第35話 そろそろ冒険に行きたいんですが。
「まずはおめでとう。」
「ありがとうございます。」
「さっそくだけどホワイトヘルファングの件だ。」
話が早いな。
その山積みの書類のせいなのか?
「今回の件だがゴウディの判断でいいと思う。討伐したとして処理をする。」
「じゃあメリーは連れて行っていいんですか?」
「ああ、構わない。しかし貴族に知られるとめんどくさいからな。」
「分かりました。」
「ところでそのメリーとやらはどこにいるんだ?」
「連れてきますか?」
「ああ、見てみたいからな。すぐ連れてこれるのか?」
「できますよ。ティラ、お願い。」
「では。私有空間。」
「ほう。空間魔法か。」
「あれ?知りませんでしたっけ?」
「ゴウディからは聞いていたが見たのは初めてだ。」
そういえば見たのは時魔法だけだったな。
というかゴウディさん報告が早いな。
「ワンワン!」
「こいつか。久しぶりに見たな。」
「こいつじゃなくてメリーよ。」
「メリーか。すまない。」
*
「ホワイトヘルファングについては君らに任せる。それより今後はどうするつもりなんだ?俺からとしたら本部に来てくれたらありがたいんだが。」
「とりあえず元の世界に戻る手がかりを探す旅に出ようと思います。」
「そうか。やはりな。」
それに本部にいたらこんな書類ばっかり見てないといけなさそうだし。
「それならこれを見てくれ。」
「なんですかそれ?」
「普通じゃ渡せないがこの世界の大まかな場所を示した地図だ。」
「なんで普通じゃ渡せないんですか?」
「地形が分かればほかの国を攻めやすくなってしまう。これは多国も同意で各国は地図を作らないようにしている。作っていいのは冒険や探索をする冒険者組合だけとなっている。」
こっちだとまだ戦争とか起きる可能性があるのか。
前の世界みたいに戦争が消えてくれたらいいんだけど。
「まず本部があるこの国を中心として描かれている。見てほしいのはその右だ。」
「森、ですか?」
「この森の中にあるユーグウッズという国に行ってみるといい。」
「どんな国なんですか?」
「エルフの国だ。」
「「「「エルフ!?」」」」
なんでエルフの国に?
興味はあったけど。
「この国よりエルフのほうが寿命が長い。そうなると研究者も多いんだ。」
「というとここで探し回るよりエルフの国に行って聞いてきた方が早いってことですか?」
「そういうことだ。入国に関してはこっちで手続きを済ませておく。」
「組合証だけじゃだめなんですか?」
「残念なことだけどエルフの国は冒険者組合に参加していない。」
「え、じゃあメランさんたちは?」
「メランみたいなエルフでも冒険者になれるにはなれる。ただエルフの国では組合の施設はない。」
冒険者組合は多国が連携して運営している。
全部の国が入っているわけではないってことか。
「ならエルフの国ではどうしているんですか?」
「基本は貿易などで情報などを買っていると聞いている。」
よくできているなあ。
「ではこれをもっていってくれ。」
「門番に渡せばいいんですか?」
「ああ。案内もつけるように書いておく。」
「ありがとうございます!」
これはうれしい。
毎回迷っている気がするしね。
「いい旅を。無事に手掛かりが見つかることを祈っている。」
「はい!ではまた。」
「ああ。」
心なしか声が寂しそうだった。
ジークさんもたまには冒険に行きたいのかな。
なんか素直になれないお父さんおじいちゃんみたい。
―※余談注意※―
明日はお休みです。
すみません。




