第21話 疲れたんですが。
「すまないけどそろそろ行くね。」
「もう行くんですか?」
「ああ。実は仕事を抜けてきていてな。書類を持ってくるやつに見つかればなにか言われるかもしれん。」
おいおい。
自由過ぎるだろ、この二人。
「君たちのことは他言しないでおく。それと俺たちのことも他言しないでくれ。」
「やっぱバレたらまずいんですか?」
「俺たち龍族を信仰する人間たちがいる。会ったら会ったでそれはめんどくさい。だから人間の姿でずっといるんだ。」
「もしかして、この国には二人以外にも龍族はいるんですか?」
「いや、いないはずだ。質問はまた今度にしてくれ。ではな。」
話を切るとさっさと行ってしまった。
「さすがに疲れたわ。部屋に戻って休もうか。」
「そうね、お疲れ様。夕飯はどうする?」
「うーん、それより疲れのほうが上回ってるかな。とりあえず寝てるよ。」
「わかったわ。」
部屋に戻ると俺はすぐ寝てしまった。
みんなはしっかりごはん食べたのかな…。
朝。
「…にい、起きて」
「ん~?」
「…にい、起きて」
「んー。」
「…【水鉄砲】。」
「ぶっ!」
起きるのを渋っていたら水をかけられた。
普通に揺らしたりして起こしてほしかったなあ。
みんな笑っているし。
「…おはよ。」
「おはよう。できれば今度から揺らして起こしてほしいなあ。」
「…覚えていたら。」
期待してるよ?
「…それより朝ごはん。にい、昨日食べてないから食べたほうがいい。」
「そうだな。じゃあ行くか。」
俺たちは食堂へ移動した。
中に入るとみんな食べ始めていた。
「あれ?あの二人いないな。」
「エルフの子たちなら先に行っちゃったわよ。」
「あ、そうなんですか?」
食堂の人が教えてくれた。
「じゃあ私たちだけなのね。」
「早く食べようよー。」
俺たち5人だけの食事だ。
なんだか落ち着く。
いやあ、早く普通の生活を送りたいなあ。
なんだかんだ連日で何かと起きている。
そういえば特に何時までに来いとか言われてないな。
たぶん、毎日同じ時間に集合でいいのか?
それならまだ間に合うな。
「さて、そろそろ行こうか。」
「そうね。もうみんな外へいるらしいし。」
「ん?よくわかったな。」
「食堂に入った時、ほとんどの人が動きやすい恰好に着替えていたわ。」
あ、ほんとだ。
相変わらずよく見てるなあ。
外へ出るとほとんどの人がもう訓練を始めていた。
あれ?もしかして遅刻?
「あ!君たち!」
やばい。ホシさんに見つかった。
もしかして逃げたほうがいい?
「君たちには訓練を受ける代わりにこれを渡して読ませるよう言われた。」
そう言われて人数分の本が渡された。
「これは?」
「この世界についての本。組合についてや種族について載っている本だ。」
ほう。俺たちにとっては読みたい本だな。
でもなんでホシさんがそんな本を?
「実はこれ、俺からではなく組合長からの命令で渡せと言われた本なんだ。」
「ジークさんから?」
「よく知っているな。まあ君たちほど強い人なら知っていても不思議ではないな。」
なるほどね。
それならもらっておこうかな。
いずれどこかで読もうと思っていたものだし。
「それとお願いがあるんだが。」
「お願いですか?」
「ああ。君たちは基本訓練を受けなくていい。空いた時間でかまわないんだがこいつらに魔法を教えてあげてほしい。」
そういうと後ろから何人かの人影が現れた。
「「よろしくお願いしますティラさん!!」」
「「僕たちもよろしくお願いします。」」
そこにはエルフの二人ルーンとリリス。
それと双子のデイルとデイラがいた。
―※余談注意※―
久しぶりにインスタントラーメンを食べました。
いつもどこかで食べて帰るか買って帰るんですがたまに食べるといいですよね。




