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異世界へ飛ばされたんですが...。  作者: 銀狐
第3章 冒険編
39/49

第38話 なかなか着かないんですが。

「さて!行くか!」

 入るときと違い、出るときは手続きがなかった。

 あったとしたら入国証を返したときのこと。

 今後は組合証を提示すればいいと言われた。


「買った荷物だけど誰が持つの?」

「そうだなー、共有倉庫(シェアボックス)に入れるのはどう?」

「それでよさそうね。」

 共有倉庫(シェアボックス)は文字通り共有できる倉庫。

 アイテムボックスの共有版。

 荷物は貰ったお金を使って冒険に必要そうなものを買った。

「ついでにポーションも入れといたわよ。」

「ああ。ありがとう。」

 訓練所にいる間、ティラが作ってくれていた。


「お兄ちゃん、まさかだけどあんな移動方法で行かないわよねー?」

「いやなのか?」

「…絶対にいや。」

「スウまで…。」

 確かに疲れるけどすぐ着くんだよ?

「まあまあ、私もゆっくり行くほうがいいわ。まだこっちは全然見てないじゃない。せっかくだし歩いていきましょう。」

「ティラがそういうなら。」

 俺以外みんな歩いていく方だった。

 そこまで急がなくてもいいか。


「ところで義兄さん、場所はわかっているんですか?」

「右を差していたから東だと思うけど。」

 地図だと右って言っていたし合ってるでしょ。

「まあ間違えたら周り右して戻ってくればいいからねー。」

「…気楽にいこ。」

「じゃあ行こうっか。」



*



「全然森が見えないな。」

 確か森の中にある。

 森のもの字もない。

「ここってまだ来たことないよね?」

「そのはずよ。私たちが着た場所は南。メリーを見つけたのもそっち方面だからコールギアの東から南にかけて森が広がっているのかしら。」

 そうなるとでかくないか?

「地図だと略されているのか規模が分からないのか、はたまた古いのか分かりませんが森は小さかったですけどね。」

「うーん、とりあえずこのまま進むか。」


「こんなところに家があるよー。」

 リンとスウは俺たちの前を歩いていた。

 珍しくスウもノリノリ。

「なんでこんなところにあるんだろう?」

「けっこう危ないよな。」

 国みたいに囲いがあったり、村みたいに見張りもいない。

 普通の一軒家だ。

 しいて言うなら普通の家よりはでかい。

「だれかいるのかな?」

「私の家に何か用かしら?」

「「「「「!?」」」」」


「何か用かしら?まさか私を倒しに?」

「いや、そういうわけじゃない。ただ見つけただけだ。」

 青の魔女がいる。

 まさか青の魔女の家だったのか。

「そう。それならいいわ。」

 そういうと家に入っていった。

「お茶でもどうかしら?」

「何をふざけたことを!」

「ふざけてないわ。雷の龍と一緒にいたからあんなことをしたのよ。こちらもできれば敵対したくないわ。」

 だからお茶でもどうかか。

 敵対したくないのは俺も同じだ。

 負けはしないだろうけど他の魔女とも敵対はしたくない。

「じゃあお邪魔するよ。」


「ひろいねー。」

「ええ。主に私が研究するために家を大きくしただけだし。」

 周りを見ると本が積みあがっている。

 ほかにも魔法や薬をつくる道具なんかもあった。

「ユウ。あくまでも女性の部屋よ。じろじろと見ない。」

「はい。」

 青の魔女も怖いけど嫁さんも怖い。


「それにしてもなんでこんなところに来たの?わざわざ人が通らないところに家を建てたのに。」

「エルフの国へ向かっている途中なんだ。」

「エルフ?ずいぶんと遠回りしていくのね。」

「「「「「え?」」」」」

「嘘よね?近い道を通って来たと思っていたのかしら?」

 話によると少し北へ傾いていた。

「それで今は森の近くと言えば近くだけど少し南に行ってからのほうが楽だわ。」

「…ありがとうございます。」

「まああんな形の出会いだったからね。まだ認めてないでしょう。」

 そりゃあもちろんそうだ。

 いきなり攻撃してきたやつを信用するって難しいぞ。

「それならこの家にある本でも読んでいったらどうかしら?これでも人の何倍も生きているのよ。いまのエルフの国はわからないけどけっこういいのはあるわよ。」

「いいのか!?」

「ええ、もちろん。けどこれで水に流してちょうだい。」

「わかった。」

 まさかの出来事。

 嫌な出会い方だったけどいい成果が得られそうだ。

―※余談注意※―

今日は朝方ではないです。

ゲームはほどほどに。

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