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異世界へ飛ばされたんですが...。  作者: 銀狐
第3章 冒険編
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第46話 また冒険にでるんですが。

 お昼近く。

 俺たちはずっとセリアさんの魔法を見ている。

「ねえ、詠唱って必ずないとだめなの?」

「私たち人間には必要なのよ」

「なんで?」

「ドラゴンや妖精は魔力を操る、出したり吸収したりするのを意識なくできたりできるのよ。それに対して人間は意識しないとできない。その意識が詠唱に当たるわけ。」

 俺たちは無意識に魔力を操れる方。

 怒ったりするとたしかに魔力が漏れるときがあるけど。

「試しにさ、詠唱なしでやってみたら?」

「私が?」

「そうだよ。物は試し、ちょっと息抜きがてらやってみようよ」


「詠唱なし、と言ってもどうやるのかしら?」

「固有魔法は使えたりしないの?」

「出来ないわ。今までこの本を使ってたからね」

 たしかその本は最初あった時のか。

「まあやってみようよ」

「わかったわ。出来なくても笑わないでよ?」

「笑うわけないじゃん」


「えーっとこう、かしら?」

「…でないね」

「やっぱりできないわ」

 まあ一発目からできるとは思ってはいない。

 というか出来たら驚きを隠せない。

「ちなみにどういう風にやってみた?」

「空気中にある水分を凝縮して――」

「そんな化学的じゃなくていいから!」

 思っていた斜め上のことでやっていた。

「自分の中にある魔力はわかるよね?」

「それはもちろん」

「じゃあその魔力を出すとき、それが使いたい魔法に代わるのをイメージしてやってみ」

 こっちのほうがやりやすいと思う。

 研究だとそういう方がいい。

 けどこういう便利系にまでなるとその手順だと無駄が多くなったりする。

 簡単に行くのも大事だ。


「例えばだけどこんな風に」

 魔力増加訓練みたいにまずは魔力を垂れ流しに。

「この出ている魔力を水になるイメージをする。ほら」

 出していた魔力を徐々に水に変えていった。

「へぇ。存外器用なのね」

「普段から詠唱なしでやっているからね」

 慣れればいきなり魔法を出したり使ったりできる。

「ちょっとやってみるわ」

 まずは魔力を流す。

 次に変換をするんだけど。

「おっ!」

「少しできているわ!」

 少しだけど水が出てきている。

 これは大きな進歩だ。


「義兄さん、いますか?」

「いるよ。どうした?」

「コピーが終わったので」

「おお!早かったな!」

 昼までまだ時間がある。

「もう行くのかしら?」

「そうするよ。いつまでいても迷惑だろうし」

「迷惑じゃないけど、私もそろそろ出かけたいからちょうどいいわ」

「どこかにまた行くの?」

「ええ。他の魔女に会おうかと思ってね。このことを一緒に調べようと思うの」

「そんなすぐ見つかるのか?」

「全然よ。それでも見つけるだけの価値があるわ」


「それじゃあ、お世話になった。ありがとう」

「いえいえ。私もいろいろと知らないことを知れたからお礼を言うのは私だわ。ありがとう」

「まだ残るの?」

「少し本に残してから行こうかとね。先に行ってらっしゃい」

「ああ。いってきます」

 それじゃあ本当の目的地、エルフの国へ行きますか!

 道も教えてもらったし、今日中に着きそうだな。

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