第8話 目的地へ着いたんですが。
「話?」
「ええ、実はユウさんたちが準備している間に組合からメラン達へ依頼が来たのよ。」
「そうなの。案内してから行こうと思ったけど、なにか急用らしいの。」
依頼か。
わざわざの指名なんてあるのか。
「急用なら仕方ないよ。むしろここまでしてもらったんだ。」
ここまで案内やこの世界について教えてもらったんだ。
感謝でいっぱいだ。
後は自分たちでやってみよう。
そう思ったら、
「夜の営業用にミラが買い物をするからその時に訓練所まで案内をしてもらえるか頼んでいたのよ。」
「私はかまわないからね!」
笑顔でミラさんが答えた。
ホント、何から何までありがとうございます。
「まだこの国について全然知らないから本当に助かるよ。」
「いえいえ!じゃあとりあえず朝ごはんでも食べましょ!」
そういうとミラさんはカウンターのほうへ行き、食事を運んでくれた。
「もちろん、ツケでね。」
…ちゃっかりツケが増えたなあ。
「じゃあ私たちは先に行くわね。」
「え、食事はいいの?」
「申し訳ないけど、もうそろそろ行かないと。」
そんなに急ぎの用だったのか。
もっと早く準備すれば余裕があったんだろう。
これは申し訳ない。
「じゃあユウ達。また会うときは組合になってからかしら?また会いましょうね。」
「ああ!ここまでありがとう。」
「ミラも、また。」
ミラさんが頷くと店を出て行ってしまった。
「さあ!私たちだけでもごはんを食べましょ!」
そういって出されたのは野菜をメインとした食事だった。
さすがに朝から昨日出ていた肉は出なかったものの、薄くスライスされた肉があった。
米ではなくパンで洋食だった。
味もしっかり付いていてとてもおいしかった。
食事を終えて少し休んでから訓練所へ向けて外に出た。
「まあそこまで遠くないからすぐお別れになっちゃうけどね。」
お店をでて数分ぐらいたった頃ぐらいだった。
遠くないことにはうれしいけどせっかくこっちで知り合った人とすぐお別れも嫌なもんだな。
でも最近ティラの視線が痛いというか怖いというか。
「あと数分あるいたところにあるけど、訓練所ではくれぐれも気を付けてね。」
「一か月ぐらいだから無理はしないよ。」
「そうは言っても、たまに目を盗んで潰しにかかってくる輩もいるからね。」
潰してくる、か。
合格させないようにしてくる輩もいるのだろう。
「大丈夫。返り討ちにでもしてやるよ。」
「あら、たくましいわね。」
もちろん言葉通りに返り討ちにするつもりでもある。
俺だけならまだしもティラやリン、ソーラにスウの身に危険が及ぶなら全力で潰すに決まっている。
「着いたわ。ここが訓練所よ!」
そこは大きな木造の建物がそびえ立っていた。
そびえ立つっていうほど大きくはなかったけど。
「へえー!学校みたいですね。」
「やることは似たようなものだろうからな。」
たしかに訓練所というより学校と言ったほうが分かりやすいかも。
校舎に校庭らしき更地、プールはないものの立派な学校もどきだった。
「なつかしいわ!こっちはなかなか来ない道だから、本当にいつぶりかしら?」
「ミラさんも訓練所育ちなんですか?」
「いや、一時訓練所で教えていたのよ。」
「えっ!ということはもしかして…?」
訓練所で教えるってことは冒険者だよな?
「そうよ!元冒険者でフルバールと同じチームだったの!言ってなかったっけ?」
まさか夫婦そろって冒険者だったとは。
俺たちの先輩なのか。
だからメランさんたちと縁があったのか。
「聞いてませんでしたよ。驚きました。魔法特化とかなんですか?」
「そうよ。攻撃魔法もあるけど基本は支援魔法、回復魔法を主にしていたわ。」
ティラと同じく回復が得意なのか。
と言っても俺たちとは違うな。
俺はフルバールさんみたいに筋肉もないから前衛というわけではないからな。
「まあそんなことよりさっさと中に入りましょ。」
訓練所の扉を開けた。
たった一日でいろいろあったぐらいだ。
一か月間、また何か起こるかもしれない。
わからないことがまた出てくるかもしれない。
ここからだ。
ここからが俺の、俺たちの新しい旅の幕開けだ!
―※余談注意※―
これにて第1章終わりです!
やっと、やっと!前置きが終わりました!
「これ書きたい!」と思ってもそこまで行くのに長かった...。
戦闘シーンとかも書きたいから自分でも謎のワクワクがありますw