第19話 避けたいんですが。
まずいまずい!
避けようにも時間が足りない。
魔法で防ぐか?
いや、それも時間が足りない。
なら身体に氷を張って防具として防ぐか?
これは守り切れない。
貫いてしまう。
こうなったら、やむを得ないな。
「ちっ!」
俺は時の魔法を使った。
自分以外の時を止め、止まった世界を自由に動ける魔法。
最初から使えばいい、と思うがなぜかこの魔法は使い勝手が悪い。
時を止めると言っても数秒間だけ。
そのあとは自然に元の速さに戻る。
しかも元の速さに戻ったらその時間分使えなくなるという。
「貴様、今の速さは付属魔法ではないな!」
確実に当たると思って当たらなかったらおかしいと思うはずだ。
「ちょっと反射神経がいいもんでね。」
「ふざけたことを!」
男が動揺している。
これはチャンスだ。
なにか動きを止めるいい魔法はないのか?
「これなんてどうだ?」
俺はさっき男が飛ばした大きさぐらいの氷の球を飛ばした。
男は見逃さず、すぐに氷の剣をつくった。
「効かぬぞ!」
男はそう言い、氷の球を斬った。
かかった!
「いまだ!閉じ込めろ!」
真っ二つに割れた氷の球。
ちょうど男を挟んだ所で魔法発動だ。
氷の球は男を覆うぐらい大きくなり閉じ込めた。
「よし!」
とりあえず抑えた。
なぜ攻撃してきたか聞かないとな。
「おい。なぜいきなり攻撃してきた?」
「……。」
「何か言ったらどうだ?」
「…ゴウディ!張れ!」
何か言えとはいったがいきなり大声をだすなよ。
ゴウディ?張れ?
なにをだ?
周りから何か音が聞こえる。
「まさか結界か!」
出遅れた!
魔法が早いうえに結界魔法は普通見えない。
もうすでに覆われているな。
「よそ見してる暇はあるのか?」
さっき捕らえた男のほうを見てみると氷にひびが入っていた。
やがて割れると同時に出てきた。
「効かない、と言ったはずだ。」
男、の姿ではない。
「龍、なのか…?」
「如何にも。俺の本当の姿を見れたのだ。褒め称えるぞ。」
龍。もしくは竜、ドラゴンともいうだろう。
四足歩行にもなるし、前足が手の代わりにもなる。
背中には翼があり、手には鋭い爪、そして後ろにはしっぽ。
大きさはざっと見積もって20mを超えている。
伝説級で会えないはずの種族だ。
なんでこんなところにいるんだ?
「貴様はただの人間なのか。それとも災いを起こすものなのか。見定めさせてもらう!」
そういうと前足を振りかぶってきた。
「あぶねっ!」
今度は普通に避けれた。
振りかぶった後のほうを見たら地面がえぐられてる。
こんなのに当たったら即死だぞ。
どうしたらいいんだ…。
さっきみたいに氷に閉じ込めるのはどうか?
いや、さっきみたいに力技で割られる。
何かあるはずだ。
何か…何か……。
「そうだ!災いを起こすってのはなんなんだ?見定めるってのも。」
「人間は欲が深い。それゆえ他種族まで影響を及ぼす。」
「俺たちはそんなことはしない!」
「ふんっ。今までの人間もそう言ってきた!」
もう無理だと思っていたが収まるには説得しかない。
抑えようにも図体はでかいし、力も強い。
俺は守りをしながら会話をしようと頑張った。
「いいから攻撃をやめてくれ!」
「それはできぬ。貴様が災いを起こすものなら今のうちに仕留めたほうがよい。」
「じゃあ普通の人間だったらどうするんだよ!」
「それは仕方がない犠牲だっただけだ!」
「んな無茶苦茶な…。」
なんてやつだ。
可能性を持っていたらすべて消すのか?
そんなのただの自分勝手だ。
「俺たちはこの世界に災いを起こす気はない!これは本当だ!俺たちはただこの世界について知りたいだけなんだ!」
「……。」
「この世界について知るために世界を周ってみたいだけだ!だからこの世界に危害を加える気はない!」
「…この世界について?何を言っているんだ?」
よし!
話に興味を示したぞ。
後は説得だ。
攻撃は止まないけど。
―※余談注意※―
久しぶりに玉ねぎ坊主を食べました。
元々おでんに入っていたんですが温めてそのまま食べるのも好きです。
あぁ、そんなこと言っていたら食べたくなってくる...。




