第43話 無事終わったんですが。
「次いっくよー!」
「こーらっ!」
「ぎゃっ!」
後ろからティラがリンを止めてくれた。
助かったー!
「ユウをいじめるのもほどほどにしないさい」
「はーい…」
「ちょっと…」
いじめられてたけど。
どストレートで言われると凹む。
「何かあったの?」
「ユウ達が騒がしかったから様子を見に来たのよ」
俺が大声をあげていたからね。
あわよくば、と思っていたけどまさか本当に来てくれるとは。
「何か成果でもあった?」
「ええ。セリアさんが一通りできたわ」
おお!さすが!
「それで今は?」
「本にまとめているそうよ。周りが見えなくなるほど熱心にね」
「スウとソーラは」
「まだコピーしているわ。私たちの分までね」
これはありがたい。
あとでお礼を言わないと。
「それじゃあどうする?」
「本もスウとソーラに渡しちゃったし」
「それならちょっとこの辺を歩いてみるか?」
「さんせー!」
「じゃあ目印に何か立てておきたいけど」
「これでいいかしら?」
ティラは一本の林檎の大きめの木を生やした。
「これなら目印になるな」
「どこまで行く予定?」
「フォルシシを見つけるまで!」
あのマンガ肉になったイノシシか。
「ここにもいるのか?」
「いそうじゃん!いなかったら別の動物を狩ろう!」
「じゃあ夕飯を見つけがてら行ってみるか」
歩いて10分。
少し茂みが深くなった。
「ここら辺ならイノシシぐらいの動物がいてもおかしくないけど」
「ユウ!見てあの子!かわいいわ!」
ティラが指をさしたほうを見てみると一匹のウサギがいた。
違うとしたら50cmぐらいある。
「でかくないか?」
「かわいいわ!ふかふかしていてぬいぐるみみたい」
「それにおいしそー!」
…花より団子ですか。
食べたいとまでは思わなかったけど。
「まあ夕飯にはできないな」
「…そうね。次にいきましょう」
「あれがフォルシシなのかなー?」
「そうじゃないか?イノシシであんなでかいの見たことない」
イノシシの2倍ぐらい。
あんなのが突進してきたら家が壊れるだろう。
「にしても見た目はイノシシだけど色が全然違うな」
「ほんとね。隠れるようにあんな色になったのかしら」
色は基本が灰色で所々緑色。
横になったら大きい岩に苔が履いてる感じになる。
「じゃあこれが夕飯になるのかな」
「いってくるよ!」
「おう。たのんだ」
*
「仕留めたのはいいけどこのまま持っていく?」
「そのままでもいいでしょ」
血抜きとかよく知らないし。
セリアさんが知っていればいいんだけど。
「ただいまー!」
「「ただいま」」
「おかえりなさい。」
「…おかえり」
「おかえり。外に何か置いたみたいだけど何を持ってきたの?」
「ただいま。夕飯になりそうなのを持ってきたよ。」
「ちょっと見てくるわ。」
結局なにもせずそのまま連れてきた。
引っ張っていくのは無理だから浮かせてきた。
「こいつってフォルシシであってる?」
「合っているわよ。この緑色の部分をちょっと見て」
苔っぽいところだよね?
「それが大きいと長く生きていてさらにおいしくなるの。その分倒しにくくなるけどね」
「これは大きいほう?」
「大きいわ。50年ぐらい生きているんじゃないかしら。普通のフォルシシの何倍もおいしいわ。せっかくだから夕食は豪華にいきましょうか」
―※余談注意※―
昨日は投稿時間ミスってしまいました。
申し訳ありません。




