってしてあげます。
周りにいた民間人は国王の配慮により、兵士達が遠ざけてくれている。そのため近くにいるのは、ヨハンと国王と、先ほど話していた、コング、ラルク、シルビアの五人だけだ。
私が地面に正座をすると、ヨハンがハル様を地面に寝かせ頭を私の膝の上においた。
すると側にいた五人までも少し離れて私達二人だけの空間を作ってくれた。




